月別アーカイブ: 2017年3月

認知症予防、ネットで登録受付、NCNPで

厚生労働省の推計によると、2012年に約462万人に達した認知症の人は、25年には1.5倍の約700万人にまで増えるとみており、認知機能の低下を防ぐ薬の開発や効果的な予防方法の確立が急務となっている。

認知症は、健常者から前臨床期、軽度認知障害を経た上で、軽度・中等度・進行期の認知症へ移行することが少なくないことから、認知症予防を目的として、国立精神・神経研究センター(NCNP:National Center of Neurology and Psychiatry)は、新オレンジプラン統合レジストリ;「IROOP(アイループ):(Integrated Registry Of Orange Plan)」の運用を開始すると発表した。

40歳以上の健常者を対象として、インターネット登録システムで登録を受けつける。

登録対象者は、国内に在住し日本語を母国語とする40歳以上の健康な国民で、アンケートに回答後、電話で記憶力のチェックを受ける仕組みで、結果は翌日から閲覧が可能となる。

さらに、半年ごとに行うアンケートで入力された登録者の生活習慣などの情報を蓄積。記憶力の経過に関連する因子を調査・解明し、認知症の発症予防につなげたい考えだ。
 

初年度は8000人の登録を予定しており、全国の病院や認知症疾患医療センターなどにポスターを提示するなどして登録者を募るという。

欧米では既にNCNPと同じようなシステムを運用し、アルツハイマー病の予防研究や治験に役立てている。

NCNPは「広く健常者の登録を募り、今後の認知症予防研究で、認知症薬の開発のための臨床研究や治験の促進につなげるとしている。

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栃木医療センターで全処方薬剤の56%を中止‐ポリファーマシー

多種類の薬を服用している高齢者の有害事象を減らすため、国立病院機構栃木医療センターが2015年1月に開設した「ポリファーマシー外来」の取り組みを進めた結果、1年間で薬剤数を平均4.0剤中止したことが分かった。対象となった外来患者47人に処方されていた薬剤は全422剤で、そのうち237剤が削減され、全体の中止率は56.2%に上った。

特にポリファーマシー外来の受診患者は、ビアーズ基準、STOPP基準による潜在的な不適切処方(Potentially Inappropriate Medications:PIMs)の割合が高率で、PIMsとポリファーマシーの相関が大きいことが確認された。

高齢者に対する不適切なポリファーマシーが社会問題化しているが、未だその効果的な介入方法は確立されていない。近年では、多職種チームによる包括的な介入が注目されているが、その介入効果についても、やはり十分に検討されていないのが現状となっている。こうした中、同センターでは昨年1月から外来受診で薬への介入を行う「ポリファーマシー外来」を開設。院内の入院患者に対して、医師、薬剤師、看護師による多職種チームを結成し、ポリファーマシーへの包括的な介入を開始した。

■ポリファーマシーとは

明確な基準はないが、「必要以上に薬を飲んでいて、薬による有害事象が起こっている状態」、もしくは、単純に「4~6種類以上の薬を飲んでいる状態」をさす。「ポリ」は「たくさん」、「ファーマシー」は「調剤」という意味である。

■ビアーズ基準(Beers Criteria)とは、

高齢者の医療において有害な副作用(薬物有害事象)を減少するため、マーク・ビアーズによって提唱された基準に合致した薬や一覧である。

潜在的に不適切な医薬品は、2種類あり、高齢者において効果が無いか、不要に高い危険性があり、他に代替の医薬品がある医薬品か、特定の病態において避けることが望ましい医薬品である。

アメリカにおけるビアーズ基準は、1991年に公開されて以来、1997年、2003年と改定され、広く高齢者介護の分野で用いられたが、ビアーズ医師は2009年に死去した。2012年に、アメリカ老年医学会(AGS)がビアーズ基準を更新し、3年ごとに更新する。ビアーズ基準は、簡便性を担保するために網羅を目指したものではなく、一覧に挙げられる薬剤は代表的なものであり、薬効や特に副作用が同類の薬剤は、同様に扱われることを意味する。

■STOPP基準とは

高齢者への使用に対して注意が必要な薬剤が投与されていないかを調べるための基準。

緩和ケア研修修了者、7万人超

2012年6月に閣議決定されたがん対策推進基本計画で、5年以内にがん診療連携拠点病院(拠点病院)のがん診療に携わるすべての医師が緩和ケア研修を修了するという目標が掲げられた。このため厚労省では拠点病院に対して、2017年6月までに9割以上の医師が研修を受講する計画書の提出を求めるなどして、研修修了を後押ししてきた。2016年3月末現在、がん診療に携わるすべての医師を対象にした緩和ケア研修の修了者が7万3211人(2016年3月末現在、厚生労働省健康局がん・疾病対策課)となり、7万人を超えた。

