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看護はこれでいいのか?

2015年6月25日、消化管に慢性的な炎症や潰瘍(かいよう)が起こる難病のクローン病の男性患者が、2009年5月、福岡大筑紫病院(福岡県筑紫野市)で腸の一部切除手術を受け、手術中に6リットルの出血があった上、手術翌日に腸管から出血し、低血圧で低酸素性虚血性脳症になり、重い脳障害を負った裁判で、難病のクローン病患者の男性=北九州市=と親族が、大学と主治医らに計約6億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が行われた。  

福岡地裁は、「男性が手術中にも大量出血していたことから、再出血を念頭に術後の血圧や脈拍数に異常があったら連絡するよう、当直の看護師に適切な指示を出すべきなのに怠った過失がある。主治医が看護師に適切に指示していれば、早い対応で障害を回避できた可能性がある。」として、男性の3人の主治医の過失を認め、計約1億6千万円の支払いを命じた。

さて、本件において首をかしげるのは、医師の指示がなくても看護師は、術後患者の合併症には細心の注意を払って看護を行っている。主治医による看護師への適切な指示がなかったから起きたとするならあまりにも看護はお粗末すぎることである。

■術後合併症

1.創感染:術後48時間以内の感染リスクが高く、その間は抗生剤が投与される。

2.手術後出血:術後48時間以内に起きる。まれに術後1週間以上経った後に起こることもある。

※止血しなかったり、一度止血してからの再出血は、創感染によることが多い。

3.術後イレウス:術後3日以上経過後も腸蠕動音が聞こえない場合。

4.術後疼痛:おおよそ5日で自制内となる。

5.縫合不全:術後4~5日から1週間前後で起きる。

■術後出血の原因と観察
 

1、術前の低栄養と低酸素状態による組織のもろさ、血管結紮糸の脱落、毛細血管からの出血、ドレーン・チューブ類の物理的刺激による出血、血液凝固障害(抗凝固剤内服による)、麻酔により体温低下(体温低下で血小板が減少するため、凝固機能が低下し、血栓の形成不全により出血しやすくなる)。

2.どの部位からでも血性の排液が 100ml/h 以上となると出血性ショックを起こすことがあり危険で、すぐにドクターへ報告する。(一般的には50ml/h以上で連絡をする)。ドレーンの排液の色・性状・量(100ml時間を越えていないか)が要チェック項目である。1時間に 100ml 以上の出血が続くと、重要臓器(脳・心臓)へ血液が優先再配分されるため、皮膚や粘膜は蒼白となり冷たく、冷汗がみられる。

3.麻酔からの覚醒や血圧が上昇することで、収縮していた血管が拡張し、手術直後から約48時間のあいだは出血しやすい。血圧の上昇とともに出血も増すが、通常は術後3~4日でほぼ止血する。

4. 意識レベルの変化として、不安・不穏状態から無欲・無関心状態となり、ショックが進行すると意識障害をひき起こす。

※肉眼的に出血が確認できなくても、血圧や脈拍、尿量、皮膚温や冷汗、意識状態などにより、出血の可能性を判断することは可能である。

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