月別アーカイブ: 2016年7月

介護離職『0』は可能か?

介護を理由に離職をする人は年間10万人いる。そのうち介護施設が利用できないことが理由の人は1万5000人いるという。こうした背景から、「一億総活躍社会」の柱の一つに、家族の介護で仕事を辞める人をなくす「介護離職ゼロ」が掲げられている。

厚生労働省では、特別養護老人ホームなどを増やして2020年初めまでにさらに40万人分を確保する整備目標を掲げ、サービスの整備促進(事業所の開設に空き家を活用したり、特養の建築要件の緩和など)、人材の確保(離職した介護・看護職員に復職準備金を貸し付けたり、離職する介護福祉士の人材バンクの創設、介護ロボットの活用など)、働く家族への支援(介護休業の分割取得、地域包括支援センターなどの相談体制強化など)の施策を掲げているが人材不足解消にはつながっていなく、求人倍率は年々増え続け、介護人材の不足により既存の施設でさえ100%活用できていない現状がある。
2013年には、介護職員が171万人働いており、2025年の推計では215万人となるが、必要な介護職員は253万人で、38万人不足である。
 

手厚い支援で都市部から移住者を募る島根県浜田市では、市外から移住を希望する一人親家庭を対象に、市内の介護事業所で働くことを条件に、家賃補助、車の提供などの事業を展開し2015年11月までに4家庭の移住が実現し注目を集めている。

介護におけるアセッサーとは

アセッサー(介護職の管理的立場の人)とは、介護事業所や施設内において介護職員のキャリア・アップを推進・支援していく役割を担う人をいい、被評価者である介護職員の「できる(実践的スキル)」の度合いを評価(アセスメント)するとともに、職場における被評価者のスキルアップのための具体的な方策を被評価者と一緒に検討を行い、スキルアップの支援(OJT)を行う役割を持つ人である。

これは、「介護プロフェショナルキャリア段位制度(成長分野における新しい職業能力を評価する仕組みで、企業や事務所ごとにバラバラでない共通のものさしをつくり、これに基づいて人材育成を目指す制度)」において、これまでの資格制度で不足していた「実際にその現場で何ができるのか」という部分を補うため、「わかる(知識)」と「できる(実践的スキル)」の両面を評価し、介護サービスの従事者の能力を、「介護プロフェッショナル」のレベル認定の段位で評価する。
「介護プロフェッショナル」については、既存の国家資格制度や研修制度との関係も考慮し、特に、実践的スキルについて重点的に評価するエントリーレベルからプロレベルまで、7段階でレベル認定が行われる。アセッサーになるためには以下の講習の受講要件があり、下記の段位評価を行うことになる。

アセッサー講習の受講要件(以下の条件のうちいずれか一つを満たす)

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■実践的スキルの評価

介護サービスを提供している事業所・施設において、一定の要件を満たした「アセッサー(評価者)」と呼ばれる人が、介護職員の日頃の仕事の様子や業務の記録等を実際に見て評価する。(内部評価)

併せて、事業所・施設において評価が適切に行われていることを第三者機関が評価することになっている。(外部評価)

■知識の評価

既存の介護福祉士資格など国家資格との関係を明確にすること、資格との関係を複雑にしない観点から、原則として、介護福祉士養成課程、介護初任者研修等の講義を修了したことで、評価することにしている。

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2014年度の病院・診療所の赤字、3割

東京商工リサーチが、過去3期分の収支が明らかになった一般病院(7037法人)や有床診療所(4808法人)、無床診療所(1万3334法人)、調剤薬局(672法人)を対象に行った「2014年度の病院と診療所の経営状況調査」の結果を12月8日に発表した。

それによると、本来業務と附帯業務、収益業務からの事業収益を合算した「売上高」は全体で、前年度よりも1.3%増の11兆5716億円だった。1万1087法人で「売上高」が伸び、前年度から275法人増えた。純利益は全体で、前年度よりも16.6%減の2466億円と、2期連続で2ケタの減益となった。黒字が1万7027法人、赤字は8152法人だった。
 

業種別では、一般病院は「売上高」が8兆2714億円(前年度比1.9%増)、純利益が1600億円(同18.0%減)で、利益が2割近く減った。赤字に陥った一般病院は2066法人で、全体の29.3%を占めた。
 

