月別アーカイブ: 2014年10月

看護師の過重労働は患者死亡率を上げる

看護師が労働過多だと患者の生命に悪影響がおよぶ恐れがあることを裏付ける結果が25日、英医学誌「LANCET(ランセット)」で発表された。緊縮財政下で医療関連予算の削減を迫られる国にとって敏感な問題に触れる研究だ。

研究チームは、欧州9か国(英イングランド、ベルギー、フィンランド、アイルランド、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、スイス)の300の病院を対象に、手術を受けた患者の生存率を、看護師1人あたりの患者数および看護師の学歴と比較した。            

対象となった患者は人工股関節・膝関節の手術や盲腸、胆のう炎など、ごく一般的な手術を受けた50歳以上の患者42万人ほどで、その結果、入院から30日以内の死亡率の国別平均は、1.0~1.5%と低かった。だが国内を見ると、病院別の死亡率は1%未満から7%以上までと、大きな差があった。                                

高い死亡率と相関していた2大要素は、看護師の仕事量と学歴だった。患者の死亡リスクは、看護師の担当患者が1人増えるごとに7%増加し、大卒の看護師数が10%増えるごとに7%低下していた。             

論文は「経費削減のために看護師数を減らせば、患者に悪影響がおよぶ恐れがある」、「看護師の学士レベルの教育に重点を置くことが、死亡患者数の減少につながるかもしれない」と指摘している。

看護師国家試験合格者発表

2014年2月16日に行われた「第103回看護師国家試験」は、大雪の影響による公共交通機関の遅延や運休により、仙台会場や東京の8会場などで、定刻より1時間繰り下げて試験が開始された。最大2時間遅れて試験を開始することになったが、それでも試験会場に到着できない受験生がおり、希望する者には3月19日に試験が受けられるように調整された。3月25日にその合格発表が行われた。出願者数60,312人、受験者数58,891人、合格者数52,900人(前年比+2,700人)で、合格率は89.8%(前年比+1.0%)であった。このうち、新卒者の合格者数は50,349人で、合格率は95.2%。なお、大雪の影響による公共交通機関の遅延や運休により、3月19日に行われた追加試験の合格発表は3月29日に予定されている。

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国際共同治験、日本24位

日米欧の製薬企業のうち、各地の売上高上位10社、計30社が2008年~2012年の「国際共同治験(世界の複数の国で患者を募り新薬の効果や安全性を調べる)」2,347件について国別の参加件数を発表した。                              

国際共同治験に日本の患者が一定数参加し、新薬の効果が証明されれば海外に遅れずに新薬を国が承認できるメリットがある。                         

日本は米国についで医薬品市場規模が世界2位であるが、国際共同治験の参加は少なく世界で24位である。トップは米国(1,630件)、次いでドイツ(1,209件)、3位カナダ(1,003件)、アジアでは韓国13位(553件)、台湾20位(414件)、日本24位(358件)である。           

海外に比べ新薬承認が遅れる「ドラッグラグ」解消のために国際共同治験の参加を推進していくことが必要である。

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介護職員の給与引き上げ

厚生労働省は、昨年10月、平成24年度介護報酬改定の影響による介護従事者の処遇改善の状況を把握し、次期介護報酬改定のための基礎資料を得ることを目的として全国の介護老人福祉施設や介護老人保健施設、介護療養型医療施設、訪問介護事業所、通所介護事業所、認知症対応型共同生活介護事業所、居宅介護支援事業所9262か所に対し「2013年介護従事者処遇状況等調査」を実施し、その結果を3月20日の社会保障審議会介護給付費分科会の介護事業経営調査委員会で報告した。それによると、介護従事者の給与を前年度より引き上げた事業所は61.8%であった。また、介護職員処遇改善加算を活用している事業所は87.2%に達した。厚労省では、この結果について、次回の介護給付費分科会に報告する予定だ。                                                       

介護職員の離職率17%(全産業14.8%)が、介護職員の平均給与額21万8,400円(全産業32万5,600円)を上げることで離職率が減少し、医療と介護の連携がシームレスに進むことを望む。介護施設の介護職員の定員割れ6割が少しでも解消されることを願っている。

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病床機能報告制度とは?

超高齢社会にふさわしい医療を提供するため、「病床の機能分化と連携」を進めることが、昨年12月に成立した社会保障改革法に盛り込まれた。その実現に必要な法案が、今年の通常国会に提出される。
 

病床に求められる機能には、発症直後の「急性期向け」、在宅復帰を支援する「回復期向け」、長期療養のための「慢性期向け」などがある。しかし、日本の病床は「一般」と「療養」に大別されるだけで機能別の区分がなく、病院ごとの役割分担も不明確である。
 

一方で、一般病床には看護師の配置数によって4タイプあり、配置が手厚いほど急性期向けの役割が期待されている。医療保険から病院に支払われる診療報酬も高いため、現在は最も手厚いタイプ(患者7人に看護師1人)にその半数が集中し、急性期向けに偏った病床構成となっている。高齢化に伴い、急性期後のリハビリや在宅復帰支援を行う回復期向けのニーズが高まっているが、対応できていない現状がある。
 