■「がん対策推進基本計画」(平成24年6月閣議決定)では、がん診療に携わる全ての医療従事者が基本的な緩和ケアを理解し、知識と技術を習得することを目標としている。また、「がん診療連携拠点病院の整備について」(平成26年1月10日付け健発0110第7号健康局長通知)では、がん診療連携拠点病院の指定要件として、「緩和ケア研修会標準プログラム」に準拠した「緩和ケア研修会」を定期的に実施することが明示されている。

■がん診療地域連携拠点病院数

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日看協の看護職賃金体系モデル

日本看護協会(日看協)は、看護師キャリア開発ラダーなどによる「等級」と、職能や役割の違いによる職群に分けた「複線型人事制度」を組み合わせた看護職の賃金体系モデルを公表した。
 

看護職の「賃金カーブは他の医療職と比べて賃金上昇が緩やかになっている」ことや「経験者が転職や再就職をした際、経験に対する十分な評価が行われていない場合、賃金が低くなる」などの課題が指摘されていた。
 

こうした状況を改善するため、日看協は、職能や役割などの違いを考慮し、「専門職群」と「管理・監督職群」、「高度専門職群」の3つに分類し、それぞれの群については、「新人」や「中堅」、「熟練」といった職能段階や、「看護師長」や「看護部長」といった職位などを踏まえて1-9等級の区分を設けたモデルを作成した。
 

例えば、専門職群の1等級の「新人」は、看護師キャリア開発ラダーのレベルⅠ、管理・監督職群の7等級は「看護師長」にそれぞれ該当すると定めた。また、特定行為研修の修了者や認定看護師は4-8等級とし、職務や役割による組織への貢献に応じて等級を決めるとしている。
 

日看協は、このモデルに加え、多様な人材を確保・活用するための賃金処遇も提案し、夜勤労働に関しては「現行よりも高い評価を賃金処遇に反映させる」とした上で、①1回当たりの夜勤手当を増額する、②深夜割増賃金の乗数を上げる、③夜勤回数に応じて手当を増額するなどの具体的な方策を挙げている。
賃金体系改変によって、看護職が、専門職としてのキャリアアップに加え、やりがいや充実感を持って働ける環境の構築につながることを祈っている。

国立感染症研究所からの病原体漏出時マニュアル案

2016年6月23日、エボラウイルスなど危険性が高い病原体を扱える「バイオセーフティー・レベル(BSL)4」の施設を持つ国立感染症研究所村山庁舎(東京都武蔵村山市)での病原体の外部漏出や、地震に伴う火災などへの対応をまとめたマニュアル案を、周辺住民らで構成する協議会に示した。
 

2015年8月に村山庁舎が国内で初めてBSL4施設に指定されたことや、安全対策に関する検討会が12月に出した「中間整理」の考え方を踏まえ、災害や事故発生時の初動対応や職員の避難、BSL4施設で異常があった際の公表の方法などをまとめた。
 

例えば、武蔵村山市で震度5弱以上の地震があった場合、村山庁舎の建物や設備、BSL4施設内の異常について、市や消防機関、警察に連絡するとともに、国立感染症研究所のホームページで公表することを明記する。
災害や事故などで庁舎の敷地外に影響が及ぶ恐れがある場合は、屋外の放送設備や防災行政無線を使って「速やかに住民に連絡する」としている。
 

また、防火・防災管理者は、被害状況から施設の安全性が確保できないと判断した際は、「村山庁舎の敷地外への避難を決定する」とし、避難場所として隣接する公園と小学校を挙げている。
 

このほか、不測の事態が発生した時の職員の招集や緊急連絡の方法なども提示。招集する職員の範囲については、「概ね1時間以内に参集可能な職員」との条件を挙げ、防火・防災管理者が「緊急連絡先一覧表に基づき、村山庁舎に参集するよう連絡する」としている。
 

協議会の委員からは「1時間以内に庁舎内に来る方が、この職員の中にどれくらいいるのか」といった災害時の対応事項や、マニュアルの位置付けなどに関する質問が出たが、マニュアルの整備に反対する意見は出なかった。

■新潟中越沖地震で駆け付けた看護職員数(実際には20%程度の登庁)

