月別アーカイブ: 2014年8月

インフルエンザ流行

全国的にインフルエンザの患者報告数が増える中、「流行入り」を宣言する自治体が相次いでいる。昨年12月30日から今年1月5日までの1週間の患者報告数は、福井県で前週に比べて1.6倍と急増し、流行入りの目安を超えた。

都道府県別の定点(12/23~12/29)の一週間の発生状況は右表のとおりである。四国や九州地方、山口県で感染が拡大している。

一方、国立感染症研究所は、札幌市内の患者からタミフルなどに耐性のあるインフルエンザウイルスが検出されたと公表した。薬剤耐性が疑われる場合、耐性を示していないリレンザやイナビルの使用を考慮することを挙げている。

感染者は人ごみの多い場所への参加を自粛する等で、感染の拡大を防止してほしい。しかし明日はセンター試験、多くの学生が大きな教室で会することになる。

流行の温床となる電車やバスなどの空間も同様である。

感染を予防するには、マスク着用・うがい・手洗い・換気を徹底することである。

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有床診療所95%がスプリンクラー未設置

昨年10月の福岡市の有床診療所火災により患者らが死亡した事件を受け、消防庁により設置された「有床診療所火災対策検討部会」が1月16日に開催され、総務省消防庁の有床診療所の実態調査結果が公表された。それによると、全国の有床診療所(7,744か所)のうち、スプリンクラーを設置しているのは416か所(5.4%)にとどまり、94.6%でスプリンクラーが未設置であった。

現行法では、診療所の延べ床面積が6,000平方メートル未満の場合、スプリンクラーの設置義務はない。調査対象のうち設置義務があるのは84施設で、うち6か所(7.1%)が設置していなかった。厚生労働省は、現在設置義務のない有床診療所、有床助産所、病院がスプリンクラーを設置する場合、1平方メートル当たり1万7,000円の補助金を出すことを決めている。
 

調査ではこのほか、消防計画を届け出なければならない6,073の有床診療所のうち、340か所(5.6%)が届け出ていないことが分かった。また、消火訓練と避難訓練の実施がそれぞれ年2回以上義務付けられているが、実際に行っていたのは消火訓練が35.9%、避難訓練が37.6%にとどまった。
 

また、同日の検討会では、全国有床診療所連絡協議会の会員調査の結果も報告され、スプリンクラーを設置していない有床診療所に、設置が義務化された場合は、「設置する」が13.6%、「補助金等支援があれば設置する」が58.3%、「病床廃止を検討する」が25.4%であった。
 

「絶対ない」ということが言えない災害に対して、また人の命を最も身近に感じているはずの医療現場において医師の認識がこの程度ではこうした事件(事故)はまたいつか発生する。安全・安心の基盤がないところで看護師として勤めたくないと思うのは私だけだろうか。

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看護師の求人倍率、初の3倍超え

全国のナースセンター(看護師や助産師など看護職の就労支援を行う)で、平成24年度の看護師の求人倍率が平均3.17倍と11年度の調査開始以来初めて3倍を超えたことが14日、日本看護協会(以下、「日看協」)のまとめで分かった。日看協は「看護師の資格を持ちながら結婚などで退職し復職していない『潜在看護師』の復職支援などに力を入れたい」としている。
 

まとめによると、助産師なども含めた看護職員の求人倍率が高かったのは愛知県(4.11倍)、長野県(3.91倍)、愛媛県(3.78倍)、福島県(3.40倍)、三重県(3.39倍)-の順である。
 

病院や介護保険施設などの求人の約7割は常勤の看護職員を求めていたが、求職者の半数近くは非常勤やパート勤務を希望していた。協会によると「常勤で働きたい人は減少傾向にある」という。
 

協会は毎年、各都道府県に置かれるナースセンターの求人動向を分析している。資格を持ちながら働いていない70万人いると言われる「潜在看護師」も顕在化に向けて、厚生労働省は看護師の登録制度を検討し、看護師の離職防止や再就職支援策を進めている。

医療・介護総合推進法案の概要

1月15日、通常国会に提出する「医療・介護総合推進法案」の概要が明らかになった。高齢化社会の進展に対応するために高度医療施設を減らし、慢性期疾患患者を受け入れる病院を増やすことや急性期や慢性期など機能ごとに適正な病床数を策定する都道府県主体となる「地域医療ビジョン」を15~16年度に策定することが盛り込まれている。     

