月別アーカイブ: 2016年8月

ロボットスーツの保険適用

中央社会保険医療協議会(中医協)は2016年1月27日の総会で、ロボットスーツ「HAL」を区分C2(新技術、新機能)で保険適用することを了承した。
4月1日付で保険収載される。ロボットスーツが適用を受けるのは初となる。
 

HALは、医療福祉機器会社「サイバーダイン」(茨城県つくば市)が開発・製造した。

介護者の腰などへの負担を軽減するタイプなど、さまざまなタイプがあるが、医慮保険の適用対象となったのは、「医療用下肢タイプ」のHAL。主に、脊髄性筋萎縮症や球脊髄性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、筋ジストロフィーなどの患者の歩行を改善させるために活用することが想定されている。
 

推定適用患者数は約3400人。特定保険医療材料ではなく、技術料で評価する方針という。

■2015年までの特定保険医療材料
 

特定保険医療材料は、保険医療機関及び保険薬局における医療材料の支給に要する平均的な費用の額が、診療報酬(手技料、薬剤費など)とは別途に定められている医療材料(医療機器)をいう。

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無指定介護研修で兵庫県の19人が無資格に

兵庫県神戸市の高齢者生活協同組合(組合)は、県の指定を受けないまま、介護職員初任者研修と福祉用具専門相談員指定講習会、移動支援従業者養成研修の3つの講習会を1セットとし、2015年4月から7月と同年7月から10月、2015年11月から2016年2月まで、3回の研修を実施した。
 

このうち、2015年11月から2016年2月までの研修については、無指定の事実が判明した2016年1月18日時点で中止となったが、2015年中に実施された2回の研修では合計19人が修了者となっている。しかし、研修そのものが県の指定を受けていないので19人は無資格となる。指定を受けずに実施されていた研修の受講者は33人にのぼる。
 

無資格となった19人の中には既に介護事業所などで働いている人もいるため、県は組合に対し、その実態の把握を求めている。

無資格となってしまった人が働いている事業所では、結果として人員配置基準違反に陥る可能性もある。

兵庫県介護保険課では、そうした場合の対応については、今後、保険者と検討する必要があるとした上で、「少なくとも今回の件で無資格者となってしまった人がいると分かった事業所は保険者にその事実を連絡した上で、今後の対応について相談してほしい」と呼び掛けている。
 

兵庫県では、組合に対し、受講生へのテキスト代の返還や、受講生が研修を再受講する際の費用負担など、具体的な対応を指導する方針だ。
 

また組合は、研修事業の通知書を偽造するなどして、兵庫労働局から「認定職業訓練実施奨励金」など約761万円を不正に受給しており、兵庫労働局がその返還を求める。また、兵庫県は有印公文書偽造などの疑いで組合を刑事告発する方針でいる。

■研修の県の指定とは

介護職員等の研修事業を実施するためには、都道府県知事より指定を受ける必要がある。
 研修を実施しようとする団体の、介護員養成研修等の研修事業の適正な運用を図るため、都道府県知事が「介護保険法施行令」第3条第1項第2号に規定する介護員養成研修事業者(以下「事業者」という。)の指定について、「介護保険法施行規則」(平成11年厚生省令第36号。以下「省令」という。)、「介護保険法施行規則第22条の23第2項に規定する厚生労働大臣が定める基準」(平成18年3月31日厚生労働省告示第219号)、「介護員養成研修の取扱細則について(介護職員初任者研修関係)」(平成24年3月28日老振発0328第9号厚生労働省老健局振興課長通知)に定めるもののほか、この介護員養成研修事業者指定要綱の定めるところにより、精査し指定している。

介護員養成研修事業者指定要綱より
(基本方針)

第2条 

事業者は、介護サービスの質の向上に資する介護員の養成に努めるとともに、政令、省令及び関係通知並びにこの要綱で定める基準等を遵守しなければならない。

2 事業者は、利用者の意思及び人格を尊重し、常に利用者の立場に立ったサービスを提供することができる介護員の養成に努め、人権に係る啓発について十分留意しなければならない。

3 事業者は、研修事業の実施に当たっては、受講者等の権利利益を侵害することがないよう、個人情報の取扱いを適正に行わなければならない。

4 事業者は、受講者及び研修事業に従事する者に対して、研修事業において知り得た個人情報をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に使用してはならないことなど、個人情報の保護に必要な事項を周知するとともに、個人情報の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない。

5 事業者は、常に研修の充実及び質の向上に努めなければならない。

6 事業者は、適正かつ円滑な研修事業の実施に努めなければならない。
(研修の課程及び内容等)

