月別アーカイブ: 2015年1月

医療・介護総合推進法案が成立か

法案には、医療事故の原因究明と再発防止を目的とする医療事故調査制度の創設が盛り込まれている。厚生労働省の試算では全国の医療機関で起きる年間死亡事故数は1300~2000件で、つい最近も国立国際医療研究センター(本来使用してはいけない造影剤を使用し)脊髄に注入し78歳の女性が死亡)や東京女子医大病院(首の腫瘍の手術を受けた2歳の男児に手術後集中治療室で人工呼吸中に使ってはいけない鎮静剤を大量投与)で医療事故が発生している。第三者機関「医療事故調査・支援センター」が医療機関から事故の届出を受け公正な調査を行うことになるが、警察には通報しないことになっている。問題は遺族が納得のいく説明が受けられるかということと、医療に対する不信感が払拭できるかどうか」にある。第三者機関の構成員は中立的な立場での対応が必要だ。厚生労働省では来年10月に制度の運用を始める予定である。

■日本の殺人事件数の推移

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混合診療への取り組み

「国家戦略特区」の医療に関する骨子である①国際医療拠点における外国医師の診察、外国看護師の業務解禁、全国規模の制度改革として臨床修練制度の拡充、②病床規制の特例による病床の新設・増設の容認、③保険外併用療養(混合診療)の拡充、④医学部新設に関する検討、⑤その他の動き、が活発になっている。その中で混合診療(公的医療保険を使うことが認められる医療と、認められない医療を併用する)に関しては、来年度にも「患者申出療養」(仮称)を創設することにしている。患者の希望に応じ、幅広い分野の医療を受けられるようにする。受診できる病院数を全国的に増やす。申請から2~6週間程度で受診可能にする(いままで過去の治療例がない場合は6~7か月かかった)。過去に治療例があれば臨床研究中核病院(全国に15か所ある)において、2週間で審査し受診できるようになる。また治療例がない場合は、国が6週間で審査し受診できるようにする案を。今月に決まる新成長戦略に盛り込んで来年の通常国会に関連法案を提出することになっている。

■選択療養制度の患者負担

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都立病院の国際化に向けた動き

2020年の東京五輪開催で東京を訪れる外国人に安心・安全な医療を提供するために、都立病院(9病院)の「国際化」に向けた動きが本格化してきている。今年2月に設置された国際化対応委員会の下に、3つのプロジェクトチーム(PT)が設置され、通訳や言語サポートツールの活用などが検討されている。異文化や宗教への理解促進や、院内の案内表示の多言語化なども図るという。
 

都が全都立病院を対象に行った外国人患者の受け入れに関する実態調査では、外国人が最も多かったのは広尾病院(全体平均の3倍超の3.2%)であった。同病院では、来院する外国人に対応するため、院内の案内板を英語表記にしたほか、病院のホームページの英語版を作成。診療時の対応でも、英語版の入院案内や問診票を用意し、必要に応じて通訳サービスも利用するなど、受け入れ体制の整備に取り組んでいる。ただ、全部署に英語ができる職員が配置されているわけではなく、病棟での食事や薬、退院時の説明などで、「コミュニケーションに支障を来す場合もある」という。こうした問題を改善するため、都は、病院の職員を対象に英語などの語学研修を実施し、都立病院全体の底上げを図る方針だ。
 

国際化対応委員会の下に設けた「語学研修」や「患者サービス」、「施設整備」の3つのPTでも、ホームページの多言語対応やピクトグラム(絵文字)の活用などの検討が始まった。都の病院経営本部や都立病院全体で取り組む方針で、特に、五輪の立候補ファイルで高度な医療設備などを持つ「オリンピック病院」に挙げられた都立広尾病院と都立墨東病院、多摩総合医療センターの3病院については、外国人患者に常時対応可能な体制の構築を目指すことにしている。

都立病院や東京五輪に関わらず、海外からの訪日旅行者が2013年には1000万人を超え、在留外国人も206万6千人と増加していることからいずれの病院や診療所においても医療の国際化が望まれる。

◆都立病院

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介護職員は増えるか

東京都社会福祉協議会が、昨年10月から11月にかけて、特別養護老人ホーム100か所と通所介護事業所100か所、訪問介護事業所300か所を無作為に抽出し、施設や事業所の管理者と非正規介護職員を対象に行ったアンケート調査に、管理者221人と介護職員684人が回答した。

