ディオバンの治験データ改ざん


東京慈恵医大と京都府立医大のノバルディスファーマのディオバンの治験データ改ざんは、「数ある降圧剤の中で、ディオバンと既存薬のどちらが患者に有益かを調べたもの」で、いずれもディオバンを使えば、血圧値の抑制のほか、脳卒中や狭心症も減らせるとメリットを強調する結果だった。

慈恵医大の研究は高血圧治療にディオバンを加えることで、脳卒中や狭心症が39%減り、京都府立医大の研究では、45%減るとなっていた。

京都府立医大の論文では、カルテに記載がなかった脳卒中や狭心症の病気が論文データでは存在するなど、発症数の不一致が34件あった。

慈恵医大では、ディオバンの有効性を導くための基礎的なデータとなる患者の血圧値について、大学の保有データと論文に使われた671人分のデータに86件(12.8%)の不一致がみられた。

ディオバンに有利な結果が出るように操作されていた。

研究に参加した医師が大学保有データ以外を書き換えることは不可能なことから、ノバルディスファーマの元社員がデータを意図的に改ざんしたと結論づけた。

そもそも治験(ちけん)は、医薬品もしくは医療機器の製造販売の厚生労働大臣の承認を受けるために申請時に必要な資料(臨床試験)を得るために、動物を使用した非臨床試験(前臨床試験)により薬の候補物質もしくは医療機器の安全性および有効性を検討し、安全で有効な医薬品もしくは医療機器となりうることが期待される場合に行われ、第I相から第IV相までの4段階で行われる。

第I相試験(フェーズ I)は、志願した健常成人を対象とし、被験薬を少量から段階的に増量し、被験薬の薬物動態(吸収、分布、代謝、排泄)や安全性(有害事象、副作用)について検討する。

第Ⅱ相試験(フェーズⅡ)は、第I相の結果をうけて、比較的軽度な少数例の患者を対象に、有効性・安全性・薬物動態などの検討を行う試験である。第Ⅲ相試験(フェーズⅢ)は、実際にその化合物を使用するであろう患者を対象に、有効性の検証や安全性の検討を主な目的として、より大きな規模で行われる。

それまでに検討された有効性を証明するのが主な目的であるため、ランダム化や盲検化などの試験デザインが採用される。

数百例以上の規模になることもあるため、多施設共同で行う場合が多い。

第I相から第Ⅲ相までの試験成績をまとめ、医薬品の製造販売承認申請を行い規制当局(医薬品医療機器総合機構)による審査を受けて承認されると医薬品としての販売が可能となる。

第IV相試験(フェーズ IV)は、製造販売後臨床試験と呼ばれ、実際に市販した後に広く使用されることにより、第Ⅲ相まででは検出できなかった予期せぬ有害事象や副作用を検出するのが主な目的で、市販後調査によって行われる。

治験結果が改ざんされれば、薬の効果(病気の治療効果)や安全性(副作用)を左右する甚大な問題となる。

製薬会社の信頼が大きく揺らいでいる。

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