月別アーカイブ: 2016年11月

採用活動安定化で臨床研修病院指定、申請期限を前倒し

臨床研修病院の申請書の提出期限は、研修を始める前年度の6月30日までで、その約2カ月後に開かれる医道審議会医師分科会医師臨床研修部会で申請書の内容を基にした審査を実施している。

ただ、臨床研修医の採用活動は前年度の4月ごろから行われており、実際に指定を受けることができるかどうか不明な状況で採用活動が行われる期間が生じていることから、こうした状況を改善しようと、厚生労働省(厚労省)は、申請書の提出期限を研修開始年度の前々年度の10月31日(臨床研修病院の指定を受けようとする病院開設者が提出する申請書の提出期限を8カ月前倒し)に早め、安定した採用活動につなげる方針だ。

厚労省は医師法で規定する臨床研修に関する省令の一部を改正し、7月1日から施行する方針で進めている。

■臨床研修制度

医師法16条で、診療に従事する医師は2年以上、臨床研修を受けることが定められており、医学を履修する課程を置く大学の附属病院や厚労相が指定する病院で臨床研修が行われている。

誤嚥しにくい水分補給ゼリー

医薬品メーカーのキッセイ薬品工業(長野県松本市)は、滑らかな飲み心地を保ち、誤嚥しにくい水分補給ゼリー「のみや水」を開発し、販売を始めた。
 

一般的な水分補給ゼリーは、時間が経つと、ゼリーと液体が分離して飲み込みにくくなるといった課題があった。「のみや水」は、原料にゲル化剤のペク
チンを加えることで、分離を抑えて常に滑らかなのど越しで水分を補給できるようにした。

高齢者の肺炎患者の7~8割は誤嚥性肺炎である。再発を防いだり、少しでも患者を減らすためには誤嚥を減らす対策が必要となる。口から飲食できることで生きる喜びも生まれる。食べさせずに誤嚥防止するのではなく、食べさせても誤嚥しない方法を工夫しなければならない。
 

医療機関や介護施設、在宅で大いに活用するとよい。
 

1パックは150グラム入り、99円(税込み)。

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災害と避難場所の適否ピクトグラム完成

2015年6月、2020年東京五輪・パラリンピックに向け、政府が災害時の避難場所を示す図記号「ピクトグラム」を全国的に統一した上で、国際規格(ISO)への登録を目指す作業を進めていると発表した。

外国人旅行者でも意味が理解できるピクトグラムは、1964年の東京五輪の際に活用され、世界に広まった。政府は20年大会を機に、東日本大震災を経験した国(東日本大震災時に、自治体指定の避難所が津波被害に遭う例があった)として世界に分かりやすい避難場所ピクトグラムを発信・普及させるため、国際標準化機構(ISO)にも登録を申請する。

2002年、国は、人が楕円形のエリアに駆け込む図柄を避難場所の図記号として標準化する日本工業規格(JIS)に制定した。総務省によると避難場所は全国に3万7181か所(14年10月現在)あり、02年以降に設置された案内板などはこの図柄に統一されつつあるが、今なお、バラバラに使っていた図記号が各地に残るという。また津波のマークは2014年に制定された。

2016年3月22日、経済産業省は、津波や洪水など災害の種別ごとに異なる新たな図記号「ピクトグラム」を日本工業規格(JIS)に制定した。
 

制定した図記号は「津波/高潮」「洪水」「土石流」「がけ崩れ/地すべり」「大規模な火事」の5種類で、波や土砂のイラストで表した。人が楕円形の中に駆け込むイラストで「避難場所」を示す既存の図記号と組み合わせて使う。また、避難場所として適切かどうかを示す「○(まる)」と「×(ばつ)」のマークも規定した。例えば、海沿いの低地にある避難場所は、「津波」の図記号と「×」のイラスト表記で、日本語の読めない外国人にも理解してもらいやすくしている。

今後、各都道府県の防災担当者などに利用を呼びかけ、各地域で想定される災害のマークと、避難場所への方向・距離を示すよう求めていく。また、振り仮名と外国語の併記も望ましいとしている。

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自殺対策推進本部の設置、厚生労働省

2016年3月22日、厚生労働省は、自殺対策官民連携協働会議で省内に「自殺対策推進本部」を設置する方針を明らかにした。4月から自殺対策の人材育成や調査研究などの業務が内閣府から移管され(組織や人員の体制についても内閣府の方からそのまま引き継ぐ)、支援体制の拡充を図り、「地域自殺対策推進センター」を全都道府県に設置することから、一元的な対応を図るために必要としている。また、全国で30以上の自治体に設置されている「地域自殺予防情報センター」については、「地域自殺対策推進センター」に改組し、「全ての都道府県・指定都市への計画的な設置に向けて取り組む」としている。