介護職員に、介護福祉士国家試験の受験意向を聞いた質問では、「とても受験したい」か「まあまあ受験したい」と答えた人が52.7%いた一方、「全く受験したくない」か「あまり受験したくない」と答えた人も46.2%に達し、介護福祉士の資格取得に前向きな人は、非正規職員のほぼ半分にとどまった。
 

受験に消極的な人に、その理由を複数回答で尋ねたところ、「いまのままでいいから」と答えた人が59.9%で最も多く、次いで「いまさら勉強しても受からないと思うから」(28.4%)、「勉強する時間がないから」(24.9%)、「受験勉強や合格後の講習に費用がかかるから」(19.9%)などの答えが多かった。また、受験するにはどのような条件が必要かを複数回答で尋ねた質問では、職場からのサポート(29.7%)や資格取得後の昇給の保障(24.9%)、試験問題の簡易化(24.6%)などの答えが多かった。
 

一方、施設や事業所の管理者に対し、非正規職員が介護福祉士資格を取得することを期待するかどうかを尋ねた質問では、「とても期待している」か「期待している」と答えた管理者が94.6%に達した。
 

この結果について、東京都社会福祉協議会では、「介護福祉士を目指す非正規職員を増やすには、公的な支援制度の拡充はもちろん、各職場における支援のさらなる充実も求められるのではないか」(事務局)としている。

1987年、高齢者や障害者の食事や排せつ、入浴の介護などを行う国家資格を持つ専門職として「社会福祉士及び介護福祉士法」が制定された。有資格者数は、全国約118万人だが、社会的な評価が低く、仕事がきつい割に給与が平均218,400円と安い(生産業平均345,500円)。介護職員の離職率は、17%(生産業14.8%)で慢性的な人手不足である。 法改正が行われ、下図ように法改正されれば、身分も高くなるが、介護職員のハードルが高くなることに事業所は、「介護士を志す人が減り人材難が悪化する」「資格取得を目指す職員が研修で長期に休むのは困る」などの思いがある。

経済が回復しバブル期のようになると医療や介護、福祉分野を目指す人は激減する。「きつく、汚く、危険な、それでいて給与も安い」職業を選ばない。厚生労働省は、相当な覚悟で改善を図らないと2025年の目標介護職員数は絵に描いた餅となる。あとおよそ100万人(2025年の必要数:237万~249万人)の介護職員を必要としている。

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救急受入れ38回拒否される

埼玉県川口市で昨年2月、自宅で骨折した50代の女性が、複数の病院から救急搬送の受け入れを 計38回断られていたことが、県の調査で分かった。

県によると、女性は入浴のため衣服を脱いだ際に転倒して右脚を骨折し、119番した。女性は悪性リンパ腫が脳に転移しており、救急隊員がかかりつけの病院に受け入れを求めたが、病院側は「ベッドが満床」と断った。ほかの病院も「女性の持病は専門外」と断り、搬送先が決まるまでに2時間22分かかったという。

昨年一月には、同県春日部市の路上で動けなくなっていた80代の男性を警察官が発見して229番。だが、病院から受け入れを計 36回断られ、救急車内で5時間8分待たされた。男性が住所不定で 身元引受人がいなかったことが影響したとみられるという。

病院のベッドが満床のために患者が入院できないということは基本的にはない。ほとんどは現状で手いっぱいというのが経験的には実情であろう。つまり能力や体力を越えてしまう。そうした断り方はできないので、てっとりばやく「満床」という。

地震関連死3000人超す

5月27日、復興庁は東日本大震災による避難生活などで体調が悪化して亡くなる「震災関連死」と認定された人が、3月末までに福島や宮城など10都県で計3089人になったと発表した。昨年9月末時点の集計から173人増えた。
 

都県別でみると、福島が1704人で最も多かった。次いで宮城889人、岩手441人、茨城41人、千葉4人、神奈川と長野各3人、山形2人、埼玉と東京各1人だった。
 

市町村別では、福島県南相馬市452人、同県浪江町323人、仙台市258人、宮城県石巻市252人、福島県富岡町236人などである。
 

年齢層別では、66歳以上が2755人、21歳以上65歳以下が329人、20歳以下が5人だった。
地震だけならこれほどの地震関連死はなかったであろう。津波による家族の安否がわからない、福島原発事故による避難所生活の長期化など心労が続いている。