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戦後最大の連続殺人犯か、ドイツの男性看護師

ドイツの元男性看護師(ニールス・H受刑者(39))が、ブレーメン(Bremen)近郊のデルメンホルスト(Delmenhorst)病院の集中治療室で看護師として勤めていたとき、治療を受けていた患者2人の殺害と3人の殺人未遂で2015年に有罪(終身刑)うけ、2月に刑務所に収監された。

同受刑者はさらに、近くの別の病院でも患者を殺害したと供述しており、少なくとも33人の殺害に関与した疑いのあることが2016年6月22日に捜査当局が明らかにした。

ニールス受刑者は以前からデルメンホルスト病院で致死量の薬剤を投与して患者30人以上を殺害したと主張していたが、同病院の患者だった99人の遺体を掘り起こして調査したところ、少なくとも33人が同受刑者による薬剤投与で死亡した可能性があることが判明したという。事実であれば戦後ドイツで最悪規模の連続殺人犯になるという。
 

人間の生命を救い、尊ぶことが求められる看護師がこのような反社会的な行動をとることが残念でならない。教育の機会は均等に与えなければならないとはいえ、 看護師になる以前に見分ける方法はないものか。AIの発展も目覚ましい現在、コンピュータを駆使すればわかりそうなものだが・・・。人の生命にかかわる人はその職業の適性や性格検査などを義務化するぐらいの対策を講じた方がよい。

日看協が薬を飲まない認知症患者対応ガイドブックを作成

認知症のケアをめぐっては、認知症の高齢者の増加に伴い、看護師が病棟だけでなく、訪問看護の現場で対応する機会も増えている。また、家族支援などを包括・集中的に行って自立生活を支える「認知症初期集中支援チーム」に看護師が加わるなど、地域包括ケアを進める上で看護職が果たす役割が重要視されている。
 

日本看護協会(日看協)は、2006年から認知症看護認定看護師の審査を始めるなど、認知症の看護ニーズに対応してきた。昨年6月に開かれた全国看護師交流集会で、坂本すが会長が認知症看護のケアガイドを作成すると表明。多くの専門家の協力を得て、初歩的な知識から最新の政策、ケアや地域連携の実例までを網羅するガイドブックを完成させた。
 

ガイドブックは「認知症疾患と治療」や「認知症ケアにおける倫理」、「多様なケアの場における認知症ケアマネジメント」、「認知症者と家族への支援」など9部で構成。例えば、「認知症の症状アセスメントとケア」の部では、アセスメントツールとその活用方法や、認知症機能障害のアセスメントとケアなどを取り上げて説明している。
 

その中では、「点滴の実施を承諾したのに、処置の際に拒否する」といった事例を示し、「説明した後、どれくらいの時間が経つと忘れてしまうのかをチームで把握し、その状態に応じて順序立てて説明する必要がある」。
説明を繰り返しても薬を飲まない認知症の人に対しては「何度も薬を勧めず、時間を置く」といった対応方法を促すなどとケアのポイントを提示。効果的なケアの手法やポイントを示している。

それぞれの患者に合わせたケアの方法を見つけて援助していく必要性を挙げ、「失敗も成功も経験であり、今後自分の豊かな知識と技術になる」と説いている。

市区町村の4割がアレルギー対策未実施

2014年6月に成立したアレルギー疾患対策基本法では、①食物アレルギー、②花粉症、③アトピー性皮膚炎、④気管支喘息、⑤アレルギー性鼻炎、⑥アレルギー性結膜炎の6疾患について、居住する地域にかかわらず、適切な医療を受けられる体制の整備などを求めている。
 

厚労省はアレルギー疾患における自治体の取り組みを把握する目的で、全国の1741の市区町村を対象にアンケート調査を実施し、回答を得られた1199の自治体(市区町村)の状況を解析した。
 

回答した自治体のうち、747(62.3%)の自治体が、給食の食物アレルギーなどの対策を講じている一方、452(37.7%)の自治体が対策を行っていないことが明らかになった。対策を実施している疾患数については、1疾患が487自治体と最も多かった。
 

厚労省は、対策実施疾患数と自治体の人口分布の関連性についても解析し、「アレルギー疾患対策の実施状況と、自治体の規模(人口)に、明らかな相関はない」としている。
 

厚労省は「対象疾患のほとんどが食物アレルギーだった」と指摘。ただ、1988年以前は対策を実施しているのは40自治体だけだったが、2008年には5倍の約200自治体に増え、現在は700自治体を超え、対策を実施する自治体が着実に増えている。