厚労省に移管される16年度予算は約26億3600万円が見込まれている。この予算のうち9割以上を地域自殺対策強化交付金(新規)が占めており、地域レベルにおける自殺対策を推進するため、地域の実情に応じた取り組みを行う地方公共団体や民間団体に対して支援を行うとしている。

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名刺交換の作法

特に看護管理者になると、地域との交流が増えることから名刺交換の機会も増える。名刺交換は相手に自分を覚えてもらう紹介の場であり信頼関係を築く第一歩である。正しいマナーで信頼を損なわないように気を付けたいものである。

まず、名刺は専用の名刺入れに20枚ほどを入れて、取り出しやす所にしまっておく。

 交換の仕方は、①自分の名刺を両手で先に渡してから相手の名刺を受取る方法、②相手と同時に片手で交換する方法がある。相手の正面に立って顔を見ながら行い、机やテーブル越しの交換は行わない。

両手で渡すときは、相手が読める向きにした名刺を名刺入れの上にのせ、病院名や氏名を名乗りながら名刺入れごと相手に差し出す。
 

同時に交換するときは、病院名やロゴ、氏名が指で隠れないように名刺入れの上において、左手で名刺入れを持ち、右手で相手の名刺入れの上に乗せるようにして名刺を渡す。自分も同様に受け取る。受け取ったら右手を添えて胸の高さで保持し記載の確認と氏名の確認をする。着席して話をする場合は、名刺入れの上に名刺を載せてテーブルに置く。

用件が終わるころに名刺入れに名刺をしまう。

対外での交流は病院の看板を背負っているので恥ずかしくないマナーに心がける。

豚の細胞で糖尿病が改善

大塚製薬工場は、糖尿病治療のために豚の膵島をカプセルに封入して移植する臨床研究をアルゼンチンで実施し、糖尿病患者4人(全員)の血糖を下げられたと発表した。

対象は、膵臓にある膵島の細胞委が破壊され、血糖を下げる働きのあるインスリンを分泌できない1型糖尿病の患者である。豚の膵島から分泌されるインスリンの構造や機能が人とほぼ同じことから豚(無菌状態で飼育した)の膵島から採取した膵島を直径0.5mmの特殊な素材のカプセル(免疫拒絶反応を起こさずインスリンが染み出るように加工した)で覆い、体重1kgあたり2万個を2回に分けて点滴で腹部に移植した。

その結果、ヘモグロビンA1cが4人全員が下がり、2年以上にわたる平均値で基準値7%未満を維持した。3人の患者のインスリン量を減らすことができ、健康被害も起きていないという。

現在行われている脳死提供者からの膵島移植(提供者が少ない)やiPS細胞からインスリンを分泌する細胞を作るまでにはまだ年月がかかることから将来的に豚の膵島移植が実用化されれば重症の糖尿病の患者を救うことが期待できる。

■HbA1c(ヘモグロビンA1c)とは

高血糖状態が長期間続くと、血管内の余分なブドウ糖は体内の蛋白と結合する。この際、赤血球の蛋白であるヘモグロビン(Hb)とブドウ糖が結合したものがグリコヘモグロビンで、何種類かあるグリコヘモグロビンの中で糖尿病と密接な関係を有するものが、HbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)で、赤血球の寿命がおよそ120日(4ヶ月)ということから、赤血球はこの間ずっと体内を巡って、余った糖が多ければ血管内のブドウ糖と少しずつ結びつき、HbA1cも多くなる。HbA1cの基準値は4.3~5.8%で、6.1%以上であればほぼ糖尿病型と判断して良いことになっている。血液中のHbA1c値は、赤血球の寿命の半分くらいにあたる時期の血糖値の平均を反映します。すなわち外来で血液検査をすると、その日から1~2ヶ月前の血糖の状態を推定できることになる。

血栓予防、メディカルバイオラバー

医療やスポーツ分野などでのラバー製品の開発、販売を手掛ける山本化学工業(大阪市)は、常温で赤外線を放射しながら適度な圧力で下肢の静脈血の流れやリンパ液の流れを促進する「メディカルバイオラバー」の販売を始めた。
 

「メディカルバイオラバー」は、末梢から中枢に向かい段階的に圧迫圧を弱める設計で、下肢の静脈血、リンパ液のうっ滞を軽減、または予防して静脈還流を促し、血栓やエコノミークラス症候群などの予防効果が期待される。また、素材には希少金属を配合し練り込み、赤外線を放射することで、着用後数分で温かさを感じるという。
 