第3条 

研修の課程は、「介護職員初任者研修課程」とする。
2 修業年限は、おおむね8ヶ月以内とする。ただし、受講者の病気等のやむを得ない理由による場合は、1年6ヶ月以内とすることができる。

3 研修は、講義及び演習により行うこととし、必要に応じて実習を行うものとする。

4 研修の科目及び実施内容については、第21条に規定する別に定める基準以上のものとする。

5 講義は、通信学習の方法により行うことができる。この場合、第21条に規定する別に定める方法により行われなければならない。

(開講届)
第8条 

事業者は、研修を実施する際には、開講届を開講する日の30日前までに、知事に提出しなければならない。

2 事業者は、前項又は第6条第3項第2号の規定により届け出た事項に変更が生じる場合は、変更後の開講届を提出し、知事の承認を得なければならない。

入院・通院患者の実態

厚生労働省が、2014年10月21日から23日のうち、病院毎に指定した1日(診療所は10月21日・22日・24日のうち指定した1日)において、最新の入院患者数や通院患者数の実情を調査した。

患者数は調査日当日の該当人数(抽出調査のため統計値は推計)、退院患者(の在院日数)は同年9月に退院した患者の平均値)、歯科診療所は外来のみ、として集計された。

特定日の患者数は、およそ130万人、通院患者は720万人超である。当然のことではあるが入院患者は病院が多く、通院患者は一般診療所に多い。病院と診療所の役割分化を表すものとなっている。いっそのこと病院の外来機能はなくしたらよい、と常々考えている。

施設種類別推計患者数(2014年10月、特定日)(万人)

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施設種類別推計入院患者数(万人)(2014年10月)(年齢階層、施設種類別)

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当然のことながら、歳を経るに連れて入院患者数は増えている。高齢に伴う予備力の低下により入院機会が多くなっていく。特に55~59歳から60歳を超えた時点で一気に入院率が増加する。 ピークは80~84歳で、それ以降は減少していく。

一般診療所と病院の入院では、65歳以上で94万人が、75歳以上でも67万人が入院中。合計351万人、通院患者数では、合計190万人。2025年に向け、さらに増えることが予想される。医療職の過重労働はまだまだ解消されそうにはない。むしろ離職者増が懸念される。

年齢階層別・施設種類別推計患者数(万人)(2014年10月)(65歳以上、施設種類別)

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地域医療支援病院の推移

2016年1月26日、厚生労働省は、紹介患者の積極的な受け入れなどで、地域の診療所や中小病院を支える「地域医療支援病院」として承認を受けた病院が、2015年11月末までに500施設に達したと発表した。
 

地域医療支援病院制度は、患者が身近な地域で医療サービスを受けられる体制を整備するため、1998年4月にスタートした。

紹介状を持って受診する患者の割合(紹介率)などで一定の基準をクリアする病院を都道府県知事が承認し、承認を受けた病院は入院料が加算されるなど、診療報酬上の優遇措置が受けられる。
 

2015年11月末時点の病院数は計8479施設で、その6%ほどが承認を受けていることになる。
 

地域医療支援病院として承認されるための基準は2014年4月に見直され、より高い紹介率が求められるようになった。承認を受ける際にそれを満たしていない病院や見直し前に承認を受け、新基準に届かない病院は、2年程度かけて改善することになっている。それでも達成できないと承認が取り消される場合もある。

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若年性認知症の実態

厚生労働省によると、若年性認知症(18-64歳で発症)は、全国で推計約3万8000人(18-64歳人口10万人当たり47.6人)いるとされている。しかし、実態調査を行っている自治体は少なく、正確な患者数や受診状況などを把握できていない。
 

静岡県が2015年5月に行った調査では、県内に若年性認知症の人が少なくとも400人以上いることが判明した。
 

最初の相談先として医療機関を挙げた人が全体の半数超を占めた。また、最初に医療機関を選んだ理由については、「家族や知人の紹介」(25.0%)と「かかりつけ医」(21.3%)が多かったという。
 

青森県が県内の医療機関を対象に実施した調査では、9割の医療機関が若年性認知症に「対応している」と回答。また、若年性認知症の人やその家族への支援の課題に関する質問(複数回答)では、「早期の段階で受診される方が少ない」(58.2%)や「診断後、紹介できる支援機関が不明確」(41.8%)、「症状が進行していることが多く、入院を希望される家族が多い」(21.6%)といった回答があったという。
 

