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2017年度予算、介護の処遇改善を

2016年7月13日、政府の経済財政諮問会議(議長=安倍晋三首相)の民間議員は同会議の会合で、来年度予算の在り方について、介護職員の処遇改善や施設の運営費など、「一億総活躍社会」の実現に向けた施策について、経済対策による税収増の一部を活用する特別枠を設けて各省からの要求を受け付けるべきだとした。
 

一億総活躍社会の実現に向けては、今年度も「福祉・介護人材確保対策の推進」などに予算が計上されている。また安倍首相は7月12日、石原伸晃経済再生担当相らに対し、新たな経済対策について月内に取りまとめるよう指示し、その中にも、一億総活躍社会の実現に向けた施策を盛り込むこととしている。
 

安倍首相は、民間議員の提言などを踏まえて来年度予算の全体像を取りまとめるよう指示した。さらに、「経済対策に伴う(今年度の第2次)補正予算と(来年度の当初)予算とを合わせて、一億総活躍社会の実現に向けた施策を着実に実施していけるよう、アベノミクスの成果の活用も含め対応していく必要がある」との考えを強調した。
 

財源を明確にし、当初予算で計上する事業にすべきとする民間議員の提言が実現すれば、介護人材の処遇改善などの予算が安定的に確保できるようになる。
 

民間議員は、来年度予算での歳出改革についても提言した。2017年4月に予定していた消費税率10%への引き上げを延期した影響などを点検した上で、歳出の過度な抑制を防ぐために適切な対応を行っていくべきだとした。
 

さらに、消費税率引き上げによって財源を確保する見込みだった社会保障の充実に関する事業については、「赤字国債に頼ることなく、優先順位をつけ、財源を確保して、可能な限り進めていくべき」だと強調した。
 

そのほか、医療費などの社会保障関係費について、増加要因や歳出改革の効果を「エビデンスベース」で検証し、効率化につなげる仕組みを構築する必要性も指摘した。

■エビデンスベースとは
 

証拠・根拠、証言、形跡などを意味する英単語”evidence” に由来する、外来の日本語。一般用語として使われることは少なく、多くは、医学やIT企業などの分野における学術用語や業界用語としてそれぞれに異なる意味合いで使われている。

病床規模の今後

日本能率協会総合研究所は、2015年11月から2016年1月にかけて、全国の病院を対象に「今後の病床規模」について調査を実施し、432病院から回答を得た。
 

3-6年後の病床規模についての回答では、「現状維持」が全体の70.8%を占め、「縮小」が18.3%、「増床」が6.5%、「未定」が3.7%であった。

同研究所の調査担当者は、「地域医療ビジョンの実現に向けて関係者が協議する地域医療構想調整会議の結果がどうなるのか分からないので、自院の方向性を決めかね、今後も『現状維持』とした病院が多いのでは」と分析している。
 

現在の主たる医療機能については、「急性期」が全体の31.7%で最も多く、「慢性期」(17.6%)、「ケアミックス」(17.1%)、「精神」(9.3%)、「高度急性期」(8.1%)、「回復期」(7.9%)などとなっている。
 

一方、3-6年後の中心的な医療機能についての回答は、「急性期」が最も多かったが、その割合は26.4%に減少した。以下は、「ケアミックス」(18.1%)、「慢性期」(14.8%)、「回復期」(10.2%)、「精神」(8.8%)、「高度急性期」(8.1%)などと続いた。今後は高齢者のさらなる増加によって、急性期よりも回復期のニーズがあると判断し、回復期の機能を増やそうという考えが働いていると思われる。
 

調査では、回答を得た432病院のうち、一般病床や療養病床を持つ387病院に対して算定する入院料について聞いた(複数回答)ところ、現在、一般病棟入院基本料(7対1、10対1)を算定している病院が65.6%で最も多く、療養病棟入院基本料は41.3%、地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)は20.4%、回復期リハビリテーション病棟入院料は18.6%だった。
 

3-6年後の算定を検討している入院料については(複数回答)、一般病棟入院基本料が61.5%、療養病棟入院基本料が37.2%、地域包括ケア病棟入院料が31.3%、回復期リハビリテーション病棟入院料が20.9%などとなり、今後は地域包括ケア病棟入院料の算定を予定する病院が、今よりも1割超増えるとの見通しが示された。
 

2016年度診療報酬改定では、一般病棟7対1入院基本料に対する「重症度、医療・看護必要度」の基準が厳格化されたことなどから、同研究所では今後、7対1病棟を維持するのが難しくなると予測。「7対1病棟から地域包括ケア病棟に転換する動きが出るのではないか」(調査担当者)としている。

