月別アーカイブ: 2016年10月

原料血漿1リットル当たり100円超値上げ

2016年3月、厚生労働省は、薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会に対し、血液製剤の原料血漿の価格を値上げする計画案を示し、了承された。1リットル当たり140-150円値上げする。血液製剤の価格に影響が出る可能性もあるため、今後、製造コストの見直しなどが求められそうだ。
 

原料血漿からは、循環血漿量の是正などに使われるアルブミン製剤や、血友病Aの治療に使われる血液凝固第Ⅷ因子製剤などが製造されている。
 

計画案では、2016年度に確保する原料血漿は95万リットルとしており、1リットル当たりの標準価格については、「凝固因子製剤用」が前年度比150円増の1万1100円、「その他の製剤用」は同140円増の1万160円とした。
 

原料血漿の価格は、血液の確保から供給までに必要な検査員や事務職員らの人件費や材料費、輸送・貯留保管経費などを基に算出する。
 

ただ、こうした原価計算方式では、15年度の価格よりも2000円以上高くなることが判明したため、米国の原料血漿価格が1年間で値上がりした分(1.3%)を参考にして16年度の価格を出したという。

血漿95万リットルは単純計算で約105億円になる。原料は無料、奉仕・博愛の精神の国民の心によるもの。輸血製剤の収益は本当に赤十字社の献血にかかわる職員の人件費や運搬費などの必要経費のみに使途されているのであろうか。大学運営や病院運営に補填されているようなことがないように願う。

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出血の恐れのあるIABPカテーテル回収へ

2016年3月2日、東京都は、医療機器の販売などを手掛けるテレフレックスメディカルジャパン(新宿区)が、アローレディガードIABPカテーテルセット(一般名バルーンポンピング用カテーテル)の自主回収を始めたと発表した。
 

同カテーテルは、心不全の人に対して血液の循環をサポートするためのもので、カテーテルを足の付け根あたりの動脈から挿入して心臓付近の大動脈内でバルーンを拡張・収縮させ、心臓の血液の送り出しを補助する役割がある。
 

都によると、同社は製造元から、医師がカテーテルを血管に挿入しやすくする「シースイントロデューサー」を使用する際、血管に入れる「シース」が、止血弁の付いた「シースハブ」から分離する事例があったとの報告を受け、分離した場合、「出血の恐れがある」ことから、自主回収する必要があると判断し、2014年5月から2016年1月にかけて、全国の86の医療機関に納入した計962セットを回収する。現在、国内での重篤な健康被害に関する報告はないという。

同社同製品は、平成21年2月にも「ガスドライビングチューブを補助循環用バルーンポンプ駆動装置(以下、ポンプ)に接続したとき、ガスドライビングチューブ内配線不良により、カテーテルのバルーン容量を誤認識した事例が全世界で7例あり回収している。

■カテーテルシステムの安全性

ポンプは、カテーテルにつないだガスドライビングチューブを接続すると、バルーン容量を自動認識する。バルーン容量は使用前点検により確認されることから、誤認識があった場合にはポンプ駆動前に使用は直ちに中止されると考えられる。

もし誤認識の状態で使用された場合、以下のことが考えられる。ポンプがバルーン容量の値を実際の値より小さく認識した場合、治療の有効性の低下をきたすおそれがあるが、ポンプのモニタリング波形は明らかに正常とは異なるため早期に検知できる。

ポンプがバルーン容量の値を実際の値より大きく認識した場合、ポンプは圧センサーにより過剰な圧力を感知し、ハイプレッシャーアラームを発生させ、直ちにポンプ停止させる機能を有している。

以上から、バルーン容量の誤認識を気付いた時点で、医療従事者が適切な措置を行なうことにより、患者への重篤な健康被害の発生は考えられない。

介福士国試受験要件、実務3年以上を年度内3年以上に

厚生労働省は、現場から介護福祉士を目指す人の受験ニーズに応えるために、2017年度の介護福祉士国家試験から、実務経験者に求められる受験要件の経験年数の取り扱いを変更する方針を固めた。
現在は、筆記試験の前日までに3年以上の経験があると見込まれることを受験資格としているが、来年度から受験年度末までに3年以上の経験があると見込まれることに変更する。 
 