このため、急性期向け病床に転院先のない高齢患者が残り続け、新たな救急患者が入れないといった弊害が起きている。高齢患者もリハビリなどが受けられず、在宅復帰が難しくなるケースがある。
 

こうした状況を受け、同法では、病床を機能別に区分したうえで、都道府県の役割を強化して区分ごとの必要数を整備することなどを定めた。その第一歩として、厚生労働省は現状把握のため、2014年10月1日から都道府県の策定した医療計画に基づく病床機能「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の四区分を、各病院から都道府県に報告してもらう制度(病床機能報告制度)の運用方法や具体的な報告項目を現在検討している。また都道府県は2015年度以降、それぞれ地域の医療需要の将来推計と照らし合わせながら、医療機能の分化・連携の推進のための「地域医療ビジョン」を策定し、その上でビジョンを医療計画に反映させて効率的な医療提供体制の構築を目指す。

機能区分ごとの必要病床数などを盛り込んだ「地域医療ビジョン」を策定し、これに基づき、病院の自主的な病床転換を促すほか、病院間の「協議の場」を設置して話し合いによる転換を求める。必要となる改修費や設備費を補助するための基金も、14年度に都道府県に設置する。財源には4月の消費税増税による増収分を充てる。
 

地域に適した病院・病床の整備と連携が進めば、高齢患者も在宅復帰しやすくなる。団塊の世代すべてが75歳になる2025年に向けて、着実に進められていく。

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■医療機能・病床機能の報告の流れ図
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■病床機能制度における集計作業について 
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4年に1度の看護職員実態調査結果公表

3月18日、日本看護協会が4年に1度実施している「2013年看護職員実態調査(2013.10.1~10.31実施)の速報版が発表された。ポイントのみを掲載していくと、                      

1)2交代制夜勤実施率(49.9%)が3交代制実施率(34.2%)を初めて上回った。               

2)超過勤務時間が前回調査より1時間20分短縮した。一か月の超過勤務時間が24時間以上11.2%(前回比-2.3%)、12時間以上24時間までが18.8%(同-1.7%)、6時間以下39.8%(同33.6%)で、月6時間以下の超過勤務時間が増え、12時間以上の超過勤務時間が減少傾向にある。                              
3)年次有給休暇の消化状況は、平均9.2日で、1~9日の取得者が最も多い31.1%であった。           
4)現在の職場に希望することとして、給与の引き上げが50.5%で、次いで業務量の軽減32.4%、休暇取得の推進28.5%の順になっている。                  

5)看護職の仕事を選んだ理由としてもっとも多いのが、免許や資格を取りたかった45.1%、ついで働き甲斐のある仕事だから41.2%、人や社会の役に立つ仕事だから38.4%の順である。                      
6)看護の仕事のイメージと実際では、業務量の多さ70.1%で想像以上に悪いと感じている。次いで、休暇の取得しやすさが悪く56.6%、給与が悪い55.2%の順になっている。                 

7)看護の仕事の魅力については、一生続けられる54.4%、専門性の高い仕事である52.7%、就職・転職に困らないとなっている。                        

8)転職経験では、54.2%が転職を経験しており、最も多い回数は1~2か所46.8%、3~4か所37.0%であった。                                            
9)転職で利用した職業紹介機関は、利用していない60%で、ハローワーク27.3%、ナースバンク17.7%、有料職業紹介事業者1.6%であった。                

10)就業継続の意向については、20~29歳では結婚や出産にかかわらず何らかの形で働き続けるが36.2%で最も低く、看護師にこだわらず興味や関心のある仕事をしたい43.5%で、看護職としてはたらき続けたい39.9%を上回っている。
 

まだまだ看護師の処遇は厳しい状況にあるという結果になっている。

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小規模多機能型居宅介護と複合型サービスとは

小規模多機能型居宅介護は、「認知症高齢者の在宅支援を目的に2006年、介護保険で導入された24時間型サービスで、一か所の利用登録は25人までである。サービス内容には、「一日最大15人までの通い(事業所で食事や入浴のサービスを受ける)」や「一日最大9人までの泊まり(一時宿泊する)」、「訪問(介護事業所の職員が自宅を訪問する)」があり、地域で在宅介護を支える。必要なスタッフは、「通い」の人数に応じて介護職員が配置され、ケアマネージャーと看護師が一人ずつ常駐する体制になっている。                       

介護職員の配置基準は、通常の営業時間内を通して利用者3名に対して1名の職員更に訪問サービスの職員を1名配置することになる。通いの職員と訪問の職員を区別する必要はないので、一日の利用者が18名ならば6名の職員が必要ということになる。料金は要介護度ごとの定額制で、「通い」と「訪問」はどれだけ利用しても料金は同じになっている。「食費や泊まり」は別料金で施設により金額は異なる。          