高齢者世帯25.2%、65歳以上の人、3465万8000人

2015年6月から7月にかけて実施された厚労省の「2015年国民生活基礎調査」によると、65歳以上の人か、65歳以上と18歳未満のみの人で構成される「高齢者世帯」は約 1271万4000世帯で、全世帯(約5036万1000世帯)の25.2%で、前年調査から約50万世帯増加した。すべての世帯の4つに1つは、高齢者世帯となった。
 

65歳以上の人がいる世帯数は約2372万4000世帯で、全世帯の47.1%を占めた。
 

65歳以上の人の数は約3465万8000人。このうち単独世帯は18.0%、夫婦のみ世帯は38.9%となり、高齢者だけで暮らす人は65歳以上の人の56.9%を占めた。75歳以上の人では、単独世帯が21.8%、夫婦のみ世帯は33.3%などとなった。

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75歳以上の運転者の認知症検査義務化

現行制度では免許更新時の検査で認知症の疑いがあるとされた人のうち、信号無視など、認知機能が低下した人が起こしやすい違反をしていた場合に限り、専門医による診断を受けることになっている。
 

しかし警察庁によると、2013年に検査で認知症が疑われた約3万5000人のうち、診断を受けたのは1-2%にとどまっていた。また、同年に高速道路の逆走や交通死亡事故を起こした人で、認知症が疑われた場合のほとんどは信号無視などの違反がなかったため、診断対象となっていなかった。
 

そこで同庁は道路交通法を改正。75歳以上のうち、認知機能が低下した人が起こしやすい違反として、信号無視や逆走、一時不停止など18項目が示され、これらの違反を犯した人は、臨時の検査の対象となる。また、対象となった人が検査を受けなかった場合、運転免許が停止される。免許停止が決まった後も検査を受けない場合は、運転免許は取り消される。

改正道路交通法および認知症の有無を判定する臨時の検査を受けなければならない具体的な違反を明記した政令の施行日を2017年3月12日に施行される。

細胞移植で毛髪再生へ臨床研究

東京医科大学や資生堂などは27日、中年以降に薄毛となる脱毛症の患者の、毛髪を再生させる臨床研究を今年から始めると発表した。

一度細胞を移植することで効果が持続するため、育毛剤のように毎日使用せずに済む利点があるという。研究チームは効果や安全性を確かめたうえで、実用化を目指している。 研究チームは、「毛球部毛根鞘細胞」と呼ばれる毛髪の根っこ周辺にある頭皮の細胞が、毛髪を作るもとになっていることに着目。患者の後頭部から、毛髪周辺の頭皮(直径数ミリ)を採取、毛根鞘細胞だけを取り出して培養によって増やし、患者本人の頭部に移植する計画を立てた。

臨床研究は男女約60人が対象となる。同大学病院や東邦大学医療センター大橋病院で患者から採取した細胞を、資生堂の施設に移して培養し、その後2病院に戻して患者に移植する。約3年かけて、患者の薄毛が解消されるかなどを確かめる。
 

頭部に毛根鞘細胞を移植して効果をみる。効果が出れば、薄毛の治療に応用したいとしている。

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自食作用のスイッチメカニズムを解明

2016年7月11日、生き物が細胞内でたんぱく質を分解して再利用する「オートファジー(自食作用)」と呼ばれる現象を作動させる「スイッチ」のメカニズムを解明したと、東京工業大の大隅良典栄誉教授(分子細胞生物学)らが米科学誌「デベロップメンタル・セル」に発表した。

オートファジーの異常で起こるとされるがんや神経難病などの治療や予防法が期待できるという。
 

オートファジーには細胞内で不要な物質や有害物質を分解し、健康を維持する働きがあるほか、冬眠する哺乳類はこの現象を使い、自らの細胞内の物質を再利用して生命を維持する。大隅氏が1980年代後半、微生物の一種の酵母を使い、この現象が細胞内で起きる様子を顕微鏡で見つけたが、メカニズムは不明だった。
 

大隅氏らは、作動を担っていると考えられる5種類のたんぱく質の一つ「Atg13」に着目。ひも状の構造で他の4種類のたんぱく質を結び付け、巨大化してオートファジーの始動装置になることを酵母を使った実験で突き止めた。この装置が二重膜構造を形成し、分解する物質だけを取り込むといい、今後その過程も解明する。

タトゥーがあると献血できない?