具体的には、例年1月に行われる筆記試験の前日までに3年以上の経験が必要とする規定を、「受験年度末までに3年以上」とする。この変更により、特に年度初めに就職する多くの介護職員にとって、実務経験の規定を満たしやすくなることが期待される。

介護士の離職、介護離職ゼロは共倒れ

2016年2月27日、政府が掲げる「介護離職ゼロ」の実現に向け、親の介護のために離職した人やカウンセラーらでつくる介護離職防止対策促進機構(東京都渋谷区)が発足した。

同機構では、仕事と介護を両立できるノウハウを発信し、介護をしながら働きやすい社会をつくることを活動の目的としている。主な取り組みとして、①介護離職防止対策評価基準制度(評価基準制度)の運営、②介護離職防止に向けた先進的な対策を行う企業の表彰、③介護のために離職した人や働きながら介護する人への支援▽介護離職を防止するための啓発などを行う。このうち、評価基準制度では、独自に設定した基準によって、企業の従業員が介護離職をするリスクの度合いを判定し、課題を浮き彫りにして、対象企業の対策の促進や介護による離職者の再就職支援などにつなげることにしている。評価の基準については、介護や労務、法律に関する外部の有識者らが1年後をめどに設定するとしている。
 

先進的な取り組みを行う企業に対しては、①仕事と介護の両立支援の管理職セミナーの開催、②介護者への定期的なアセスメントの実施、③相談窓口の設置などを審査基準に、年2回の表彰を予定しているという。
 

以上のように居宅介護に関しては企業への働きかけにより離職ゼロを目指しての取り組みが始まった。しかしながら、高齢化が進む中で企業もどれだけ持ちこたえられるであろうか。介護の必要な従業員が増えていけば業務に支障が出てくる。一方、介護士の勤める老健施設などは今後介護度の高い人ばかりの入所となる。今以上に労働力を要する人ばかりになっていく。介護士もいずれ悲鳴をあげ始めるであろう。さらに介護士の離職率は高くなると予想される。なぜなら、要支援者1・2の人達がいるから、少し息が抜けるバランスが取れているが、勤務時間中、継続して息を抜けない状況になれば、そのストレスは計り知れない。その分人が増え、一人当たりの労働(ストレス)が減少されればよいが、人が増える可能性は極めて少ない。今後必要な介護士は50万人という試算がある。年間に8~9万人が介護福祉士の試験に合格している。現職の介護福祉士が一人も離職しないと仮定してもあと6年たたないと目標の人数には達成しない。団塊の世代が後期高齢者になっても目標までに達成するのは難しい。

■団塊の世代の人口

団塊世代は現在の約2.5倍の出生数である。

一般に団塊世代という場合には、1947年から49年までの3年間 に生まれた世代を指す。 厚生労働省の『人口動態統計』によると、 この3年間の出生数は約806万人で、その後の3年間の約648万人 に比べて24.3%も多い。

患者考、-好かれる患者、嫌われる患者-

患者が看護師の良し悪しを観ているように看護師も患者の良し悪しを観ている。看護師が、そのことを患者や家族に伝えることはもちろんないが、おおよそ次のような患者は嫌われる


①自分の主張ばかりをする。他の患者のことを考えない自己中な患者や家族、②病気を人や仕事のストレス、遺伝のせいなどにする、③治療や看護の必要性を理解せず拒否ばかりする、④看護師を使用人のような言動で接する、⑤スケベなことをいう(する)患者や家族などは嫌われる。

