月別アーカイブ: 2016年3月

体温計の普及

いまやどこの家庭にもある体温計は、イタリアのサントーリオ・サントーリオ(イタリアの医師、生理学者)が1609年(1612年説もある)に考案した。
その体温計は末端が水中に浸ったラセン状の細いガラス管のもう一方の末端の球形部分を口にくわえて膨張する空気により移動する水の動きから体温の変化を知るという手のこんだ口腔体温計だったという。

その後1600年代後期から1700年代半ばにかけてオランダのヘルマン・ブールハーブェとその弟子たちが、健康人の体温と病人の体温を比較し、病気の経過を観察する上で体温の測定は有用であることを発見し、また1858年にはドイツのカール・ウンデルリッヒが病気によって熱型が異なることを発見するなど病気の診断には体温の測定が欠かせないものであるという概念が確立された。

1860年当時の温度計は長いもので、これを用いて体温を計るには20分もの時間がかかっていた。1866年にはイギリスのトーマス・クリフォード・アルバットが軸を短くしたより使い易い形にしたいわゆる最近までよく使われていたガラス製の小型平型の懐中体温計を作り、ドイツでは、C.エレールによって水銀体温計が考案された。 今から140年前の19世紀の後半の研究・発明を契機に医療業界において体温の測定と体温計が普及することになったと考えられている。

明治初年(1867年)には欧州に留学した医学者たちがアルバットが考案した小型の懐中体温計を我国に持ち帰ったのが日本に“体温計”が入ったはじまりとされ、我国でも140年位前から体温計が医療関係者に広がりはじめたと考えられている。
 

国産の“体温計”は、明治15年(1882年)に山口県三田尻の山崎豊太郎が作ったのが最初といわれている。その後薬学博士の丹波敬三(;大霊界で有名な俳優丹波哲郎の祖父にあたる明治・大正期の薬学者で薬剤師会会長や、東京薬学専門学校〔:現東京薬科大学〕の校長を勤めたりした。)が医療機器店の「いわし屋」儀兵衛に依頼して体温計を作らせ、それを売り出す販売会社「晩成社」を作った。「晩成社」は体温計を一本18円で販売していたが、横浜の商社が外国製体温計を12円で販売していたため採算が取れず「晩成社」は早々に閉鎖した。
 

明治16年(1883年)には「晩成社」とは別に柏木幸助が体温計の製造を始め、柏木体温計は明治20年代に実績を大きく伸ばし柏木体温計は昭和に入っても存続し、その後大正期(1925年~)に入り、今から90年前ほど昔、理学博士の鶴田賢次が狂いのない丈夫な三角型体温計を発明し、これにより国産品が多く使われ体温計が家庭に普及した。

なおセ氏-摂氏-温度は1796年にスウェーデンの天文学者のアンデルス・セルシウスが提唱したもので氷の融解点を0度、水の沸点を100度としたもので℃で表示された。

事故調の第三者調査費(遺族)は2.5万円、医療機関は10万円程度

2015年10月にスタートする医療事故調査制度(事故調)で、遺族が医療機関の院内事故調査の結果に納得できず、第三者機関である医療事故調査・支援センター(センター)に調査を依頼した際の負担額が、一律2万5000円になる見通しだ。また、医療機関がセンターに依頼する調査費用は、10万円程度で最終調整している。

センターには、すでに日本医療安全調査機構(理事長=高久史麿・日本医学会長)が指定されている。事故調では、医療に起因し、または起因すると疑われる死亡・死産で、医療機関の管理者が「予期しなかった」と判断した場合、遺族に説明した上でセンターに報告する。医療機関は、院内事故調査を行い、院内事故調査の結果を遺族に説明するが、遺族がその結果に納得いかなければセンターに調査を依頼することができる。
 

遺族の負担額をめぐっては、制度設計の段階から、所得の多寡にかかわらず、負担が可能な範囲の額にするとして、低額に抑える方向が決まっていた。事故調を規定する改正医療法の参院厚生労働委員会の附帯決議には、「遺族による申請を妨げることにならないよう最大限の配慮を行うこと」と明記された。

65歳以上医師の明細書免除、患者の6割が納得できない

2015年8月20日、常勤医師がすべて65歳以上といった診療所で診療明細書の無料発行義務が免除されていることについて、患者の約6割が、例外なく発行を義務化すべきと考えていることが、連合の調査で分かった。

