月別アーカイブ: 2014年11月

ゼプリオン使用で17人死亡

ヤンセンファーマ社の4週に1回投与の持効性注射剤 統合失調症治療薬「ゼプリオン」の使用後に死亡した患者が、昨年11月の販売開始から4か月半で17人に上っていることがわかった。薬との因果関係は不明だが、同社は、医療機関に注意を呼びかけている。
 

この薬は4週間に1回、肩や臀部の筋肉に注射する。使用した患者は推定約1万700人。市販後の調査で報告のあった17人の死亡例には、心筋梗塞や肺塞栓、低体温、吐しゃ物による窒息などがあった。使用3日後の例もあれば、40日以上経過していた例もあった。
 

同社は、薬との因果関係などは調査中としながらも、「薬剤は投与後、4か月間は体内に残る。なるべく家族らが経過観察できる患者に投与し、異常があれば直ちに受診するように十分説明を」などと医師に呼びかけている。他の抗精神病薬との併用についても、安全性が確立していないとして極力避けるよう求めている。厚生労働省も情報収集している。
 

同社によると、この薬は2009年以降、世界60か国以上で使用されているが、短期間に多数の死亡例が報告されたことはないという。

家族の経過観察ができる患者に限って投与する対策でよいのだろうか。少なくても薬物の影響なのか否かを明確にしないと安心して投与できないのではないか。家族にとっても365日24時間ずっと経過を観察するのは不可能である。急変はいきなりやってくる。心停止・呼吸停止後の時間的な猶予は家族がいても救えないものは救えない。とってつけたような対策を打ち出したものだ。

■カーラーの救命曲線

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パキシル(バロキセチン塩酸塩)の自主回収

うつ病やうつ状態、パニック障害、強迫性障害、社会不安障害、外傷後ストレス障害の治療に使用されるパキセル錠、パキセルCR錠(セロトニンを再取り込みするセロトニントランスポーターの働きを阻害することで、脳内シナプス間隙のセロトニン濃度が高まり、神経の伝達がよくなる)は、憂うつな気分をやわらげ、意欲を高める。またセロトニントランスポーターにだけ結合し、その他の受容体にはほとんど作用しないので、抗うつ薬特有の副作用も少ない。

グラクソシミスクラインは2012年1月から2012年12月までに出荷したパキシル錠、2012年6月から2014年1月までに出荷したパキシルCR錠にパロキセチン原薬の製造工程において使用される工業用エタノールの保管タンクを一時的に廃棄タンクと接続した際に、保管タンク内の工業用変性エタノールに廃棄タンクから製造工程由来の物質の混入が認められたことにより、それらの物質がパロキセチン原末へ混入した可能性があるとの米国食品医薬品庁(FDA)から 2014 年 3 月 18 日付で警告状が発行されたことを受け自主回収を開始した。

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がん診療連携拠点病院の指定要件の緩和

全国に397あるがん診療連携拠点病院(拠点病院)の約2割に相当する75の拠点病院で、新たな指定要件で求められる放射線治療医や病理医などの人員配置の厳格化が免除される見通しだ。国際医療福祉大大学院の高橋泰教授が、二次医療圏データベースと医師数が把握できる病院報告を使ってスクリーニングして分かった。
 

厚生労働省は拠点病院間の医療提供体制や診療実績の格差をなくすために拠点病院の要件を見直し、人員配置を厳しくしたり、診療実績の評価方法を変えたりする。新たな要件は原則、2015年4月からの指定更新で適用する。主な医師の人員要件は、放射線治療を現行の就業時間の少なくとも5割以上 従事していなければならないとされている。

■がん診療連携拠点病院とは?