好かれる患者は、真剣に自分の病気と向き合い努力をしている人、またそうした患者を一生懸命に支援する家族は好かれる。よいことではないが、病気の症状が重くても明るく振る舞おうとする人も、やはり特に手助けをしたくなる、好感度が高い。

タルクの使用は要注意、卵巣がんも

2016年2月23日、ロイター電が衝撃的なニュースを伝えた。
 

米ミズーリ州巡回裁判所の陪審が、医薬品・日用品大手メーカー「ジョンソン・エンド・ジョンソン」(J&J)に対して7200万ドル(約80億円)の損害賠償支払い命令を出した。
 

卵巣がんを引き起こす恐れがあると指摘されている成分(タルク)の入った「ベビーパウダー」などの製品を、警告表示なしに数十年にわたって販売していたことに対して、長年にわたって同社の「ベビーパウダー」「シャワートゥシャワー」を使用した結果、卵巣がんで死亡した女性の家族が起こしていた損害賠償請求がミズーリ州巡回裁判所だけで約10000件も起こされ、今回、7200万ドルの損害賠償支払い命令が出た。
同様の訴訟は、ミズーリ州だけではなくニュージャージー州でも200件起こされている。 
 

J&J社の広報担当者は、「消費者の健康と安全性については十二分の責任をもっており、裁判の結果には失望している。原告の家族に対しては気の毒に思うが、化粧品用タルクの安全性は数十年におよぶ科学的証拠によって裏付けられていると確信している」とコメントした。 
 

今回のミズーリ州での裁判でJ&Jに賠償支払い命令が出たことは、他州での裁判にも大きな影響を与える。また、タルクの安全性を巡っては日本でも20数年来論議が続いており、なによりもこの裁判の結果に震撼しているのが日本の大手トイレタリーメーカーであろう。卵巣がんの原因になる可能性があるとの専門家からの指摘がある原料のタルクは、「ベビーパウダー」「白粉(おしろい)」「ファンデーション」「口紅」「アイシャドウ」「保護クリーム」「フェイスマウス」「パック」など、広範囲に使用されている。
 

タルクは滑石(かっせき)を微粉化したもので、白色顔料として使われている。また同じ白色顔料の酸化チタンのつや消しにも利用されている。主成分はケイ酸マグネシウムで、化粧品には古くから白粉用、メイクアップ用の下地として使われてきた経緯がある。
 

肌を白く見せる効果のほか、タルクを皮膚に塗ると滑りが良くなり、吸着力が上がるという効果がある。また、そうしたことから、コンドームの潤滑剤にも使用されている。
 

タルクは「1級発がん物質」に指定されているアスベスト(石綿)と非常に似た構造式を有しており、性質も極似している。粉塵となったアスベストを吸入すると、呼吸器障害の「石綿症」や肺がんを引き起こす原因になり、20~50年間という長い潜伏期間ののちに発症する。
 

卵巣がんで死亡したミズリー州の女性も数十年にわたってタルク含有製品を使用していた。
タルクと卵巣がんとの関連では、1995年にアメリカのチャンドラー博士が「タルクは卵巣がん、卵管繊維症、不妊の原因となる可能性がある」(医学誌JAMA)と、指摘している。 
 

1930年代まで、手術用の手袋を使う時に滑りをよくするために、タルクを手袋に付着させていた。しかし、術後の患者が肉芽腫性腹膜炎などを起こすこととの関連性が疑われ、タルクの使用をやめたという経緯がある。
 

化粧品は皮膚に塗るだけで、タルクは体内に侵入しないのだから問題はないという指摘もあるが、今のタルクは以前と比較にならないほど微細化している。また、今の化粧品は美白成分などの有効成分を肌の奥まで浸透させるために、合成界面活性剤で肌のバリア層を破壊している。バリア層が破壊されれば、タルクなどの成分が体内に侵入する。
 

「ベビーパウダー」などは、ただれ防止によく赤ちゃんの性器の周りにもパタパタつけているが、最悪である。性器の粘膜には異物を体内に取り込まないようにするバリア層はないので、赤ちゃんの体内にもろにタルクを取り込んでしまう。
 