なぜタトゥーがあると献血ができないのか。

タトゥーは、針を皮膚から2ミリほどの深さまで刺し、染料を染み込ませて入れるため、刺した部分からウイルスが入るおそれが生じる。感染症の中には自覚症状がないものもあるため、感染しても気付かずに献血して、その血液を輸血された人へと感染が拡大する可能性がある。また、入れ墨を入れる際に、消毒が十分に行われていない血液の付着した器具などが使用され、肝炎等のウイルスに感染する危険性がある。

そうしたことから、感染の有無がはっきりしない6か月以内に入れ墨をした人は献血ができない。

体全体を覆うような大掛かりな「模様」のタトゥーやファッション感覚で手首や指先にワンポイントで入れたものまで、大小さまざまだが、入れ墨の大小には関係なく、タトゥーを入れて6か月間は献血はできない。6か月を過ぎても、献血前の問診で医師の判断により断られる場合もある。

血液中の肝炎等のウイルスは現在の検査感度では、感染ごく初期の段階では検出できない。検出できるようになるまでの期間は「ウインドウ・ピリオド」と呼ばれる。たとえばHIV(エイズウイルス)のウインドウ・ピリオドは11日間である。肝炎ウイルスの場合は3か月以上である。

若年性認知症の相談窓口等設置支援開始

64歳以下の人が認知症と診断された場合を、若年性認知症という。若年性認知症は、物忘れに始まり、仕事や生活に支障をきたすようになる。しかし、年齢的にまだ若いという思いで認知症であるとは気付かないことが多く、病院で診察を受けても、うつ病や更年期障害などと間違われることもある。診断までに時間がかかってしまうケースが多い。

厚生労働省によると、全国で推計約3万8000人(18-64歳人口10万人当たり47.6人)いるとされている。
 

患者や雇用主が症状や支援制度を十分理解していない場合、仕事ができるにもかかわらず退職を余儀なくされたり、医療機関を受診せずに症状が悪化したりするケースも少なくない。そのため、受け皿となる医療機関や自治体、地域包括支援センターなどによる相談・支援体制の拡充が急務となっており、国も対策を進めようと、都道府県に対し、自立支援のネットワーク化や相談支援の実施を求めている。
 

2016年4月、石川県は県立高松病院内にある県認知症疾患医療センターに若年性認知症の相談窓口を設けた。「専門医はどこにいるの?」や「若年性認知症でも働き続けたい」といった人の相談に対し、精神保健福祉士(PSW)らが助言を行う。県健康福祉部長寿社会課や同センターによると、4-6月の3カ月間で延べ36件の相談があり、専門医による治療につなげたケースもあったという。

2016年6月28日、福岡県でも県総合福祉センター(クローバープラザ)4階に相談窓口を設置し、コーディネーター(精神保健福祉士)を配置し活動を開始した。
2016年7月1日、岐阜県は大垣病院内に「若年性認知症支援センター」を開設した。若年性認知症コーディネーターを配置し、若年性認知症の当事者や家族を支援するとともに、他機関との連携を図っている。
 

2016年7月4日、富山県も県総合福祉会館に相談・支援センターを開設した。同県は、若年性認知症患者が県内に約380人いると推計している。コーディネーターが患者や家族に加え、企業の労務担当者や医療・福祉関係者からの相談に応じる。医療や介護、福祉などの関係者で構成する支援ネットワーク会議も開いている。
 

全国でこうした取り組みが広がっている。

初の医療事故の調査依頼

2015年10月に医療事故調査制度を開始して以来、医療機関から初となる医療事故調査・支援センター(センター)への調査依頼が6月にあった。
 

この制度では、医療事故が起きた医療機関はセンターに報告した上で、院内事故調査を開始、報告書を取りまとめることになっている。一方で、報告された事例について、医療機関や遺族はセンターに対し、調査を依頼できる。制度開始以来、6月までのセンターへの調査依頼は累計で4件だが、3件が遺族からのものだった。
 

6月にセンターに報告された34件の事例を医療機関の規模別で見ると、すべてが病院からで診療所からはなかった。診療科別の主な内訳は、消化器科が6件、内科が5件、循環器内科、外科がそれぞれ4件だった。
10月以来、累計で285件となった。

病院は特定防火対象物

特定防火対象物(特防、特定防対とも)とは法第17条の2の5に定められている防火対象物で、「多数の者が出入りするものとして政令で定めるもの」と規定されている。ただし、多数の者が出入りすると言っても、たとえば従業員が1000人以上の工場などは含まれず、その防火対象物を利用する個人が定まっていないもの(不特定多数の者が出入りする防火対象物)が該当する。そのほか、火災が発生したときに避難等が困難であり人命に多大な被害を出すおそれが十分にあるものとして、各種福祉施設(老人ホーム・デイサービスセンター等の高齢者福祉施設、保育園・幼稚園等の児童福祉施設、養護学校・援護施設等の障害者福祉施設)や病院等が該当している。

特防に該当する対象物では、延べ面積によって必要となる消防用設備等の条件が厳しく規定されている、消防用設備等の点検報告を毎年行わなければならない、防火管理者の該当要件が厳しく規定されている(収容人員10人以上など)、一部の防火対象物においては「防火対象物定期点検報告制度」が義務づけられるなど火災予防のための厳しい措置や規制が多く掛けられている。
 

病院では大無の場合、病棟などの防火管理責任者は看護師長となっている。