月別アーカイブ: 2015年4月

機能強化型在宅支援診療所・病院の施設要件

高齢化が進展する中で、在宅におけるターミナルケアを充実する必要があり、在宅における看取りの実績を要件として2014年度診療報酬改定において設定された「連携型の機能強化型在宅療養支援診療所・病院」は、在宅医療を担う医療機関の機能強化等を図ることを目的とし、また連携型機能強化型在支診・在支病と複数の医療機関が連携して、緊急の往診及び在宅における看取りの実績等の要件を満たす医療機関について評価を行う。

厚生労働省は9月5日付で、関連の疑義解釈(その9)を地方厚生局などに事務連絡した。連携型の機能強化型在宅療養支援診療所・病院(在支診・在支病)について、過去1年間の緊急往診の実績要件を「5件以上」から「10件以上」に、在宅看取りの実績要件を「2件以上」から「4件以上」に引き上げた。また連携型機能強化型在支診・在支病についても、連携するそれぞれの医療機関に対して緊急往診「4件以上」と看取り「2件以上」の実績を求めている。一部に緊急往診や看取りなどの実績要件を満たさない医療機関が出た場合でも、連携内のすべての医療機関が引き続き実績以外の要件を満たすとともに、実績を満たさなくなった医療機関以外の連携先において、3人以上の常勤医師の配置や過去1年間に計10件以上の緊急往診などの基準を満たせば、実績を満たしている医療機関は機能強化型の点数を算定できるとした。

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緩和ケアチームの看護師は専従化か専任化か

大阪府は9月3日、国が指定する「がん診療連携拠点病院(国拠点病院)」の指定要件が強化されたのを受け、「大阪府がん対策推進委員会・緩和ケア推進部会」で、府独自に指定する「大阪府がん診療拠点病院(府拠点病院)」の指定要件を見直す議論を開始した。

府では、現在、国拠点病院が16病院、府拠点病院が44病院ある。府拠点病院の制度は、国拠点病院と連携し、地域の一般病院やかかりつけ医との連携強化を図り、地域におけるがん医療の向上を目指すため、2009年度に創設された。

この日の部会では、緩和ケアチームの看護師の専任(他の業務を兼ねる)を必須化とするか、専従(100%その業務に従事する)を必須化とするかが議論され、「専任では看護師の負担が重くなる。専従の必須化が望ましい」との意見が多数でたことや専従の看護師を配置することが難しい小規模病院に配慮する必要があるとの意見をがん診療拠点病院部会に上げることが決まった。

こうした要件を考えるときに患者不在である(患者中心に検討されない)ことが問題である。必要な時にいつでも対応できる緩和ケア体制であってほしいものだ。専従化しなければ患者の要望には応えられない。

■がん拠点病院

全国どこでも質の高いがん医療を提供することができるよう、がん診療連携拠点病院を全国に407箇所、特定領域がん診療連携拠点病院を1箇所、地域がん診療病院を1箇所指定している(平成26年8月6日現在)。

【指定要件】

国のがん拠点病院の指定要件は、肺・胃・肝・大腸・乳がんの手術、放射線と化学療法を組み合わせた治療や緩和ケアができるほか、相談支援センターの設置などがある。

今年度からさらに質の向上を図るため要件を強化し、これまでの「年間入院がん患者数が1200人以上を目安」を、「悪性腫瘍の手術件数が年間400件以上」、「放射線治療のべ患者数が年間延200人以上」、「がん化学療法が年間延1000人以上」とするなど、細分化され、さらに、新規に手術療法では常勤医師の配置や放射線診断の専任の医師(原則常勤)を求め、治療では専従の医師配置を求めている。放射線に関わる看護師も放射線治療室に専任の常勤看護師を1人以上配置することなど専門性が加えてある。

第二次安倍改造内閣、厚生労働省内の人事

塩崎恭久(元官房長官)が厚生労働大臣として入閣した。

政府は9月4日の臨時閣議で、副大臣と政務官の人事を決めた。

厚生労働副大臣には、自民党の永岡桂子(元農林水産大臣政務官)と、公明党の山本香苗(元経済産業大臣政務官)を起用した。永岡氏は2005年の衆院選で初当選し、現在3期目。自民党の厚生労働部会長代理や、「母子寡婦福祉対策議員連盟」の会長などを歴任した。一方、山本氏は元外務官僚で、2001年の参院選で初当選し、現在3期目である。