若年性認知症は、患者や雇用主が症状や支援制度を十分理解していない場合、仕事ができるにもかかわらず退職を余儀なくされたり、医療機関を受診せずに症状が悪化したりするケースが少なくない。そのため、受け皿となる医療機関や自治体、地域包括支援センターなどによる相談・支援体制の拡充が求められている。

■予防と治療

若年性認知症は進行が早い認知症なので、早期発見と早期治療が重要となる。早期発見により、症状の進行を遅くすることができる。ただし若年性認知症は、本人が自覚して「おかしい」と気付くことはほとんどないので、家族や同僚、友人などが受診を勧めるしかない。脳血管性やアルコール性の認知症は、生活習慣の見直しで予防できる。発症後の改善策としては、進行を遅らせるために音楽を聴いたり自分で歌ったり、声を出して本を読んだり、簡単な計算などでリハビリを行うとよい。焦りすぎず、本人にとって負担にならない程度に行うことが大切である。

脳の萎縮(脳に特殊なたんぱく質「アミロイドβ」が溜まることで神経細胞が破壊され、神経細胞が減少・変化する)が加速するアルツハイマー型認知症は、女性に多く見られ、認知症の中で最も多く、全体の約50%を占めており、アルツハイマー型は増加の一途をたどっている。

■アルツハイマー型認知症の症状と特徴

【症状】

1. 重度の記憶障害

例えば、少し前に友人と会って話をしたとする。アルツハイマー型認知症の場合は、会ったこと自体を忘れてしまい、いくらヒントを与えても思い出すことができない。

2. 実行機能障害

例えば今まで頻繁に行っていた料理の手順がわからず、どんな食材や調味料を使うのかといった判断力が低下する。その他、季節に合わせた洋服を選べなかったり、部屋の片づけができなかったりする場合もある。

3. 見当識障害

見当識(時間や場所、自分自身や周囲をきちんと認識すること)が低下し、突然自分が今いる場所がわからなくなって家に帰れなくなったり、日付が分からなくなったりする。家の中にいても、トイレに行くだけで迷子になってしまうことさえある。症状が進行すると、自分の娘の顔さえ忘れてしまう。

4. 失語

上手く喋ることができず、相手の言葉も理解できなくなる。

5. 失認

目の前のものが何であるかを認識できない。

6. 運動機能障害

進行するとやがて歩くこともできなくなり、寝たきりになってしまう。

■アルツハイマー型認知症への対応方法

1.質問にはきちんと答える

2.メモやカレンダーの利用

大切な予定や約束事をメモやカレンダーに記して、本人の目につくようする。

3.薬の管理

本人は薬を飲んだことも忘れてしまうので、飲み忘れたり、逆に重複して服用したりしないように、薬は家族が管理して正しく服用させる。

4.外出時に注意

外出時には付き添う。どうしても1人の時は、連絡先をわかりやすいところに付けたり、GPSを持たせたり、近所の人に事前にお願いしておくとよい。

三方活栓の安全使用のポイント

点滴などをする際に薬液の流路を調節する三方活栓をめぐる不適切事例の報告が改善されていないことから、医薬品医療機器総合機構(PMDA:Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)は、安全に使用するための注意ポイントを記載した医療安全情報をホームページで公表している。
三方活栓を操作した後には、薬液の流れを必ず確認する習慣を身に付けることなどを呼び掛けている。
 

三方活栓の不適切な事例については、日本医療機能評価機構が昨年8月、2011年1月から昨年6月末までにコックの開閉を忘れて薬剤が適切に流せなかったとの報告が14件あったと発表。不適切事例が起きた医療機関では、コックの向きと流路を確認したり、構造を理解したりして再発防止策に取り組んでいるとし、他の医療機関に注意喚起を行った。
 

しかしその後も、「三方活栓を使った不適切な事例の報告が改善されていない」(PMDA担当者)ことなどから、PMDAは医療安全情報をまとめた。
 

事例1では、処置のために担当者が一時的に患者側の三方活栓を「OFF」にした。しかし、処置後に元に戻すのを忘れ、輸液ポンプの閉塞アラームが鳴り、患者側に輸液が流れていないことに気付いた。こうしたケースを予防するため、三方活栓を操作した後には、薬液の流れている方向を確認する習慣を身に付ける重要性を強調している。
また、別の事例では、三方活栓にプラグ(バルブ)と点滴チューブを接続して患者に抗生剤を投与。担当者が点滴チューブを外す際に、誤ってプラグごと外したため、血液が漏れ出た。PMDAは、「三方活栓から点滴チューブを外す際は、プラグごと外さないように注意すること」と指摘している。
 