一方、有床診療所は「売上高」が1兆2785億円(同0.3%増)、純利益は338億円(同6.8%減)となり、33.3%の1604法人が赤字だった。無床診療所は、「売上高」が2兆216億円(同0.5%減)、純利益が526億円(同18.1%減)で、4482法人(33.6%)が赤字となった。
 

赤字法人の数を前年度と比べると、一般病院が97法人、有床診療所は112法人、無床診療所は303法人、それぞれ増えた。
同社情報本部の担当者は、「看護師などの人件費の伸びを、医業収入が賄え切れていない現状がうかがえる」としている。
 

薬局については、「売上高」は前年度よりも6.6%増の1兆7042億円で、純利益は4.1%減の365億円となった。赤字は95法人(14.1%)で、赤字となった法人の比率は一般病院や有床・無床診療所の半分以下だった。その背景について、同社は「高めに設定された薬剤師の技術料を含む調剤基本料が影響している」と分析している。

ドクターカー、運用病院の7割で休眠状態

日本病院前救急診療医学会の委員会が行った調査によると、全国の約400病院でドクターカーを運用している。しかし、その約7割が、3カ月間出動せずに「休眠状態」となっていることが分かった。365日24時間稼働している病院がある一方、不定期で稼働していたり、運用日を設定していなかったりするケースもあり、病院間の格差が浮き彫りになった。
 

国内のドクターカーを運用する病院について、厚生労働省と総務省消防庁は正確な施設数や活動状況を把握していない。過去に行われた厚生労働科学研究による調査では、救命救急センターに限定しており、ドクターカーを運用する二次救急医療機関は調査の対象外だった。
 

こうした状況を踏まえ、同学会のドクターカー実態調査委員会は、まずは全国のドクターカーの活動状況を把握する必要があると判断し、全国248地域のメディカルコントロール協議会に質問票を送り、活動頻度などについて、すべての地域の協議会から回答を得た。
 

その結果、397病院でドクターカーを運用していることが判明。活動状況については、「運用日設定なし」が最多の140病院。以下は「平日の日中のみ」が100病院、「365日(24時間)」が95病院、「365日(夜間などは休止)」が33病院などの順であった。
 

ドクターカーは、どのような方法で購入しているのであろうか。税金(自治体の補助)が投入されているのであれば、「ドクターカーの休眠」はかなりの問題である。

看護師養成課程(通信制)の入学要件緩和

日本看護学校協議会は、看護師養成所2年課程(通信制)の入学資格の要件緩和に対する意見書を厚生労働省に提出した。
現在の看護師養成課程(通信制)の入学資格要件となっている准看護師の経験期間は、准看護師として10年以上の業務経験としている。この要件をめぐっては、6月30日に閣議決定され、「日本再興戦略2015」で、地域医療体制の充実に向けた看護師育成のため、現行の10年から大幅に短縮することを「全国的な措置として検討し、本年中に結論を得て、速やかに措置する」としていた。

同協議会は意見書で「入学資格要件の緩和に対する賛否の意見はない」との見解を示した上で、実務経験年数を減らす場合、教育の質向上に向けてカリキュラムなどを改正する必要性を提示し、「現行の教育課程(カリキュラム)のままで、それを行っては質の低下につながる」としている。
 

業務経験の10年を半分の5年にした場合、その縮減分に見合う教育内容や方法を検討する必要があり、特に看護師教育で重要視されている臨地実習については「十分な検討が必要」としている。

どうなる?入院基本料7対1の要件項目

2015年12月9日の中医協総会に、厚生労働省が「重症度、医療・看護必要度の見直し案」と「見直しに伴う重症患者割合の試算結果」を示した(以下)。

「重症患者割合の基準値を引き上げ、7対1病床の削減を図るべき」とする支払側と、「病床稼働率の低下などで既に7対1は実質的に削減されている」と反論する診療側との間で攻防が繰り広げられた。

1.7対1入院基本料の施設基準の1つである「重症患者割合15%以上」の基準値をどう引き上げるかについて、25%を軸とした攻防が中央社会保険医療協議会の総会で続けられる予定である。

2.「平均在院日数要件の見直し」や「在宅復帰率の見直し」も行われる可能性がある。

3.看護必要度のA、B項目を見直すと同時に、手術などの医学的状況を評価する「M項目」を新設、重症者には「A2点以上かつB3点以上」に加えて、「A3点以上」「M1点以上」の患者もカウントする見直し
  