がん診療連携拠点病院とは、平成19年(2007)4月施行のがん対策基本法の理念に基づき、全国どこに住んでいても「質の高いがん医療」が受けられるように、都道府県の推薦をもとに厚生労働大臣が指定した病院をいい、専門的ながん医療の提供、がん診療の連携協力体制の整備、および患者さんやご家族への相談支援や情報提供などの役割を担う。地域がん診療連携拠点病院の主な役割は、

1)集学的治療の提供体制を整え、標準的治療等の診療機能の充実を図り、 
   
2)専門的な知識及び技能を有する診療従事者に配置し、    

3)専門的な医療を提供するための医療施設・治療機器等を整えていることが必要だ。

2014年度診療報酬改定の疑義解釈

厚生労働省は3月31日付で、2014年度診療報酬改定の疑義解釈を出した。この疑義解釈(その1)は医科で93項目、調剤で21項目に及ぶなど、内容も多岐にわたっている。その後、4月4日に、「疑義解釈資料の送付(その2)」について事務連絡を行った。 今回は、新たなQ&Aを掲載しているほか、3月31日に公表した「疑義解釈(その1)」のQ&Aを一部訂正している。

「地域包括診療料・地域包括診療加算」や「地域包括診療料」は、初診時には算定できないが、同一月に再度の受診があった場合には算定できることを明確にした。初診時の費用は出来高払いとなる。また、患者がお薬手帳を持参し忘れた場合などに、紙1枚を折って作った簡易型のお薬手帳を交付しても、手帳として機能していない(薬剤の記録を記入する欄が著しく少なく、薬剤服用歴を経時的に管理することができない)ため、薬剤服用歴管理指導料(41点)で新設された低い点数(34点)を算定することを明確化した。近隣の薬局と連携して調剤と在宅業務が24時間可能な体制を整えた場合に算定できる基準調剤加算1(12点)について、特定の薬局が主として夜間休日対応を行う事例を不適切とした。

はしか流行の兆し

麻疹(measles, rubeolaI)は、感染力が非常に強く、空気感染し、潜伏期は10~12日である。症状は熱やせき、発疹などが出現する。重症化すると肺炎や脳炎で1000人に1人が死亡するとされ、肺炎や中耳炎、脳炎などを合併する可能性が高い。治療に特効薬がないため、感染防止のために予防接種を受けることが勧められている。感染症法に基づく五類感染症に指定して届出の対象とされる

その麻疹(はしか)の流行が拡大し、3月までで昨年1年間と同じ規模の患者数が発生している(国立感染症研究所のまとめ)。研究所によると、2014年に入り、第13週(3月24〜30日)までに確認された麻疹患者は全国で231人(昨年計:232人)で、ほぼ3ヶ月で1年間の患者数に達したことになる。

都道府県別で最も多いのは東京都の41人。次いで、静岡県27人、京都府と千葉県がそれぞれ22人となっている。ただ、人口100万人あたりでみると、京都府が8.3人で最多。静岡県7.2人、和歌山県7.0人と続き、この3府県が突出して多い。

年齢別では、20代が23%を占めて最も多く、以下は1〜4歳が21%、30代が17%の順である。予防接種を受けていない若い世代や、受けていても時間が経って免疫が弱まっている可能性のある若い世代の発症が多くなっている。また、国内で感染したものが約7割。1月頃まではフィリピンなど海外での感染が目立ったが、次第に国内感染にシフトしており、輸入された麻しんウイルスが国内で広まっている可能性があるという。

■麻疹(はしか)2014(流行・発生報告数の推移)

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■麻疹の経過

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国が企業の介護離職防止策を支援

総務省が07年10月~12年9月の5年間に行った調査では、家族や親せきの介護や看護のために前職を離職した人が48万7000人で、1年平均およそ10万人が職を離れていることが分かっている。離職者の中には企業において中核的な役割を担う人も少なくなく、企業の持続的な発展を支援することが重要であると判断し積極的に企業を支援することにしている。こうした中、厚生労働省は、各企業における介護離職防止の立案や導入を支援する事業の実施を決めた。さまざまな業種や規模の民間企業100社を選び、モデルとなる防止策の立案・導入を支援する方針で、具体的な制度を導入した企業には、報奨金も支給することにしている。モデル事業は、2014年度予算に盛り込まれた「仕事と介護の両立支援」(予算枠は6700万円)の一環として実施する。
 