さらに、医療安全情報では、三方活栓を連結して使った時の不適切な事例も紹介している。このケースでは、ベッドの傾きを変えた際、三方活栓同士の接続部分が外れ、血液と輸液が漏れたという。
 

PMDAは、三方活栓を連結して使用すれば、「破損や接続部外れの危険がある」とし、できるだけ連結して使わないよう呼びかけている。また、連結して使う必要がある場合は、接続部分の外れや破損への注意、接続部分の緩みや薬液漏れなどの定期的な確認を促している。

看護師勤務表自動作成ソフト

プログラムの開発・販売や関連機器の販売などを手掛けるオーウラ・デジタル・クリエイト(広島県東広島市)が、看護師の勤務表を自動で作成することが可能なソフト「セルヴィスEX」の販売を始めた。主に医療機関などでの利用を想定している。

「セルヴィスEX」は、日本看護協会が推奨する看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドラインを踏まえた勤務表を作ることができるソフト。勤務人数や勤務間隔、希望勤務といった複数の条件設定を組み合わせることで勤務表を作成し、変則2交代制や当直勤務表にも対応でき、作成者の負担軽減が期待できるという。

看護師の勤務表の自動作成は、30年近く前よりソフトの開発が進められ、いくつかの業者のソフトを使用した経験があるが、看護師数や勤務条件(夜勤間隔や休みの間隔、夜勤後の勤務、夜勤者の組み合わせ、夜勤数の制限など)や個人の勤務希望などでほとんどのソフトで対応できず、自動作成による勤務表作成はまともなものができた経験がない。今回のソフトはいかがなものであろうか。対応できれば作成者には大きな負担軽減になることは間違いない。

リオ五輪、ジカ熱対策を

ジカウイルスは、感染しても大半の人はインフルエンザのような症状を短期間にわたり経験するのみで終わる。妊婦が感染すると、胎児に頭部が異常に小さくなる小頭症という病気をもたらす可能性が指摘されているが、その因果関係はまだ立証されていない。
 

WHOの声明によると、このウイルスは米大陸の55か国・地域のうち21ですでに存在している。またジカウイルスは、デング熱やチクングンヤ熱のウイルスも媒介する蚊の一種「ネッタイシマカ」を通じて感染が広がるが、WHOはこの種が米大陸のうちカナダとチリを除く全域に生息していることを強調している。
 

米大陸ではこれまでジカ熱流行の経験がなく、昨年5月にブラジルで確認されるまでは人々のウイルスに対する免疫がなかったことも、ウイルスの急速な拡散の原因になったとされる。そのためWHOは、「ジカウイルスは今後も広がり続け、両大陸の中でネッタイシマカが生息するあらゆる国と地域に到達する可能性が高い」と警鐘を鳴らしている。

ブラジルを中心とした中南米で感染例が急増していることを受けて、米国など一部の国の政府は妊娠中の女性に対し、同域への渡航を自粛するよう勧告を出した。2016年8月5日から夏季五輪の開催を控えているブラジルにとっては、憂慮すべき事態だ。
 

同国での小頭症の症例はかつて年間160件程度だったが、北東部での急増が指摘され始めた昨年10月以降、すでに3893例が報告されている。
中南米で流行しているジカ熱について、国立感染症研究所は、臨床所見や診断方法などを盛り込んだリスクアセスメントを公表し、リオデジャネイロでの五輪開催で、多くの邦人がジカ熱の流行地に渡航することを懸念している。。
こうした状況を踏まえ、感染研のリスクアセスメントには、臨床所見や感染経路、診断方法、WHO(世界保健機関)や諸外国の対応などを提示した。
臨床所見では、38.5度以下の軽度の発熱や頭痛、関節痛、筋肉痛、疲労感、血小板減少などが認められ、フランス領ポリネシアでの流行時には、ギランバレー症候群の報告数が増えたという。
 

感染経路については、ネッタイシマカやヒトスジシマカなどが媒介蚊として確認されていることを指摘。日本国内に広く分布しているヒトスジシマカが「デングウイルスと同様にジカウイルスにも感受性がある」としている。また、血液感染の恐れもあり、ヒトの精液からも検出されている上、「性交渉によりヒトからヒトへ感染した可能性を示す事例も1件ある」と述べている。
 

中南米などでの流行が続くことが考えられるため、「今後、流行地からの帰国者が国内でジカ熱と診断される症例が発生すると考えられる」と指摘。妊婦の流行地への渡航は「控えた方が良い」との見解を示している。