タルクは酸化チタンと併用されることが多い化粧品成分で、その酸化チタンは今、ナノサイズ化されており、毛髪の直径の10万分の1という長さである。ここまで物質が「ナノ化」されると、人体を異物から守るブロック機能は役にたたない。
 

2009年に東京理科大学薬学部ナノ粒子健康科学研究センターは、ナノ化した酸化チタンをラットに投与した実験結果を発表している。それは「酸化チタンのナノ粒子が次世代の脳神経や生殖系に悪影響を与える」というものだ。妊娠中や子どもを作りたい人は、タルクや酸化チタンが含まれている化粧品や食品は、避けるべきである。

入浴中の急死の対応

安全な入浴法とされる「湯温41℃以下/10分未満」の両方を満たしているのは42%。消費者庁が発表した、このような調査結果(55歳以上の3900人を対象に2015年12月調べ)がある。また、少し前のデータだが、平成11年度、東京都健康長寿研究センターが、東京消防庁のデータを基に、全国で入浴中に急死した人の数を算出したところ年間約1万1000人、同年の交通事故死9006人を上回っていた。
 

不幸にして身内の誰かが浴槽死に見舞われた場合、警察への通報は最優先だが、浴槽死の現場をどうするか……。
 

実は、そのようなケースにも対応してくれる特殊清掃業者がある。
最近は換気機能が充実しているとはいえ、総じて狭い空間である浴室での死には、臭気が伴う。同居者が直後に発見した場合はまだしも、時間が経過すればするほど臭気の密度は高まる。日本法医学会調査委員会による『浴槽内死亡事例の調査』(平成24年度)でも、故人の入浴開始から溺没発見されるまでの経過時間は「6時間以上」が最多という。浴室という環境を思えば、無臭は皆無だろう。
 

さらに、遺体の発見が遅れたら、湯温や湯量の別なく、浴槽内の水には体液や脂、髪の毛や皮膚が状態や環境に応じて混ざっているだろう。動揺のあまり(あるいは警察の到着も待たずに)不用意に浴槽の栓を抜いてしまえば、それらが配管を塞いで詰まり、後々の処理を難儀にしかねない。
 

そこで特殊清掃作業の発注、浴槽死処理に関するプロフェッショナルの登場である。事前に彼ら第三者の立ち入り許可も警察に申請しなければならない。
A社の場合、問い合わせ電話で依頼者の氏名・連絡先・現場の住所&状態・作業の希望日時を告げれば、概算の見積もり金額を口頭で伝えてくれる。
 

同社でも一番需要の多い湯沸かし機能付きユニットバスの場合、経験則から独自開発された散水剤で殺菌消毒と初期消臭がまず行なわれる。これは浴室内の臭気が外部に漏れ、他の生活空間に臭気が染み出てしまうとかの2次被害を回避するためである。
 

次に浴槽内の水に溜まった各種の汚染物を取り除く作業に入るが、他範囲にも広がった汚染物の除去作業はドアレールや排水管を外し、蛇口のボルト部分も擦り落として隅々まで丁寧に行なわれる。給湯器内など普段はあまり触れない箇所にもヌメリ、菌が繁殖しており、これが臭気を吸収して汚染物に代わる臭気の発生源となるので徹底的に除去される。
 

上記の作業後は「敗血症」につながりかねない大腸菌や「レジオネラ肺炎」を引き起こす菌などの繁殖ぶりを水質検査するため、最速でも2週間(A社例)を要する。
 

もう一つ、浴槽死の場合は保険金の支払いもどこか曖昧だ。事件性がなければ検案医からは「急性心不全」とか「虚血性心疾患」と診断されやすい。基本的に生命保険は支払われても、これらの浴室内の病死では「急激・外来・偶然」を要件とする傷害保険の支払いは原則ない。
 