1)A項目に「無菌治療室での管理」(2点)と「救急搬送(搬送日から1-2日程度)(2点)を追加する。

2)B項目から「起き上がり」「座位保持」を削除し、「危険行動」(2点)と「診療・ 療養上の指示が通じる」(1点)を追加する。

3)新たに「手術などの医学的状況」を評価する「M項目」を設置する。

【M項目:4項目】

①開胸・開頭手術(術当日より5-7日間程度)

②開腹・骨の観血的手術(同3-5日間程度)

③胸腔鏡・腹腔鏡手術(同2-3日間程度)

④その他の全身麻酔手術(同1-3日間程度)

4)重症患者の定義を、現在の「A項目2点以上かつB項目3点以上」に加えて、「A項目3点以上」と「M項目1点以上」を合わせる。

重症患者割合を25%に引き上げると、7対1病床は約5%減少する。
 

この看護必要度、重症患者の定義見直しによって、重症とカウントされる患者数は増加し、厚労省の分析によれば「7対1病棟では32%増加する」という。
 

2016年度の次期診療報酬点数改定では「医療機能の分化・強化、連携」を重点課題に掲げており、「7対1病床数の適正化=7対1にふさわしい機能を持つ病床」の精査が必要となる。
 

これに関し、厚労省は、看護必要度、重症患者の定義を見直した上で、現在「7対1では常に15%以上でなければならない」とされている重症患者の基準値(以下、重症患者割合)を引き上げていくと、どの程度の病院・病床が7対1の施設基準を満たさなくなるのかを試算した結果、病院が行動変容せずにいた場合、重症患者割合を20%にすると9.3%、25%にすると43.0%、30%にすると75.6%の病院で7対1の施設基準を満たせないことが判明している。同様に、病床数ベースで見てみると、重症患者割合20%では8.1%が、25%では45.4%が、30%では79.2%が基準を満たせなくなる。

しかし、看護必要度や重症患者割合が見直された場合、病院側は「重症患者を一部の病棟に集約する」などの行動変容を行うことが予想され、7対1の施設基準を満たせない病床の割合は低下することが考えられる。
 

厚労省のこの視点に立った分析では、重症患者割合を25%に設定すると9.9%の病床が7対1の施設基準に合致しないと推測できる。ただし、厚労省保険局医療課の担当者は「かなり固く見積もった数値で、実際はもう少し多くの病床が影響を受ける(7対1の基準を満たせなくなる)」という。

一方で、10対1などから7対1に転換する病床もあり、前回診療報酬改定(2014年度)の後には特定機能病院を含めた7対1病床のおよそ6.5%(約2万8000床)が、増加した。

したがって、7対1の病床数がどう変動するかは、前述の「看護必要度や重症患者割合の見直し」に加えて、「他の病床化7対1への転換」も併せて考える必要がある。
厚労省は後者の転換を「5-7%」に設定し、重症患者割合を引き上げた際の7対1病床数の増減割合を試算したところ、23%に引き上げると現状維持、25%に引き上げると2.9-4.9%の減少、28%に引き上げると9.1-11.1%の減少となる見込みという。

重症患者割合を何%に設定するかについて、厚労省保険局医療課の担当者は「平均在院日数要件(現在、7対1は18日以下)の見直し」や「病棟群別の入院基本料の設定方法」などと密接に関連しており、例えば、病棟群の設定方法如何によっては「7対1から10対1への移行」はそれほど進まない。この場合、7対1病床数を削減するためには重症患者割合を厳しく設定する必要がでてくる。さらに改定率とも大きく関係するため、今後、さまざまな要素を勘案して議論をしていくことが肝要となる。
 

平均在院日数要件については、これまで具体的な議論はされてこなかったが、厚労省は「平均在院日数の長い病院(上位10%)は、①診療実績が低い、②重症患者割合が小さい、③1日当たり請求点数が小さいなどの傾向がある」としている。
平均在院日数18日以上の長い病院(上位10%)には、次期改定に向けて、「平均在院日数要件を『17日以下』に厳格化する」可能性も急浮上してきている。
 

2014年度の前回改定で新設された在宅復帰率についても、計算方法や基準値(現在は75%以上)の引き上げが検討されるようだ。

早起きは一文の徳にもならない、反って危険②

日本の睡眠医療の専門家である遠藤拓郎スリープクリニック調布院長も、早起きが病気を引き起こす恐れがあるという。
人間のパフォーマンスというのは体温に依存し、体温が低い時は身体中の機能が著しく低下する。人間の一日のなかでの最低体温というのは、個人差もあるが朝の4時から6時。一方で最高体温となるのが夕方4時から6時。したがって、ケリー博士の言う通り、朝早くから活動をするのは年齢に関係なく危険である。