厚労政務官には、いずれも自民党の橋本岳衆院議員と、参院議員の高階恵美子(元日本看護協会常任理事)が就任した。橋本氏は2005年の衆院選で初当選し、現在2期目である。自民党の厚生関係団体委員会副委員長や、「医薬品のネット販売に関する議員連盟」の事務局長などを務めた。看護師や保健師の資格を持つ高階氏は、2010年の参院選で当選し、現在1期目である。

医療と介護の一本化

「社会保険」は、いざというときに備えて生活の安定を図るため作られた制度で、はたらき、生きていくうえで様々な事態に備え、保険料を出し合ってお互いに助け合う仕組みだ。「社会保険」には、病気・けがに備える「医療保険」、年を取ったときに年金が出る「年金保険」、仕事上の病気・けが・失業にも備える「労働保険」、介護が必要になったときの「介護保険」などがある。

医療保険に入っていて、病気やけがなどにより保健医療機関で診療を受けた場合は、そのうちの一部のみを支払えばよいことになる。たとえば、2,000円の医療費がかかったとすると、義務教育就学後~69歳の人なら3割分の600円ですむ。残りの費用は加入している医療保険から保険医療機関に支払われる。

介護保険制度では、介護は必要な状態になってもできる限り自立した生活が送れるように様々な介護サービスが提供される。介護保険は、40歳以上の人が加入し、市区町村で運営されている。第1号被保険者(65歳以上の人)の保険料は年金から差し引かれ、第2号被保険者(40歳以上65歳未満)は、医療保険料と一緒に徴収される。介護保険のサービスを受けるには、市区町村にどの程度の介護が必要か申請を行い、市区町村は、要介護・要支援の認定を行う。要介護の認定を受けると、入浴・排泄・食事などの日常生活上、常に介護に必要な状態で程度により5段階に区分され、要支援に認定されると介護予防のために支援が必要だったり、日常生活に支障があるため支援が必要な状態で2段階に区分され、区分に応じたサービスが受けられる。介護保険のサービスを受けた場合、利用者は費用の1割が自己負担となり、訪問看護ステーションやデイサービスセンターなどのサービス提供機関に支払う。

人口の減少が進むようであれば医療保険と介護保険の年齢制限を撤廃したり、運営主体も検討して、一体化した保険として検討していくことも必要ではないか。

■医療保険・介護保険の加入者

わが国の医療保険には、職域別に①健康保険(政府管掌の健康保険と組合管掌の健康保険)、②船員保険(医療部門)、③国家公務員共済組合の医療部門(短期給付)、④地方公務員等共済組合の医療部門(短期給付)、⑤私立学校教職員共済制度の医療部門(短期給付)、⑥国民健康保険(退職者医療制度と老人保健を含む)があり、加入者本人とその被扶養者(配偶者や子どもなど)、すべての国民はいずれかの医療保険に加入することになっている。

介護保険は、40歳以上の人が介護保険の被保険者となり、65歳以上の人が、第1号被保険者となり、40歳以上65歳未満の人で、医療保険に加入している人は、第2号被保険者となる。第1号被保険者と第2号被保険者では、保険料の納め方や要介護認定のしかたがそれぞれ違う。

2025年に介護職の半分を介護福祉士に

2012年の調査によると、介護福祉士の資格を持つ人は、108万人余りいるが、実際に現場で働いている人は63万人余りで、現場の介護職員(約167万5千人)の37.6%を占めている。

厚生労働省は2025年までにさらに100万人の介護職員が必要としているが、離職率17%の背景にある「きつい、給与が安い、休暇が取れないなど」を是正しないと目標達成はむずかしい。

また、9月2日、厚生労働省は、「福祉人材確保対策検討会」に、今後の介護人材確保と介護福祉士の在り方を考える上での論点などを示し、介護福祉士については、より責任が重く、高い能力が求められる専門人材と位置づけ、2025年には、介護職員の半分を介護福祉士とすることを目指すとした。

潜在看護師同様に、何人の潜在介護士がいるかその実態が不明確になるような状況は避けなければならない。

また、現在頓挫している介護福祉士の国家資格に関わる試験制度の問題を早急に解決する必要がある。

歩行数より歩幅を

2012年に厚生労働省が実施した「国民健康・栄養調査」によると、30分以上の運動を週2回以上、年間を通して行っている成人は、男性が36.1%に対して、女性は28.2%であった。