価格は、腰タイプが12万5000円、太ももタイプ18万5000円、ふくらはぎタイプ16万円、足首タイプが5万円(各税別)。

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妊婦の喫煙で胎児のDNAに変化

2016年3月31日、妊婦による喫煙は、発育中の胎児のDNAに科学的な変化を生じさせ、子どもを危険にさらす恐れがあるとの研究論文が発表された。6000組以上の母子を対象とする大規模調査に基づく結果だという。
 

妊婦の喫煙をめぐっては、死産のほか、新生児に先天的な口蓋裂、肺病、神経行動学的な問題などの原因となる恐れがあるため、医師らは長年、妊娠中の喫煙を避けるよう警告してきた。
 

こうした警告にもかかわらず、米国では妊娠中の女性約12%が喫煙を続けるという。タバコの煙に含まれる化学物質は、子どもを守る胎盤を通過して胎児へと到達する。
 

研究チームは、喫煙による胎児のDNAの変化がどのような仕組みで起きるのかを調べるため、小規模な先行研究13件のメタ分析を行った。これらの先行研究の一部では、「メチル化」としても知られるDNAの化学的変化と喫煙との関連性が示唆されていた。
 

メタ分析で対象となった新生児6685人のうちの約13%は、妊娠中に日常的に喫煙していた母親から生まれた子どもだった。妊娠中に時折喫煙していたか、妊娠初期に禁煙していた母親を持つ子どもは同25%だった。 研究チームはまた、日常的な喫煙者のグループで「DNAが化学的に変化した箇所を6073箇所」特定。非喫煙者の母親を持つ新生児のものと「異なっている」ことを確認した。
 

米科学誌「アメリカン・ジャーナル・オブ・ヒューマン・ジェネティクス(American Journal of Human Genetics)」に掲載された研究チームの論文によると「これら特定箇所の約半数は、特定の遺伝子に関係している可能性がある」という。
 

米国立環境衛生科学研究所(NIEHS)の疫学者、ボニー・ジュバート(Bonnie Joubert)氏は、「多くは発生経路に結びついていた」と述べ、肺や神経系の発達、喫煙に関連するがん、口唇裂や口蓋裂などの出生異常などに関連する遺伝子で変化が認められたと指摘した。これらのDNAの変化は、出産後に採取された臍(さい)帯血のサンプルで確認された。母親が妊娠中に喫煙した頻度が低いほど、この変化がより不明確だった。
 

また、妊娠中に喫煙していた母親を持つ、より年長の(平均年齢6歳の)子ども数百人のグループでも、一部のDNAの変化が依然として明確
に残っていることが、別の分析で明らかになっている。
 

米ユタ大学(University of Utah)のクリストファー・グレッグ(Christopher Gregg)助教(神経生物学・解剖学・人類遺伝学)は、今回の研究における規模の大きさが、「母親の年齢や社会・経済的地位などの潜在的な外的影響(交絡)因子をより効果的に排除するための」助けになると指摘。結果は「大きな影響力」を持つと評した。同助教は、今回の研究には参加していない。

「妊娠中の女性にタバコは禁物という考えは十分に確立されているが、今回の研究結果は、妊娠中の喫煙が、子どもの小児期まで残存する永続的な影響をゲノム(全遺伝情報)上に残すことを明らかにするとともに、これらの影響を特に受けやすいゲノム内の位置と遺伝子を特定している」とグレッグ助教は説明した。
 

米ノースカロライナ州立大学(North Carolina State University)のマイケル・カウリー(Michael Cowley)助教(生物科学)は「これらの影響が疾病リスクの増加に実際に関与しているかどうかは、今回の研究からは判断できないが、喫煙に関連する後成的変化の機能的関連性が今回実証されたことは重要だ」と指摘。「喫煙に関連する後成的変化と子どもの疾病との間の因果関係を証明するには、さらに研究を重ねる必要があるが、今回の研究はそれを構築するためのしっかりとした基盤を提供している」と述べた。

認知症のケア方針、「ない」サービスが主流

2016年3月16日、厚労省は、「平成27年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査」(2015年度調査)で、認知症の人に対するケアの方針を組織として定め、文書などで共有している法人や事業所は、多くの介護保険サービスでまだ少数派であることを社会保障審議会介護給付費分科会の介護報酬改定検証・研究委員会で示した。
 

認知症高齢者へのサービス提供に関する実態調査では、訪問介護や訪問リハビリテーション、訪問看護、通所介護、認知症対応型通所介護、グループホーム、特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護療養型医療施設など、13の介護保険サービスの9991カ所の施設や事業所に、郵送によるアンケート調査を実施し、4410カ所から有効回答を得た。
 