とはいえ年齢を重ねれば、自分の意思とは関係なく、つい朝早くに目が覚めてしまうものだ。

高齢の方が朝早く起きてしまいやすくなるのは、メラトニンという眠気を誘発するホルモンが加齢によって減少してしまうからで、また体力の低下が、そのまま寝る力も奪ってしまっている。むしろ高齢の方は早寝早起きよりも『遅寝遅起き』のほうがずっと健康にいいという。

早起きすることなく深い眠りを実現する一番の方法は、昼間から夜にかけて、時間を忘れるくらい趣味に没頭することだそうだ。ウトウトしながらテレビを眺めているのは最悪で、例えばプラモデル作りなどの集中力を要する趣味に時間をかける
と、朝まで深く長く眠ることができるという。

ケリー博士は特に日本社会に対して危機感を抱いている。「統計的にも、日本人は世界中で突出して睡眠時間が短い。加
えて早く起きる人の割合も多い。しかも学校や政府、企業がそれを主導しているように思える。

『早起きは三文の徳』ということわざが日本にはあるが、早寝早起きは、健康で長生きできず、実は命を脅かしている。

とくに高齢の方は、それは思い込みで、科学的に間違いだということを十分理解する必要がある。「遅寝、遅起き」が良い。

※朝のスキマ時間を使って自分の好きな事や仕事をする「朝活」などはもってのほか脳は朝起きてから約20分後に、ストレスホルモン「コルチゾール」の濃度が1日の最大になることから「 コルチゾール」が出ている時間に活動をすることが推奨されてきているが、・・・。

早起きは一文の徳にもならない、反って危険①

朝早く起きることは、人体にとって「拷問」に等しい。英オックスフォード大学の睡眠・概日リズム神経科学研究所の名誉研究員、ポール・ケリー博士が、そんな衝撃的な研究結果を発表し、いま世界中で話題となっている。

一般的な「9時-5時」という就業時間は、実は人間の体内時計と全くかみ合っていなく、それが原因となって、精神にも肉体にも悪影響を与え、さまざまな病気を引き起こす恐れがあるという。

世界中のあらゆる人たちの睡眠パターンを分析して、年齢層ごとの推奨すべき起床時間と起床後の活動開始時間をはじき出すことに成功した。それによれば、個人差はあるものの、起床時間は青年期(15~30歳)であれば朝9時、壮年期・中年期(31~64歳)なら8時、高年期(65歳以上)だと7時という。

また起床後の活動開始時間は青年期11時、壮年期・中年期10時、高年期は9時が最適だと分かっている。この数値から、すべての年齢層の人に言えることは、6時よりも前に起床することは人間として本来あってはならないということである。

年を重ねていくほど眠れなくなって、朝が早くなりがちだが、こうした習慣が身体に重大な影響を及ぼすという。

早起きによって起こりうる病気の数々についてケリー博士は、現時点でもすでにメタボリック・シンドロームや糖尿病、高血圧、より重篤な病気であれば、心筋梗塞や脳卒中、心不全などの循環器疾患やHPA(視床下部-脳下垂体-副腎皮質)機能不全によるうつ病などが判明している。」と言う。

早起きにより、病気にかかりやすくなるのは、ケリー博士によれば、「人間の体内時計の『ズレ』」にあるという。体内時計は、「概日リズム」とも呼ばれ、生物に生まれながらにして備わった生命活動のサイクルである。これがあるおかげで、人はもちろん、あらゆる生物は意識しなくても活動状態と休息状態を一定のリズムで繰り返すことができる。

ケリー博士はこの体内時計の周期と人間の実生活における行動周期とにズレが生じることが、人の身体に悪影響を及ぼすものだと考えている。そして早起きこそが、このズレを生む元凶だという。

例えば脳の視交叉上核という場所に体内時計が備わっているが、早起きすることによってこれがズレてしまうと、著しく脳の機能が低下し、集中力や記憶力、コミュニケーション能力などが著しく減退してしまう。