年齢別にみると、男性では60歳代43,2%、70歳以上が49.2%で、女性は60歳代が40.1%、70歳以上が36.9%で高齢者の運動習慣があることが明らかになった。しかし一日の歩数を見ると70歳以上は男性の平均歩数7,139歩が5,223歩に、女性は平均歩数6,257歩が4,285歩へと減少していた。60歳代の男性の平均歩数7,303歩の7割、女性の平均歩数6.644歩の6割にあたる。

国は2022年度までに65歳以上の男性は7,000歩を、女性は6,000歩を目標に掲げている。

要は、何のための歩行かということである。健康で長寿を迎えるためであるなら歩数だけでなく歩幅を保たないと、「トボトボ」と歩いていても足腰の関節や筋肉を維持することはできない。また肥満の高齢者だと摂取エネルギーと消費エネルギーを加味して考える必要が出てくる。体重が重ければ足腰の骨や関節、筋肉への負担は大きい。

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■運動療法での適正な歩幅

身長cm×0.45 

150cmの身長なら67.5cmの歩幅で、身長の約半分ほどとなる。高齢者の場合、そこまでの歩幅でなくても身長の1/3(0.3)~1/4(0.25)程度の歩幅で維持したい。

また肥満になる人は、基礎代謝が低下しているうえに摂取エネルギーが多い、また活動による消費エネルギーが少ないことによる。

基礎代謝量を求めて摂取エネルギー量(食事)を検討しないといくら歩行をしても肥満を解消することはできない。

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■基礎代謝量(最低摂取エネルギー量)の算出

男性:66.47+(13.75×体重kg)+(5×身長cm)-(6.75×年齢)

女性:655.1+(9.56×体重kg)+(1.85×身長cm)-(4.68×年齢)

寝たきりなら基礎代謝量の一日摂取カロリーで、軽く歩行する程度なら1.3倍を、労働者は労働の度合い(軽労働×1.4、中等度×1.6、重労働×1.8)により必要エネルギーを求める。

例えば70歳で、身長160cm、体重50kgの男女の基礎代謝量と労働の度合いによる必要エネルギーを求めると、

男性の場合:

基礎代謝量1082kcal、軽 労 働1515kcal、中等度労働1732kcal、重 労 働1948kcal

女性の場合:

基礎代謝量1112kcal、軽 労 働1557kcal、中等度藤堂1780kcal、重 労 働2002kcal

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2013年医療施設調査・病院結果報告

2013年10月1日の全国医療施設数は、179,855施設で、活動中の施設は177,769施設(98.8%)で前年より578施設増加している。病院は、8,540施設で前年より25施設減少(精神科病院5施設、一般病院19施設)し、一般診療所は100,528施設で376施設増加(有床診療所347施設減少、無床診療所723施設増加)している。また歯科診療所は、68,701施設で227施設増加している。

病床規模別病院の施設状況では、8,540施設中、20床~199床で24施設が減少し、200~399床では3施設増加、400~499床では5施設減少、500~599床は9施設増加、600~699床は7施設減少、800~899床は1施設増加、900床以上は2施設減少という状況である。

一般有床診療所では、1~9床で128施設減少し、10~19床で219施設減少している。
診療科目の状況では、最も減少した診療科は、外科で41施設(4,786施設中)、次いで小児科22施設(2,702施設中)、整形外科19施設(4,975施設中)、内科18施設(6,897施設中)、産婦人科15施設(1,218施設中)である。施設数に対する減少率では、気管食道外科(3.3%)が最も高く、次いで産婦人科(1.2%)、外科(0.9%)と続く。最も増加した診療科目は、消化器外科108施設で、次いで糖尿病・代謝内科で103施設、腎臓内科88施設、乳腺外科67施設、救急科54施設と続く。

少子高齢化に伴う患者数の減少や夜間休日の対応が多い、医療訴訟のリスクが高い産婦人科や小児科での標榜診療科目の減少は過去最少となっている。

■産婦人科及び小児科の標榜施設数の推移

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■標榜診療科とは

病院や診療所が外部に広告できる診療科名のことで、医療法第6条第1項第2号において定められた診療科名以外を広告してはならないことになっている。第6条の6で、診療科名は政令で定め、それ以外にも医師又は歯科医師が厚生労働大臣の許可を受けたものは広告できると定めている。具体的な診療科名は、医療法施行令第3条の2に広告することができる診療科名として規定されている。