具体的には、全国からモデル事業に参加する民間企業を募集し、その中から約100社を選出し、選ばれた企業は、厚労省から委託を受けたコンサルティング会社の助言を受けながら、「在宅勤務制度」や「勤務時間の短縮」などといった、介護離職を防止できる形態の業務への従事方法を検証することになる。

2012年度介護保険給付費、8兆円台に

2012年度の利用者負担分を除いた介護保険の保険給付費(1年間の介護保険給付費の総額のことで、居宅介護サービス費・施設介護サービス費などの介護給付にかかる費用、および居宅支援サービス費等の予防給付に要する金額の合計で、半分を保険料、残り半分を公費で賄っている)が、全国で8兆1283億円となり、初めて8兆円を超えた(厚生労働省発表)。前年度から6.5%の増加で、00年度の介護保険スタート時(3兆2427億円)と比べると倍以上に増えた。                

第1号被保険者(市町村より要介護または要支援の認定を受けた、65歳以上で年金より介護保険料を特別徴収:日本年金機構などが、年金受給者に年金を支払う前に、介護保険料を差し引いて、市町村に納入することがなされている人)1人当たりの給付費は、26万3000円(前年度比2.5%増)であった。また、要支援・要介護認定者は前年度と比べて約31万人多い561.1万人となった。65歳以上の第1号被保険者は546万人(前年度515万人)、それ以外の第2号被保険者(40歳以上64才未満)は15万人(前年度16万人)いた。要支援1から要介護2の軽度者が63.5%を占めている。
 

1か月平均のサービス受給者数は約458万人で、前年度に比べ5.5%増加。サービス別では、居宅サービスが約338万人(同19万人増)、地域密着型サービスが約33万人(同3万人増)、施設サービスが約87万人(同2万人増)で、介護老人福祉施設が46.6万人(同1.8万人増)、介護老人保健施設が33.7万人(同0.7万人増)、介護療養型医療施設が7.4万人(同0.6万人減)であった。これらのデータは、高齢化がすすみ、精神・身体機能の低下する高齢者が増えていることを物語っている。

■介護対象者の状況比較(単位:万人)

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DPC対象病院の現状

厚生労働省は、医療費抑制のために、多くの医療機関における包括払い(DPC:Diagnosis Procedure Combinationの略で病気の種類と診療内容によって分類された区分に基づいて,あらかじめ国の定めた1日あたりの定額部分と出来高による部分を組み合わせて入院診療点数を計算する)方式の導入を提唱し、進めている。

DPC方式においては、報酬が定額なので治療が長引くほどコスト増になり、医師は利益を出すため無駄な医療行為を減らし、できるだけ短期間で治療しようとする。

このことによって、患者には、「治療期間が短くなり、支払う医療費も安くなる。過剰検査、過剰投薬などの問題が起きなくなる。」というメリットが、医療機関には、「医療費情報が標準化されるので、医療の質を評価しやすくなる。医療の質をあげ、効率的な治療をすれば、出来高払い方式よりも収益性が高まる。」、行政では、「治療内容や治療成績のデータが公開されることによって、医療サービスが標準化され、増加傾向にある医療費の削減が期待できる。」という3者ともにメリットがある。                                

DPC制度に参加する(診断群分類を用いて包括請求を行っている「DPC対象病院」になる)ためには、DPC準備病院を経なければならない。DPC準備病院は、請求は通常の医科診療報酬点数表(以降、医科点数表)で行い、退院患者に関するデータ提出のみを行い、厚生労働省が定めた要件を満たさなければならない。            