ハーバード大学医学部において、朝から夕方までの勤務シフトで働く医者と、昼から夜までの勤務シフトで働く医者の仕事ぶりを比較する実験では、前者の医者は後者に比べて集中力の欠如が見られ、医療ミスが36%も増加した。

博士らの研究の正しさは、ビジネスエリートたちも証明している。

世界最大のIT企業、グーグルは社員の能力と睡眠の関係性を重要視し、フレックスタイムを導入している。グーグルの社員は、自由に出社時間と退社時間を決められるようにしていることから、午前中のオフィスは人がまばらで、昼過ぎになってようやく社員たちが姿を見せ始める。

「脳に加えて、心臓や肺などのあらゆる臓器にも体内時計は備わっている。早起きをすることによってこれらの体内時計にズレが生じる上に、そのズレは年齢を重ねるごとに自然と大きくなり、必要以上に臓器を酷使してしまうことになり、病気を誘発するリスクがさらに高まる。

実際に65歳以上の高齢者で平常時の起床時間と病気の発生リスクの関係を調査したケリー博士の結果では、高齢者の理想的な起床時間である7時以降にいつも起きている人と比べて、それよりも早い6時以前に起きている人は、心筋梗塞や脳卒中などの循環器疾患の発症リスクが最大で約4割、糖尿病やうつ病といったその他の病気に関しても2~3割高くなり、またその多くが重篤化しやすいという驚きの結果が出た。

都健康長寿医療センターの健康寿命延伸事業モデルに注目

日常生活に制限のない期間を示す「健康寿命」への関心が高まる中、疾病を持つ高齢者の健康寿命の延伸に取り組んでいる東京都健康長寿医療センターの試みに、医療・自治体関係者の注目が集まっている。産・官・学が連携した事業モデルなどを紹介するシンポジウムには多数の自治体関係者が参加。エビデンスに基づいた運動プログラムや、疼痛や要介護状態で運動ができない高齢者に対して健康寿命延伸の効果が確認された低温サウナプログラムへの期待が高まっている。

健康寿命は平均寿命とは異なる概念で、主指標は「日常生活に制限のない期間の平均」、副指標は「自分が健康であると自覚している期間の平均」とされている。日本の健康寿命は男性が71.11歳、女性が75.56歳。2013年に世界188カ国を対象に実施された調査によれば、男女とも1位。こうした状況を踏まえ、近年は国の支援体制に基づき、健康寿命をさらに延伸するさまざまな取り組みが行われつつある。
 

医療センターの井藤英喜理事長は、QOL(生活の質)の改善効果を伴う健康寿命延伸事業の重要性を指摘する。QOLはWHO(世界保健機関)により「高齢者の健康指標」とされている。「“質の良い超高齢社会”を築く方策を、わが国が率先
して考え、発信していかなければならない」。という。

同医療センターは高齢者の心身の特性に応じた医療提供に加え、臨床と研究の連携を図るなど、高齢者のQOL、健康の維持・向上で重要な役割を担ってきた。11年には経済産業省の調査事業として敷地内に高齢者健康増進センターを開設。老年学・老年医学や心臓リハビリテーション学などの知見を盛り込んだプログラムを設定し、健康寿命に関連する効果を検証した。
 

この検証で128人(平均年齢75.0歳)の参加者に対し、有酸素運動に加え、筋トレなどの運動介入を行ったところ、「握力やバランス機能などの身体機能を維持することだけでなく、心肺機能や歩行速度、俊敏性、認知機能、うつ、健康関連QOLなどの改善をもたらし、全般的に高齢者の健康寿命延伸効果を得た」という。

■「老年症候群」に着目して健康寿命を延ばす

老年症候群とは、明確な病気と分類するには馴染みにくい、虚弱、転倒、尿失禁、譫妄、目眩、等を共通の要素とする高齢者の状態で、むせ、食べこぼし等の症状も包含される。 明確な定義はされていないが、その特徴として、1. 明確な疾患として扱われない(老化と扱われてしまう)、2.致命的な症状ではない、3.最初から日常生活障害が顕在化しない(自覚しにくい)、が挙げられ、本語に近い概念として廃用症候群があるが、老年症候群とは概念的に異なる。これは「若年者は廃用症候群にはなるが、老年症候群にはならない」という相違であり、老年症候群は必ず老化が背景として存在し、疾患のみが契機で発症しない症候群である。この症候群へ対応したプロモーションが介護予防である。