韓国・日本の自殺者

経済協力開発機構(OECD:Organisation for Economic Co-operation and Development)の統計によると、OECD加盟国(34か国)の中で韓国が10年連続の自殺率(人口10万人に対する自殺死亡者数:29.1人)で一位を記録している。自殺者の中でも特に老人の自殺が突出している。儒教の教えである「親を敬う」伝統の崩れ(家族関係の変化)や貧困、孤独がその原因という。二位がハンガリー、三位が日本である。

日本の自殺者は働き盛りの中高年(35~64歳)が最も多い。死因別にみると日韓ともに15~34歳の若者層の自殺が一位になっている。

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大阪市が訪問型病児保育のモデル事業開始

大阪市内の病児保育の施設は8か所で、一人親の保護者らからサービスの拡充を求める声が上がっており、都島区、旭区、鶴見区の3区の住民を対象にした市のアンケート調査でも、「病児保育を利用したい」との回答が約1000人に上っていた。

そこで大阪市は9月2日から、仕事などで病気の子どもの面倒を見られない保護者のいる家庭に、大阪市より業務を委託された「こども病院(旭区)」から看護師や保育士を派遣する訪問型病児保育のモデル事業を都島区、旭区、鶴見区で始めた。

病児保育の対象は、0歳から小学3年までで、病気や回復期の状態で保育所などに通うことができず、保護者が仕事などで看病できない場合、前もって同病院で面談を受け、事前登録(無料)をした後、かかりつけ医の承諾を得ておけば利用できる。ただし、利用したい日の前日の午後5時までに同病院に申し込むことや利用時間(休日、年末年始を除く月-土曜の午前8時半から午後5時半まで)、利用料(1日7800円)がかかる。生活保護世帯には減免措置もある。

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2012年厚労省調査~今後増えてほしい介護関係施設

2012年7月に厚労省が実施した「高齢期における社会保障に関する意識等調査」に全国の成人男女1万1294人が回答した。

「今後10年間で、自身の家の周りに今以上に増えてほしいと思う介護関係の事業所・施設(複数回答)」では、「自宅にヘルパーや看護師が訪れる、訪問介護・看護サービスを提供する事業所」を49.1%が選んだ。その他の割合は、「通い、泊まり、訪問が一体的に提供される小規模多機能型居宅介護事業所」が36.5%、「自宅から通って利用するデイサービスを提供する事業所」が33.3%、「高齢者のためのサービス付きの住宅」が30.9%、「特別養護老人ホームや老人保健施設などの施設」が28.6%、「グループホームなどの家庭的な雰囲気で共同生活を営める事業所」が20.5%で、分からないが19.4%であった。

また、「自身が自宅で介護される場合、誰から介護を受けたいか」の回答では、「ホームヘルパーなど外部の者の介護を中心とし、あわせて家族による介護を受けたい」(34.2%)が最も多かった。一方、「家族介護を中心に、ヘルパーなどからも介護を受けたい」と答えたのは27.1%、「ヘルパーなどだけに介護されたい」と答えたのは12.0%、「家族だけに介護されたい」と答えたのは8.1%だった。「分からない」と回答したのは16.4%であった。

「さらに高齢になり配偶者がいなくなって単身となった場合」では、「自宅(子どもの家への転居を含む)」が68.3%で最も多く、そのほかは、「バリアフリー対応住宅やサービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホームといった高齢者向け住宅」が7.1%、「グループホームなど」が5.4%などであった。

また、「自身が介護を必要とする状態になった場合」では、「特別養護老人ホームや介護老人保健施設など」の29.8%が最も多く、「分からない」と答えた12.1%を除くと、「自宅」が18.7%、「高齢者向け住宅」が14.1%、「グループホームなど」が10.4%の順だった。また、「人生の最期」を迎えるときは、「自宅」が37.5%、「病院などの医療機関」が27.9%だった。

■介護保険が使用できる施設

在宅介護型施設:

訪問看護ステーション、通所介護(デイサービスセンター)、通所リハビリテーション(デイケアセンター)、短期入所療養介護(ショートケア)、短期入所生活介護(ショートステイ)

入所介護型施設:

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)、介護老人保健施設(老健施設)、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護療養型医療施設

■介護保険が使えない入所施設
養護老人ホーム、軽費老人ホームA型・B型・C型(ケアハウス)、民間の有料老人ホーム(介護付有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、健康型有料老人ホーム