診療明細書を発行するのにシステム改修が必要な場合も義務になっていないが、これらの免除の理由に「納得できるのでやむを得ない」と答えた患者は2割程度にとどまった。

現在、診療所では、診療内容が記載されている明細書の無料発行について、(1)常勤医師が65歳以上しかいない(2)発行するためにはレセプトコンピューターなどのシステム改修が必要というケースでは義務になっていない。
 

そこで、連合がこのような発行義務の免除の理由について納得できるかを患者に聞いたところ、「(1)、(2)の理由は共に納得できず、例外なく無料発行を義務化すべき」との回答が59.3%で最多。また、「(2)は納得できるが(1)は納得できない」は11.5%、「(1)は納得できるが(2)は納得できない」は6.1%だった。一方で、「(1)、(2)の理由は共に納得できるので、やむを得ない」は23.1%であった。
 

調査は6月にインターネットで実施し、過去1か月の間に診療所を受診した全国の30歳以上の男女1000人の回答を集計した。

■明細書見本

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インスリン製剤カートリッジの装着間違いで副作用多発

インスリンのカートリッジ製剤とペン型注入器との誤使用による副作用が多発している。本来、サノフィのペン型注入器「イタンゴ」に同社のカートリッジ製剤「ランタス注カート」を装着すべきところ、患者が誤って日本イーライリリーのカートリッジ製剤「ヒューマログ注カート」を装着したため、低血糖や高血糖といった副作用が生じた。
 

別の事例では、日本イーライリリーのペン型注入器「ヒューマペンラグジュラ」にヒューマログ注カートを装着すべきところ、患者が誤ってサノフィのランタス注カートを装着し、低血糖が現れた。
 

これらの副作用事例を踏まえ、サノフィと日本イーライリリー社は、「異なるメーカーの複数のカートリッジ製剤やペン型注入器を使用する患者では、誤装着を起こす可能性が高くなる」と指摘し、患者が誤って装着しないよう、医療従事者に対し十分に指導するように求めている。

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研修医は増加も大学病院の採用、5年連続減少

2015年8月、厚生労働省は、今年度の臨床研修医の採用実績を公表した。それによると、2008年度から始まった医学部の入学定員増の影響もあり、採用数は8244人(前年度比452人増)で、新医師臨床研修制度の開始以降、過去最多を更新した。

採用数は臨床研修病院と大学病院で共に増えたが、大学病院の採用割合は41.7%(同0.1ポイント減)で過去最低を記録し、5年連続の減少となった。
 

医師不足を解消するため、文部科学省は08年度から医学部の入学定員を増やしており、今回採用された研修医の多くが医学部に入学した09年春は、前年度に比べて全都道府県で計693人の増員となった。
 

今回、調査の対象となったのは1018施設。施設別の採用数は、臨床研修病院が4808人(同350人増)、大学病院が3436人(同102人増)で、医学生らが研修先を決める昨年秋のマッチング結果に比べ、臨床研修病院は81人増えたのに対し、大学病院は236人減少した。
 

また、都道府県別では、大都市のある6都府県(東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡)を除く41道県の採用割合が56.4%(同0.8ポイント増)に上り、5年連続で過去最高を記録。対前年度比の増加率では、青森が34.8%増で最も高く、以下は群馬(32.1%増)、鹿児島(26.0%増)、長崎(25.3%増)、静岡(24.0%増)などの順となった。
 

臨床研修制度は今年春に見直され、各都道府県の募集定員の上限が前年度受け入れ実績の9割を下回らないとする「激変緩和措置」は廃止となっている(大幅減の見通しとなった京都を除く)。

■医師採用者の推移

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18歳未満の心臓提供ドナー、同じ18歳未満のレシピエントを優先

厚生労働省は、臓器提供者(ドナー)が18歳未満の場合、治療などの状況による優先度ではなく、18歳未満の移植希望者(レシピエント)への移植を優先させるよう、心臓移植・心肺同時移植のレシピエント選択基準を改正する。

同省はこの改正について、日本臓器移植ネットワークのほか、日本医師会や日本病院会など医療関係団体に通知し、周知を呼び掛けている。
 

現在のレシピエントの選択基準では、ドナーの「親族」の次に、例えば補助人工心臓を装着しているといった状況による優先度によって順位付けされている。しかし同省によると、子どもは体格が小さいため、人工心臓を装着できず、治療の状況などによる優先度が低くても待機中に死亡する例が絶えないほか、子どものドナーの家族から、「子どもの臓器は子どもに提供したい」との要望が寄せられるなどの課題があった。
 