仮に病名を否定し、足を滑らせての転倒死などを立証するにも遺体のCT検査は保険請求者側の負担。結果もあくまでも推測の範囲と保険会社から突かれて支払われない例が多い。したがって、浴槽死の悲劇に伴う意外な負担や不測の落胆は少なくない。

■OECD( Organisation for Economic Co-operation and Development)加盟国
OECDは、経済協力開発機構といい、先進国間の自由な意見交換・情報交換を通じて、1)経済成長、2)貿易自由化、3)途上国支援(これを「OECDの三大目的」という)に貢献することを目的としている。
 

イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、フィンランド、スウェーデン、オーストリア、デンマーク、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、アイルランド、チェコ、ハンガリー、ポーランド、スロヴァキア、エストニア、スロベニア、日本、アメリカ合衆国、カナダ、メキシコ、オーストラリア、ニュージーランド、スイス、ノルウェー、アイスランド、トルコ、韓国、チリ、イスラエルの34か国が加盟している。

日本の医療の評価は低い

高齢化が進む日本の医療機関は、どこも診療待ちの高齢者であふれている。世界的にみても、国民がこれほど医療を受けやすい国は他にない。
 

誰でも自由に安価な医療を受けられる日本の「国民皆保険制度」は、世界保健機関(WHO)から総合点で世界一と評価された制度である。先進国でも民間保険中心や、無保険の国もある。
 

2016年2月2日に、ニッセイ基礎研究所が公表した「医療の国際数量比較」から、日本の医療制度の特徴を見てみる。このレポートは、OECD(経済協力開発機構)34 カ国の医療と医療制度に関する統計「OECD Health Statistics 2015」を元にして、12種類の指標について日本と欧米主要12カ国のデータを比較している。
 

まず医療の「クオリティー」について見ると、日本女性の平均寿命(86.6歳)は世界一で、男性(80.2歳)もトップクラスである。ヨーロッパでは、女性はスペイン(86.1歳)、男性はスイス(80.7歳)の平均寿命が長い。さらに日本の乳児死亡率は出生1000人当たり2.1人と12カ国中最も少なく、小児医療の質が高い。
 

ちなみにアメリカは平均寿命が相対的に短く(女性81.2歳、男性76.4歳)、乳児死亡率は日本の約3倍にのぼる。 
次に、国内総生産(GDP)に対する医療費の割合から「コスト」を測ってみる。かつては医療コストが安かった日本もここ10年で医療費割合が伸び、2013年はGDPの10.2%。12カ国の中位くらいまで増加した。国民1人あたりの医療費も2004年に2,300$だったのが、2014年には3,800$に膨らみ、中位に近づいている。
 

ちなみに最もコストが高いのはアメリカで8,700$。医療制度が市場主導のため、医療費が制御できていないことを示しているという。
 

また、日本の患者1人あたりの年間受診回数は平均12.9回でトップ。2位ドイツ9.9回、3位カナダ7.7回となっている。さらに入院患者の平均在院日数も、多くの国が数日であるのに対し、日本は30.6日と突出している。日本では患者の自己負担が他国より軽く、誰にでも医療が受けやすいことが見てとれる。
 

医療資源では、日本の人口1000人当たりの医師数は2.3人で、12カ国中最も少ない。上位のドイツやスイスの医師数は日本の約2倍である。看護師数は1位スイス17.4人、2位デンマーク16.3人に対し、日本は7位で10.5人。ちなみに薬剤師は1.6人で、12カ国中最も多い。
 

人口100万人あたりの病院数では、67.1院で他の国を圧倒している。下位のアメリカ18.2院やオランダ16.0院とは相当の開きがある。さらに人口1000人当たりの病床数も13.3床とダントツに多い。他国の平均が約4床である。多くの国では病床数を削って医療費の抑制を図っているのに対し、日本は施設の整備によって医療の整備を進めてきた。
 