また2012年に導入された複合型サービス(小規模多機能に訪問看護サービスを加えたもの)では、インシュリン注射や胃瘻からの栄養物注入などの医療ニーズの高い利用者が多い。

■介護サービス別介護度別自己負担額
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■小規模多機能居宅介護事業の現状
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糖尿病の看護師による支援体制の強化を

2012年の国民健康・栄養調査によると、国内の糖尿病患者は予備群を含めて約2050万人いると推測されている。糖尿病は、糖質(血糖)を調節するインスリン(細胞に栄養が移動しやすいように血糖を低下させる)というホルモン(膵臓から分泌される)が不足したり、作用が不十分なために常に血糖が高い状態(空腹時血糖:126mg/dl以上)になる病気である。

糖尿病には2種類のタイプがあり、一つは、インスリン依存型(Ⅰ型)糖尿病(全糖尿病の5%と頻度はわずかである)といわれるもので、原因はウイルス感染や自己免疫により膵臓が破壊されてしまいインスリンがまったく分泌されないためインスリンの注射が必要で、インスリン依存型と呼ばれる。若年でやせ型の人に発症する特徴がある。もうひとつはインスリン非依存型(Ⅱ型)糖尿病といわれるもので、原因は体質の遺伝と食べ過ぎ、運動不足、ストレスが加わって発症する。その本態はインスリン受容体(インスリンが働く場所)の機能の低下といわれ、中年で肥満型の人に多く発症し、糖尿病のほとんど(95%)がこのタイプである。治療は食事療法・運動療法が主体で、治療が不十分な場合は内服薬 やインスリンの注射が施される。

糖尿病を放置したり、コントロールが不十分な状態が続くと重篤な合併症(神経障害・網膜症・腎症)を引き起こす。糖尿病の初期は自覚症状に乏しいことから、症状(全身倦怠感、頻尿・尿量増加、体重減少、口渇など)が出現してから気づくことが多い。

                               
発症後の進行と合併症を防ぐには、早期からの「食事療法・運動療法・薬物療法」が重要だが、支援者がいないとドロップアウトしてしまう。「食」の生理的欲求を我慢することは、空腹感がある状況下では難しい。自己実現の欲求や社会的な役割の中での承認欲求など、よほどの高次欲求が強くない限りは耐えることは困難である。辛さを支持し、できたことや頑張っていることを認めてくれる人がいないと継続することは難しい。こうしたことを看護師は理解して関わる必要がある。患者のことを気にかけ、頑張っていることを褒め(承認)、その人の目標を確認しながら進める看護の3本柱が必要である。

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業務独占と名称独占

名称独占資格とは、その資格を取得・保有してなければその名称を使用してはならないと法令で規定されている資格のことをいい、無資格者は名称独占資格である特定の資格を名乗ることはできず、名乗ると法律違反となる。しかし、独占するのは名称のみなので、名称独占資格と同じ業務を行うことは法律違反とならない。一方、業務独占資格は、名称も独占し、資格がないと業務を行うことも名乗ることもできず、資格のない者が行ったり名乗ったりすると処罰の対象になる。国家資格の場合はほとんどが業務独占である。

■病院で働く職業の資格区分
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平成24年度保険医療機関指定取り消し72件

厚生労働省は1月31日、平成24年度における保険医療機関等の指導・監査等の実施状況(概況)を発表した。調査結果の要旨は、病院などに個別指導や監査、適時調査を行った結果、昨年度は130億3890万円(前年度比47億4000万円増)の返還につながった。前年度と比べ157.2%の増。また保険医療機関などの指定取り消し件数は72件(指定取消相当を含む、前年度比27件増)で、記録が残っている1970年度以降3番目に多かった。  

平成24年度には、「個別指導」は、4302件、9173人(同556人減)に対して行われ、内訳は、医科が1553件、5074人、歯科が1358件、1854人、薬局が1391件、2245人となっている。

また「集団的個別指導」は、1万3622件(医科4835件、歯科5085件、薬局3702件)に実施されており、前年度に比べて68件増加していた。 

一方、著しいルール違反が疑われる場合には「監査(保険請求の高額な医療機関を対象に、講習会形式と面接形式の2つで保険ルールの遵守等を指導する)」が行われ、事実関係の調査が実施される。調査の結果、ルール違反が認められると、違反の程度に応じて「保険指定取消」「戒告」「注意」のいずれかの処分が行われる。

平成24年度には97件(前年度比64件減)の監査が行われた。内訳は、医科53件、歯科35件、薬局9件である。この結果、「保険指定取消」となったのは72件(医科42件、歯科22件、薬局8件、取消の前に保険指定を辞退する「指定取消相当」を含む)で、前年度に比べて27件増加している。また、保険医等の登録取消は42人(前年度比8人増、取消前に保険医を辞退する「登録取消相当」を含む)となった。

保険医療機関等の指定取消処分(指定取消相当を含む。)の原因(不正内容)を見ると、不正請求(架空請求、付増請求、振替請求、二重請求)がそのほとんどを占めている。

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