ケアの方針の有無を尋ねた質問では、「ある」と答えた事業所の割合が最も高かったのは、グループホームの77.9%だった。次いで高かったのは認知症対応型通所介護(71.1%)で、小規模多機能型居宅介護でも65.0%が「ある」と答えた。しかし、「ある」と答えた施設や事業所が半数を超えたのは、この3サービスのみで、訪問リハビリテーション(21.3%)や訪問看護(28.7%)、介護療養型医療施設(29.6%)では、その割合が3割にも達しなかった。
 

調査では、①認知症対応型通所介護や特定施設入居者生活介護、小規模多機能型居宅介護、グループホームでは、重度の行動心理症状を持つ認知症の人が多い、②特養や老健、介護療養型医療施設では、重度の認知機能障害やADL(日常生活動作)障害、IADL(Instrumental Activities of Daily Living:手段的日常生活動作能力のことで、交通機関の利用や電話の応対、買物、食事の支度、家事、洗濯、服薬管理、金銭管理など、自立した生活を営むためのより複雑で多くの労作が求められる活動)障害を持つ認知症の人が多い一方、行動心理症状については軽度の人が比較的多いなどの傾向も明らかになった。
 

また、中山間地域などにおけるサービス提供に関する調査では、災害救助法適用地域や避難指示区域を抱える自治体を除いた1679カ所の市町村に、郵送によるアンケート調査を実施。1185カ所から有効回答を得た。
 

このうち中山間地域などがある671カ所の市町村に対し、人員・設備・運営基準の一部を満たしていなくても、市町村が必要と認めればサービスが提供できる「基準該当サービス」の認知度について尋ねた質問では、「内容や用途について具体的に把握している」と答えた自治体は20.6%だった。最も多かったのは「内容や用途のおおよそは把握している」の57.2%だったが、「把握していない」と答えた市町村も18.8%あった。
 

同様に、指定サービスや基準該当サービスの確保が著しく困難な離島などにおいて、市町村が認めた場合、人員・設備・運営基準が緩和され、柔軟なサービス提供が可能となる「離島等相当サービス」の認知度について尋ねた質問では、「内容や用途について具体的に把握している」と答えた自治体は9.4%にとどまった。最も多かったのは「把握していない」の47.1%で、「内容や用途のおおよそは把握している」は38.6%だった。

■記憶を戻す実験に成功

理化学研究所の利根川進・脳科学総合研究センター長らが、アルツハイマー病のマウスを使った実験で思い出せなくなった記憶を引き出すことに成功し、3月17日の英科学誌ネオチャーに発表した。
アルツハイマー病は記憶が消えるのではなく、記憶を思い出す機能が働かなくなる病気であることを示唆する結果としている。
 

正常なあマウスとアルツハイマーのマウスを飼育箱に入れ、それぞれ脚に弱電流を流して、不快な体験を記憶させた。その後箱から出し、24時間後に箱に戻すと正常なマウスは不快な体験を思い出して怯えたが、アルツハイマーのマウスは変化しなかった。そこで記憶を担っている脳細胞を刺激すると正常なマウスと同じように怯えるようになった。

救命士の活動の場は救急車内に限定、技術活用できない人も

救急救命士の登録者数は5万448人(2015年4月末現在)で、業務として救急救命処置を行えるのは、原則として救急車内とされている。こうした制約があるため、消防機関に所属しない登録者(約1万7600人)の中には、技術を有効に活用できない人が少なくない。

2016年3月16日、総務省消防庁は、救急業務のあり方に関する検討会の報告書案で、社会的な要請があるにもかかわらず、活動の場がほとんどない消防機関以外の救急救命士について、活用方法やメディカルコントロール(MC)体制の整備などを議論し、活用が期待される具体的な場面や想定される課題を整理した。
 

報告書案では、活用が想定される場面として、①地域包括ケアシステム、②大規模施設・大規模イベント、③消防署がない離島や山間地といった一部の地域では、役場の職員が医療機関に搬送する「役場救急」を提示した。地域包括ケアの中では、搬送の支援に加え、福祉や医療機関による対応が必要な場合、専門職種につなぐ役割を積極的に果たすことが期待されるという。
 

また、「役場救急」が実施されていることに触れ、「こうした場合にも、消防機関以外の救急救命士の活用が想定できる」と指摘。全国的な救命率の向上を図る観点から、高度な技術を持つ救急救命士の“戦力化”を求めている。
 

消防機関以外の救急救命士を活用する際、「医師のコントロール下での質の担保」や「地域MC協議会におけるプロトコルの共有・調整」といった条件を確保することを要望。「既に構築されたMC協議会の枠組みを活用して救急救命士の活動を支えることも考えられる」とした。

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