最後に、高度医療機器であるCTとMRIの配置数を比べると、日本は人口100万人当たりCTが101.3台(2位アメリカ41.0台)、MRIが46.9台(2位アメリカ38.1台)で他国を圧倒している。
 

レポートでは日本の医療について「これまで日本は、安価で質の高い医療に容易にアクセス可能な制度を確立してきた」「その制度は、医師数を増やす代わりに、医療施設や設備を充実させることで構築してきた」とまとめている。それらは患者にとって良いことで、高く評価されるべきだが、日本人の医療への満足度は高くない。国際比較調査グループISSPの調査(2011年)によると、「医療制度に満足している」人の割合は1位ベルギー93%から、最下位のチリ22%までバラツキがある。その中で43%の日本はOECD34カ国中29位で、背景には、相対的に医師への評価が低いことがあるようだ。「医師はあらゆる治療法について患者と話し合っている」と思う人の割合は1位が台湾で73%だが、日本は36%で34カ国中22位。また「医師が信頼できる」と思っている人は、1位がスイス94%に対し、日本は62%で23位。いずれも下位である。
 

逆に「医療制度が効率的に運営されていない」と不満を感じている人の割合は51%。ポーランド、ブルガリア、アメリカ、チリ、ロシア、南アフリカに続いて8位と上位である。
 

日本では自分が行きたい病院に直接アクセスできるため、最初から大病院を受診する患者が多く、一部の病院に患者が集中しやすい。さらに患者数は多いのに医師数が少ないため、外来診察は長時間待たされるうえに実際の診察時間は短い。
 

厚生労働省は2016年4月から、紹介状なしで大病院を受診した患者に初診時で5000円以上、再診時で2500円以上の定額負担を求める。大病院が重症患者の治療に専念できるようにする狙いで、かかりつけ医との役割分担を進める。現行でも大病院の多くは紹介状のない患者から初診時に3000〜4000 円を徴収しているので、実質は1000〜2000円ほどの負担増になる。
 

近年は、医療費抑制のために診療報酬が削られたにもかかわらず、病院は患者一人ひとりに時間をかけて向き合うことを求められている。質の高い医療を求める患者の要求水準が上がっているのに、専門分野の医師は不足している。優れた制度があっても日本人の医療満足度が低い背景には、期待と現実とのギャップがある。
 

コストが上がる中で医療の質を高めるためには、医師の評価のアップが必要であるが、医師を増やすことと病床を減らすことが課題となるであろう。
予防医療を評価する制度の確立が医療費抑制や医師不足解消に通じる良策と考える。

好生館看護部長、パワハラで文書訓告処分

2016年3月1日、地方独立行政法人佐賀県医療センター好生館(佐賀市嘉瀬町)の吉原久美子看護部長が、職員にパワーハラスメントをしたとして、文書訓告処分を受けたことが分かった。
 

好生館によると、2015年秋、職員から相談が寄せられ、内部調査の結果、パワハラの事実を認定した。看護部長は2010年に就任し、現在、病院運営に関わる理事を務めている。
 

病院側は具体的な言動や調査内容は「明らかにできない」としているが、関係者によると、院内の看護師をばかにするような発言や労働組合への加入を確認する言動があったという。
 

組合側はパワハラのほかにも、臨時職員に妊娠の有無を尋ねるマタニティーハラスメントもあったなどとして、勤務環境改善の要求書を提出している。
 

丸野和年事務部長は「パワハラ防止に関する体制に不備があった。相談員を増やすなどの再発防止策や職員の意識啓発を図りたい」と話した。
好生館の看護部案内で看護部長は以下のように述べている。
 

平成25年5月、好生館は「地方独立行政法人佐賀県医療センター好生館」としてあらたな出発をいたしました。好生館の180年余の歴史と伝統を礎に、時代の変化に対応できる医療・看護を提供していきたいと思います。好生館の基本理念である“病む人、家族、そして県民の心に添った最良の医療”の実現に向けて、人間性を尊重した心のこもった安全で安心できる、質の高い看護を提供できることを理念とし、役割を担ってまいります。さらに、患者を中心としたチーム医療の実践では、看護の専門性を発揮することができるように日々努力いたします。
 