★プロモーション

コミュニケーションの一部であり、製品、サービスに対する意識や関心を高め、購買を促進するメッセージのことを指す。通常、プロモーションの手段としては、広告、販売促進のインセンティブや褒賞、WebサイトやEメール、販売員、PRなどが用いられる。プロモーションには2つの効果が求められる。製品に対する注意を喚起することと、購買行動を起こさせることである。しかしながら、この2つの効果をともに満たすプロモーションは実はさほど多くないまた、プロモーションの実施に力を入れる割には、その効果の測定を行なわなかったりもする。当然、プロモーションはコミュニケーションの一部であり、顧客が製品に関心を示し、購買行動を起こす要因は、プロモーションも含めたコミュニケーション全体によるものなので効果測定がむずかしい。

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首都圏でおたふくかぜの感染拡大

首都圏で流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の感染が拡大していることが、東京都などがまとめた患者報告で分かった。東京・神奈川・千葉・埼玉の4都県の患者数は前週に比べて軒並み増加し、とくに東京都と千葉県では、前回の流行以降で最多の報告数を記録した。埼玉県も前年迄の同時期より多く、警戒を強めている。
 

2015年11月23日から29日までの週の小児科定点医療機関当たりの患者報告数は、東京都で前週比16%増の0.66人、神奈川県で13%増の0.52人、埼玉県で11%増の0.92人、千葉県で5%増の1.04人であった。定点当たりの患者報告が最多となった千葉県では、市原保健所管内で注意報レベルの目安となっている3.0人に達した。印旛(2.69人)や海匝(2.25人)、山武(2.17人)でも多かった。県内の患者の年齢別では、7歳以下が全体の7割を占めている。
 

東京都内では2009年から10年にかけて流行したが、それ以降は大きな流行はなかった。2015年は10月から増加傾向となっており、11月23日から29日までの週の患者報告数は、11年以降で最も多く、保健所別では、江戸川が2.42人で最多で、荒川区と西多摩(共に2.0人)だった。

■流行性耳下腺炎(mumps)

接触、あるいは飛沫感染で伝搬する感染力のかなり強いウイルス感染症で、2~3週間の潜伏期(平均18日前後)を経て唾液腺の腫脹・圧痛、嚥下痛、発熱を主症状として、片側あるいは両側の唾液腺の腫脹を特徴とする。通常48時間以内にピークを認め、1 ~2週間で軽快する。

最も多い合併症は髄膜炎で、その他髄膜脳炎、睾丸炎、卵巣炎、難聴、膵炎などを認める場合がある。思春期以降では、男性で約20~30%に睾丸炎 、女性では約7%に卵巣炎を合併するとされている。また、20,000 例に1例程度に難聴を合併すると言われており、頻度は少ないが、永続的な障害となるので重要な合併症のひとつである。その他、稀ではあるが膵炎も重篤な合併症の一つである。

報告患者の年齢は4歳以下の占める割合が45 ~47%であり、0歳は少なく、年齢とともに増加し、4歳が最も多い。続いて5歳、3歳の順に多く、3~6歳で約60%を占めている 。

1989 年の流行までは3~4年周期で増減が見られていたが、同年のMMR ワクチンの導入により、1991年にはサーベイランスが始まって以来の低い流行状況となった。その後緩やかに患者報告数が増加し、1993年にMMRワクチンが中止されたこともあって、1994年以降再び3~4 年周期での患者増加が見られるようになっている。 
 

本疾患の原因であるムンプスウイルスは、大きさは100 ~600nm で、表面にエンベロープをかぶったマイナスセンスの1本鎖RNA ウイルスである。主に6つの構造タンパクを有している。
 

流行性耳下腺炎およびその合併症の治療は基本的に対症療法であり、発熱などに対しては鎮痛解熱剤の投与を行い、髄膜炎合併例に対しては安静に努め、脱水などがみられる症例では輸液の適応となる。
 

効果的に予防するにはワクチンが唯一の方法である。接種後の抗体価を測定した報告では、多少の違いがあるが、概ね90%前後が有効なレベルの抗体を獲得するとされている。
 

「流行性耳下腺炎」は定点報告対象(5類感染症)で、指定届出機関(全国約3,000カ所の小児科定点医療機関)は週毎に保健所に届け出なければならない。(2012年7月)

「流行性耳下腺炎」は第2種の感染症に定められており、耳下腺、顎下腺又は舌下線の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで出席停止とされている。