統合失調症の治療薬「ゼプリオン」で、2年に85人の患者死亡

効力を持続させるために徐々に成分が放出するように作られたデポ剤(depot:注射で投与する薬)。1回の注射で2~4週間効果が持続する。

2016年6月21日、統合失調症の治療薬(デポ剤)「ゼプリオン」で、2013年11月~2016年2月までに医薬品医療機器総合機構(PMDA:Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)に報告された死亡患者は85人に上っていることから、患者支援団体のNPO法人地域精神保健福祉機構は、原因究明・使用中の患者の追跡調査を求める要望書を厚生労働省に提出した。厚労省は、2014年4月にもヤンセンファーマ社(販売元)に医療関係者への注意喚起を求めているが、以後も突然死の減少は見られていない。

デポ剤は、毎日の飲み薬の負担や「自分は病気じゃない」「既に治療して治った」、副作用の苦痛などの休薬による病状悪化防止(再発率53%)、服用量の間違いがないなどのメリットがあるが、投与量の細かな調節ができない、などのデメリットもある。

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■Z-トラック法とは

デポ剤の注射部位反応を防ぐため特に重要な注射法である。

イ)注射針は、筋層まで届く程度の長針で、注射するときの抵抗で組織障害が起こらない程度十分大きな口径(太いもの)を使用する。

ロ)殿部の上部領域に1回あたり3ml未満を注射する。

ハ)筋注が皮下組織・脂肪組織注になっていることが多い三角筋より中殿筋が好ましいとされる。後者の方が吸収速度が遅く、痛みも少ない。前者は橈骨神経損傷の危険性がある。中殿筋の方が患者の羞恥心を刺激するが、安全で痛みが少ないことや、効果も正確であることを十分説明して協力してもらう。

ニ)薬物を吸い上げた後に0.1mlの気泡をシリンジ内に吸入し、注射針を変更する。注射針の変更は、吸入の際に注射針の外側に組織を刺激する薬液、結晶、ガラス片が付着することと、針が曲がるなどすることがあるため必要とされる。

ホ)酒精綿で注射部位をふき乾かす。乾かしていないとアルコールが結合組織内に浸透し、局所刺激(痛み・滲みる)を引き起こす。

ヘ)注射部位の皮膚を一方に引っ張り、しっかりと保持する。

ト)薬物を緩徐に気泡も含めて注射する。気泡は注射針から筋肉中に最後まで注入し、注射針を引き抜いた時、結合組織に薬物が残らぬようにする。 注射は気泡が最後に入るようにする。

チ)注射針を引き抜く前に約10秒間待った後に素早く抜き、皮膚を乾かす。

リ)注射部位は決して揉まない。揉むと薬物が筋肉からしみでてしまい、結合組織に浸透する危険性がある。

ヌ)軽くガーゼで押さえる。

問題点:このZ-track法を行いながら注射するのはデポ剤では相当な力がいる。

Belangerら(1982、1985)によればデポ剤にZ-track法を用いることで大半の注射部位反応が消失している。

健康延伸につながる発明なるか

サーチュイン遺伝子は昆虫から哺乳類まで殆どの生物が持つ遺伝子で、これを活性化させると寿命が20~30%ほど延びると言われいる。人間に応用すると寿命が100歳以上に延びることになる。

老化を抑制する効果が動物実験で判明しつつある物質を人間に投与し、安全性や効果の有無を調べる臨床研究を、慶応大と米ワシントン大(ミズーリ州)が2016年7月に国内で開始する計画であるという。
 

慶応大の倫理委員会が近く、計画の妥当性などを審査する。承認されれば、まずは10人程度の健康な人への投与で安全性を確認し、その後数年かけて、体の機能の改善効果の有無を調べる。
 

この物質は「ニコチンアミド・モノヌクレオチド(NMN)。で、ワシントン大の今井眞一郎教授(51)(老化学)らの研究で、NMNが老化を抑える役割を持つ遺伝子サーチュインを活性化することが判明した。マウスにNMNを投与する実験では、老化にともなう代謝や目の機能などの低下が改善されることもわかってきた。現在までに分かっている実験では、①メスのマウスにNMNを投与したら寿命が16%延びる、②糖尿病のマウスに1週間NMNを投与したら、血糖値が正常に、③生後22カ月(人間では60歳)のマウスにNMNを1週間投与したら、細胞が生後6カ月(同20歳)の状態になったという。

■NMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)とは

ビタミンB3からつくられる物質で、わたしたちが身体の機能を保つのに必要なNADという物質に変換される。老化すると、このNADという物質が各臓器で減少する一方で、NMNを体内でつくる能力も減少していく。つまり、NMNという物質は人体の臓器を修復する上で重要だが、これが加齢によって減少してしまい身体機能が保てない、修復できないということになる。