看護部のスローガンである“患者さんと目線を合わせて-Together for All-” を合言葉に、確かな看護技術の提供と臨床判断ができる看護師の育成を目指し、自分で考え、共に育つ体制で常に目標に向かうことを誓います。

看護部の基本理念

人間性を尊重し、心のこもった安全で安心できる看護を提供します

看護部の基本方針

1.患者さんに満足され、信頼される看護を提供します

2.常に安全・安楽・自立を考え、確実な看護技術を提供します

3.医療チームの一員として、看護の専門性を発揮します

4.臨床の場は常に教育の場であることを認識し、行動します

5.組織の一員として、積極的に病院経営に参画します

看護部の目標

スローガン “患者さんと目線を合わせて”
             Together for All
1. 入院から退院までの一貫した患者支援の提供と患者サービスの充実を図る
    
・ベッドコントロールを充実する

・入院決定から多職種と連携した支援体制を整備する

・患者の生活支援を充実し、退院支援を推進する

2. 根拠のある看護実践を行い、記録することができる

3. 職員の多様なニーズを踏まえた勤務体制を整備する

私の看護部長経験では、看護部長は看護職員が安心して働ける職場環境を構築、維持するために看護師長を統括することが理念や目標達成には欠かせないものと理解して尽力した。今回の事件はこうしたことに逆行するものである。保身のための行動か、組織の意向を汲んでの行動かはわからないが、最も大事にしなければならない部下に対する今回の対応は看護部長としてはお粗末である。いずれにしてももっと賢くなければ看護部理念や組織理念を達成することはできない。
 

看護を提供しているのは看護師一人ひとりだということを忘れてはいけない。看護師一人ひとりが安全で安心できる環境を看護のトップが崩すようでは管理が成り立たない。

EPA介福士、訪問介護なども就労を検討

厚生労働省の「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会」は、2008年度以来、EPA(経済連携協定)に基づき介護福祉士候補者を受け入れている制度について、より有効に運用する目的で開催されている。

2016年2月26日、厚労省が、これまでの議論を踏まえ、EPA介護福祉士の就労範囲や、EPA介護福祉士候補者の受け入れ施設を拡大する取りまとめ案を検討会に示した。
 

このうち、就労の場の拡大(就労範囲)に関する提案では、現在は介護老人保健施設や介護療養型医療施設などに限定されている範囲を、介護福祉士の国家試験の受験資格要件において「介護」の実務経験として認められる業務の範囲全般を対象とするとした。
 

これにより、現在は認められていない訪問介護など、訪問系サービスへの就労も可能となる。ただし取りまとめ案には、訪問系サービスを提供する際には、一定の業務経験や日本語の能力を持つことを条件とすることや、相談・通報窓口を設置するなどの「必要な措置」をあわせて講じることも盛り込まれている。
 

現在は定員30人以上の介護保険3施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設)などに限定されているEPA介護福祉士候補者の受け入れ施設については、①定員30人以上の特定施設入居者介護、②定員30人以上の介護保険3施設と同一敷地内で一体的に運営される、定員29人以下の介護保険3施設や地域密着型介護老人福祉施設、③定員30人以上の介護保険3施設を本体とするサテライト型施設-などまで拡大するとしている。
 

さらに一施設あたりの受け入れ人数については、定員30人以上の介護保険3施設やそのサテライト施設、同一敷地内で一体的に運営されている通所介護などで、同じ国出身のEPA介護福祉士候補者がいる場合などについて、1人からの受け入れを認める方針が盛り込まれている。
 

EPA介護福祉士の就労の場の訪問系サービスへの拡大については、「必要な措置」に関する継続審議の結果を踏まえ、告示の改正を行う予定という。

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