対象病院への参加は、参加の届出を行う時点で対象病院の要件④(下記参照)以外をすべて満たしていることが条件となっており、⑤(下記参照)は、厚生労働省が診療報酬改定に使用する当該病院データで判断する。参加時期は診療報酬改定時で、対象病院への移行を希望する準備病院は、直近に予定されている診療報酬改定の5カ月前の初日までに参加届を提出しなければならない。

厚生労働省の試算では、DPC対象病院の病床数は計49万2206床で、前年同期と比べ1万7225床の増となり、4月1日付で新たに96病院が加わり、DPC対象病院の総数は1585病院となった。一方、①仙台徳洲会病院(仙台市泉区)、②北茨城市立総合病院(茨城県北茨城市)、③鹿島労災病院(同神栖市)、④湯川胃腸病院(大阪市天王寺区)、⑤舞子台病院(神戸市垂水区)の5病院が3月末でDPC対象病院から退出したことで、前年同期と比べ89病院増加したことになる。13年度には病院分割で1病院が参加したほか、DPC対象病院同士の統合で3病院減っていた。これに対し、今月1日時点のDPC準備病院は278病院で、前年同期と比べ34病院増えた。厚労省の試算によると、DPC準備病院の病床数は3万6458床という。

【対象病院・準備病院の基準】

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歯科記録の標準化に向けた取り組み

東日本大震災では、犠牲者(遺体)の身元確認が困難を極めた。フィンランドでは、独自に標準化(デジタルデータ化)したデータ(変化しにくい歯の情報を基に身元を調べる)で、2004年のスマトラ沖地震の犠牲者(遺体)の112人の身元を特定しICPO(国際刑事警察機構:International Criminal Police Organization)の「災害犠牲者の身元確認システム」方式に対応できるものにしたことなどから、日本においても歯科治療の記録を標準化する方向で検討が進められている。東日本大震災では、歯科医院が被災しカルテも津波に流され、記録様式もバラバラであった。南海トラフ地震(2012年被害予想:30都道府県で32万人の死亡者)や首都直下地震の切迫性が叫ばれる中、外国での身元特定や来日した外国人(2020年には東京オリンピックも行われる)の身元特定にも役立つ歯の記録の標準化とデータベース化は喫緊の課題である。プライバシーの問題や縦割り行政の問題(国民の健康を守ることが厚生労働省の主務で死者の身元確認は警察の仕事としていることや警察は患者情報は厚労省が管理すべきとしていること)があり道のりは遠い。

■デジタル化の例
 大人の場合、32本の永久歯の状態を、虫歯でなければ「1」、詰め物があれば「2」、銀歯なら「3」、歯がなければ「4」など決められたルールに則って記号や数字で歯の状態を置きかえる(デジタルデータ化)。

救急医療管理加算の算定要件

2014年度診療報酬改定で救急医療管理加算(入院日を起算日として7日間算定できる)は2区分に再編された。① 吐血,喀血又は重篤な脱水で全身状態不良の状態、② 意識障害又は昏睡、③ 呼吸不全又は心不全で重篤な状態、④ 急性薬物中毒、⑤ ショック、⑥ 重篤な代謝障害(肝不全,腎不全,重症糖尿病等)、⑦ 広範囲熱傷、⑧ 外傷,破傷風等で重篤な状態、⑨ 緊急手術を必要とする状態など9つの状態の患者が対象になる「加算1」は点数が800点/日(据え置き)で、9つの状態に準ずる重篤な状態で緊急入院が必要な重症患者が対象になる「加算2」は400点/日(新設)となった。なお入院後悪化する可能性のある患者は救急医療管理加算の対象にはならない。6歳未満の場合は乳幼児加算としてさらに400点が、6~15歳未満の場合は小児加算としてさらに200点が積算できる。                         

また特定集中治療室管理1・2の医師の配置要件は、特定集中治療の経験を5年以上もつ医師が2人以上で、治療室内で常時勤務する医師のローテーションに含まれていればよいことになっている。