そこで同省は、厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会などで選択基準の改正を検討し、18歳以上と18歳未満の予後を検証したところ、18歳未満のレシピエントの方が、治療の状況などによる優先度の高い18歳以上のレシピエントよりも予後が悪いことが分かった。こうした状況を踏まえ、同省は、ドナーが18歳未満の場合に限り、治療の状況などによる優先度よりも、18歳未満のレシピエントを優先する扱いに改める。

改正基準の施行は2015年12月15日である。

■移植希望登録者数

【現登録者数】

平成27年7月31日現在(毎月更新)

心臓・肺・肝臓・膵臓・腎臓・小腸の移植を希望して 日本臓器移植ネットワークに登録されている方の状況です。

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介護事業所、約6割が人手不足

2014年10月、全国の介護保険サービス事業所を対象に介護労働安定センターが行った調査で、8317事業所から有効回答を得た。また、介護従事者を対象とした調査(介護労働者の就業実態と就業意識調査)も行われ、2万334人から有効回答を得た。

各事業所の離職率は、16.5%で前年度(16.6%)からほとんど変化はなかった。一方、採用率は20.6%で、前年度(21.7%)と比べて1.1ポイント低下した。
 

介護従事者の過不足の状況について尋ねた質問では、人員に不足を感じる事業所(「大いに不足」「不足」「やや不足」の回答の合計)は59.3%となり、前年度調査から2.8ポイント増加した。
 

人員に不足を感じる事業所に複数回答でその理由を尋ねたところ、72.2%の事業所が「採用が困難である」を理由に挙げた。一方、「事業を拡大したいが人材が確保できない」は19.8%、「離職率が高い(定着率が低い)」は17.0%だった。「採用が困難である」を人手不足の理由に挙げた事業所は、前年度と比べて3.9ポイント増加した。

さらに「採用が困難である」と答えた事業所に、複数回答でその理由を尋ねた質問では、61.3%の事業所が「賃金が低い」と回答。また、「(精神的・肉体的に)仕事がきつい」は49.3%、「社会的評価が低い」は38.2%となった。賃金を低くせざるを得ないことが採用に悪影響をもたらしていると考える事業所は、前年度と比べて5.9ポイント増えた。
 

介護従事者に労働条件などの不満について複数回答で尋ねた質問では、「人手が足りない」が48.3%で最多となり、働く側でも、半数近くが人手不足に悩まされていることが分かった。以下は「仕事のわりに賃金が低い」(42.3%)、「有給休暇が取りにくい」(34.9%)、「身体的負担が大きい」(30.4%)などの順となった。
 

訪問介護員と介護職員の離職率は、1年前の調査結果とほぼ変わらない一方、採用率(在籍している従事者に対する採用者の割合)は1ポイント以上低下するなど、介護事業所での人材確保がより難しくなっている現状が、改めて裏付けられた結果となっている。

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薬局方5年に1度の全面見直し、製剤包装の基本要件を明文化

2015年8月17日、厚生労働省は、厚労相が定める医薬品の規格基準書である「日本薬局方」の改正案へのパブリックコメントの募集を始めた。改正案では、容器・包装による医薬品の品質保証のための基本的な要件をまとめて記載した「製剤包装通則」を新たに設けている。改正案の原案を作成した医薬品医療機器総合機構(PMDA: Pharmaceutical and Medical Devices Agency ;2015年08月19日、日本医療研究開発機構(AMED)と医薬品医療機器総合機構(PMDA)が連携協定を締結)は、製剤包装通則は新たな規制の導入が目的ではなく、現行の考え方を明文化するために新設したとしている。

改正案に盛り込まれた製剤包装通則では、医薬品の特性に応じ、耐熱性や防湿性、微生物に対するバリア機能のほか、輸送時の衝撃に対する保護性能などを「持たねばならない」と規定している。また包装には、「単純に製剤を保護するだけではなく、患者の服薬順守の向上、使いやすさなどが含まれるべき」とした上で、誤飲防止や医療従事者の安全性向上といった機能を付けることも可能などとしている。