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糖尿病薬スーグラで重篤な副作用21件

製薬会社の「アステラス製薬」(東京都中央区)と「MSD」(同千代田区)は、4月に販売を開始したSGLT2阻害薬「スーグラ」(一般名イプラグリフロジン)の第1回市販直後調査の中間集計結果を公表した。それによると、製造販売承認を取得した1月中旬から4月末までの間、医師から報告のあった副作用は133件で、副作用では、「薬疹」(薬による発疹)が15件で最も多く、以下は「口渇」(11件)、「便秘」(10件)、「頻尿」(9件)、膀胱炎(8件)と続く。このうち重篤な副作用は21件で、皮膚及び皮下組織障害(13件)、「全身性皮疹」(4件)、「薬疹」(3件)などが上がった。 低血糖症は6件で、うち1件が重篤なケースだった。
市販直後調査は10月16日まで実施される。

スーグラ錠

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抗癌剤の暴露

抗癌剤は、がん細胞を縮小したり、死滅させるために実施する治療である。しかしがん細胞だけを標的にしているわけではないので正常な細胞も傷つけてしまう。大きな病院や職員の安全に気を配っている施設での抗癌剤の取り扱いは、ミキシングルーム(薬剤の無菌調剤室)という設備を持ち、防護用具(マスクやゴーグル、エプロン、キャップ、手袋など)を装着して薬剤師が抗癌剤を混合しているが、そうした設備や防護用具、薬剤師の整っていない病院では、病棟や外来で看護師が抗癌剤に暴露されながら抗癌剤の調剤を行っている。             
  
抗癌剤を取扱う看護師と取り扱わない看護師では白血球のDNA損傷や脱毛、頭痛、めまいなどの発症に差が出るという。また妊娠中に抗癌剤を取り扱うと流産率が高まるという研究報告がある。防護体制をしっかりと築いて実施してほしいものである。

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看護師の離職防止は看護部長・看護師長の双肩にかかっている

看護職の定着を推進(離職防止)するためには、看護部の代表である看護部長が病院の目指す方向を明確に示し、そのことによって看護師としてどのようなキャリアアップにつながるか、納得できる説明をすることにある。そうしたことを現場にいる看護師長(中間管理者)が看護師とともにそれぞれの看護師が自己の存在感を保ちながら楽しく実践できるかどうかにかかってくる。

チーム医療、地域との連携、包括ケアなど病院内から広く外に目を向け、病院が地域で担うべき役割を組織が明確にすることが必要条件となる。「病床機能報告制度」は間近に迫っている。私はそうして離職を減らしてきた。採用に努力を払うより離職防止に努力を払い、「看護の質」を担保することを考えないといけない。

「できない」、「やれない」、「無理」という人は管理者を辞めた方がよい。

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誤嚥性肺炎を防ぐ医療的処置

肺炎による死亡率は一昨年に脳卒中を抜いて第3位になった。中でも誤嚥性肺炎は増えている。誤嚥性肺炎は、食事や口腔内の唾液など病原菌とともに気道に流れ込み気管支や肺胞などで炎症を起こす。炎症による腫脹や炎症部位の崩壊による浸出液の漏出によりガス交換障害が起き、また発熱による全身消耗などにより死への転機となる。誤嚥性肺炎を防ぐために、食事時や就寝・休息時の体位や食事介助法の工夫、食後・就寝時の口腔ケアなどの看護が展開されている。しかし、口腔内は37℃前後の温度(適温)、唾液による適度な水分(適湿)、食物などの栄養素など細菌の繁殖にとっては至適環境である。このいずれかを遮断すれば肺炎も防止できるであろうが、100%防ぐことは難しい。         

そうした誤嚥性肺炎を防ぐ方法として、「声門閉鎖術」が実施されているところがある。手術により、痰吸引などの気道管理の負担が減るため、在宅で過ごすこともでき、再び口から食べられる可能性もある。その一方で、声門を閉じるために、患者は声が出なくなるコミュニケーション障害というデメリットがある。こうした処置をしなくても肺炎が発生しない何か良い方法はないものであろうか。