厚生労働省の推計によると、2012年に約462万人に達した認知症の人は、25年には1.5倍の約700万人にまで増えるとみており、認知機能の低下を防ぐ薬の開発や効果的な予防方法の確立が急務となっている。
認知症は、健常者から前臨床期、軽度認知障害を経た上で、軽度・中等度・進行期の認知症へ移行することが少なくないことから、認知症予防を目的として、国立精神・神経研究センター(NCNP:National Center of Neurology and Psychiatry)は、新オレンジプラン統合レジストリ;「IROOP(アイループ):(Integrated Registry Of Orange Plan)」の運用を開始すると発表した。
40歳以上の健常者を対象として、インターネット登録システムで登録を受けつける。
登録対象者は、国内に在住し日本語を母国語とする40歳以上の健康な国民で、アンケートに回答後、電話で記憶力のチェックを受ける仕組みで、結果は翌日から閲覧が可能となる。
さらに、半年ごとに行うアンケートで入力された登録者の生活習慣などの情報を蓄積。記憶力の経過に関連する因子を調査・解明し、認知症の発症予防につなげたい考えだ。
初年度は8000人の登録を予定しており、全国の病院や認知症疾患医療センターなどにポスターを提示するなどして登録者を募るという。
欧米では既にNCNPと同じようなシステムを運用し、アルツハイマー病の予防研究や治験に役立てている。
NCNPは「広く健常者の登録を募り、今後の認知症予防研究で、認知症薬の開発のための臨床研究や治験の促進につなげるとしている。