日本薬局方は、国内でよく使われている医薬品を収載した規格基準書で、厚労相が薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて定める。今回は5年に1度の全面改正に当たる。同省は2015年9月15日までパブコメを募集し、同月の薬食審薬事分科会の了承を得た上で、2016年4月に施行する予定である。

■薬包装に見る安全のリスク

 ①文字が小さい。薬の名前や用量が判別しづらい。

 ②商品名が似ている。

 ③形が同じ(似ている)。

 ④色が同じ(似ている)。

 ⑤略字が同じ(文字の種類や色が違う)

内科学会 脳・心臓血管病リスク管理チャート作成

日本人の死因では、心疾患が2位、脳血管疾患が4位である。こうした脳・心臓血管病を予防するためには、血圧や肥満、糖尿病、脂質異常症などを管理する重要性が指摘され、各種のガイドラインが出されている。しかし、ガイドラインごとの表現の仕方など整合性が取れていないケースもあるため、統一的な表現や指針が求められていた。
 

こうした課題を踏まえ、日本内科学会が中心となり、日本高血圧学会や日本医師会、日本医学会など13学会・団体で管理チャートを作成した。チャートは、来院患者に加え、すでに加療中の患者についても、管理状態の評価ツールとして活用が可能だとしている。
 

ステップ1aから同6まで8つの段階に分け、診断や診療が行えるように設計されている。
例えば、ステップ1aでは、問診(年齢や性、自覚症状、服薬歴など)や身体所見(身長や体重、診察室内血圧など)といったスクリーニングの基本項目を提示し、ステップ1cでは、脳卒中や高血圧、糖尿病、肥満などの6項目を挙げて、専門医などへの紹介の必要性が判断できる。
 

また、高血圧や糖尿病などの各リスク因子の判断に加え、喫煙や脂質異常症といった治療開始前に確認すべきリスク因子も提示されている。
リスク因子とそれぞれの病態に応じた管理目標の設定や生活習慣病の改善も示しており、リスクが高い場合は「厳格な薬物療法が必要」としている。

■チャート内容概要

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※その他、問診票や各疾患に対するン薬物の選択と留意点などが活用できるように工夫されている。

DiNQL(ディンクル)事業で成果

日本看護協会では2012年度から重点事業として「労働と看護の質向上のためのデータベース(DiNQL:Database for improvement of Nursing Quality and Lavor)事業」に取り組み、看護職の誰もが願う「いい看護がしたい!」という思いを、DiNQLを活用して評価指標を策定している。4年目となる15年度は521病院3989病棟が参加している。

そうした中、病棟で働く常勤看護師で看護師経験5年以上の職員が占める割合が高い病棟では誤薬の起きるリスクが低いことが分かった。
 

こうした看護師のコンピテンシー(行動特性)を分析することにより経験の浅い看護師の誤薬予防の教育に活用できるようになればさらに協力病院のデータが活きることになる。

現在、取り組んでいるカテゴリーは以下のとおりである。

カテゴリー別項目数(136項目)

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■コンピテンシー(competency)とは

ある仕事において、一貫して高い業績を上げる人に見られる行動特性のことである。その仕事で高い業績を上げるために求められる特性でもある。

つまり、高い業績を上げている看護師の行動特性を分析し、その行動特性をモデル化して評価基準とし、基準に基づき看護師を評価する。 評価が悪かった行動特性(評価基準)を改善することで看護師全体の質の向上をめざすことができる。

■コンピテンシーの背景

米国国務省の若手外交官は、有名大学を卒業し、優秀な成績で外交官の採用試験をパスしたスーパーエリートで、将来有望な人材がそろっているはずである、外交官として活躍する人材やまったく業績を上げられない人材、中には潰れてしまう人材も存在したことから、米国国務省が外交官の選抜方法をマクレランド博士(ハーバード大学教授)に依頼したことに始まる。(1973年)
 

詳細な調査の結果、採用試験の成績と、その後の外交官としてのパフォーマンスには、相関が無いことが判明し、外交官としてのパフォーマンスを左右する要素に着目して、優秀な業績を上げる外交官と、平凡な外交官の2つのグループに分けて、業績や結果を分ける特性を抽出し、3つの特性を発見した。
「異文化の対人感受性、政治的なネットワークの学習スピード、他者に対するポジティブな見方」であった。その後、国務省は選抜の精度を上げ成功している。