法案提出の背景には、重症患者を受け入れる病床が必要以上に増え、医師や看護師の配置に偏り(高度医療に人材が偏在している)が生じていることや、医療法や介護保険法、地域介護施設整備促進法等の改正を行い、都道府県が4段階(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)の必要病床数を策定する際、病院関係者による協議機関を設置し各病院の役割分担を決め、病院が新たな役割を拒否すれば地域全体に影響が及ぶため、「合意に従わない場合には病院名の公表や長期の入院が認められる特定機能病院の取り消し、国の補助金の交付から外すことなど必要な対処措置を講ずる」ことが明示される。病院などの設備投資を支援するために904億円を都道府県基金として2014年度に計上する。
 

介護保険制度の改革では、軽度者向けサービスの一部を市町村事業に移行することや介護保険サービスの自己負担について所得による区分を設け、高所得の高齢者では現行1割から2割に引き上げ、低所得者の介護保険料は引き下げることなどが盛り込まれている。

昨年の介護事業者の倒産、医療機関の倒産

東京商工リサーチが14日発表した全国企業倒産状況によると、有料老人ホームや訪問介護など「老人福祉・介護事業」の倒産は2013年には54件発生し、介護保険制度がスタートした2000年以降、最多となった。                   

利用者減など「業績不振」によるものが過半数を占め、「ニーズはあるが、高額な入居金がネックになって、利用者をうまく受け入れられていないことが一因」と東京商工リサーチでは分析している。                          

老人福祉・介護事業の倒産は2000年以降、増加傾向が続き、08年の46件をピークにいったんは減少に転じた。しかし、12年には4年ぶりに増加し、13年は前年比63.6%増となった。負債総額は36億1400万円に上る。
 

経営主体が財産を清算して消滅する「破産」による倒産が50件と、全体の9割を超えた。経営再建を目指す「民事再生」は3件(5.6%)にとどまった。倒産の原因別では業績不振30件、放漫経営12件などだった。
 

一方、病院や診療所など医療機関の倒産は36件で、前年の37件から1件減少した。施設ごとの内訳は、病院8件、一般診療所13件、歯科診療所15件。破産が29件と8割を超えた。                         

一般診療所では12件、歯科診療所では14件がそれぞれ破産によるものだった。倒産の原因は業績不振12件、放漫経営10件などである。

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働く女性に朗報、保育所利用資格の拡大

2015年度から消費税財源でスタートする保育の新制度で、認可保育所などの利用資格(現在はフルタイム勤務が原則)をパートや在宅勤務、求職者などにも広げることを決定した。

現行では就労時間などの基準が市町村によって異なっており全国で統一する形となり、待機児童などの解消を図る。15年度から保育所を利用できる人の就労下限時間は「月48~64時間の範囲」で市町村が定める。短時間労働者は、一日8時間、フルタイムでは11時間までの保育利用が認められることになる。

保育定員20人以上の認可保育所より小さい小規模保育(定員6~19人)では、保育者の半数以上が保育士資格を持ち基準を満たせば補助を受けられるようになる。企業が社員向けに設置する事業所内保育所も定員の3分の1~4分の1の枠で地域住民を受け入れるなどすれば、補助が受けられることになる。

看護師の中にはフルタイム働けなくなるために子供を保育所に預けられなく家庭に入るものもいる。これからはパートでも保育所が活用できることから潜在看護師の減少につながることも期待できる。

「初診料120円、再診料30円引き上げ、医療機関の消費税対応と介護保険の利用限度額の引き上げ」

今年4月の消費税率8%への引き上げに伴い、医療機関の負担(医療機器や医療材料、看護用品、文房具類などの消費増税分)緩和策として、現在の初診料2,700円に120円を、再診料690円に30円をそれぞれ上乗せし対応する。                           

患者の負担は、現役世代の3割負担者で初診料810円が36円増えて846円に、再診料207円が9円増えて216円となる。また入院基本料も2%上乗せされる。田村憲久厚生労働相は14日、閣議後の記者会見で、今年4月の消費税率8%引き上げ時の負担増に、初・再診料と入院料の上乗せで対応するのに対し、消費税10%時にはこれと別の方法で対応する考えを示し、消費税8%時の対応については、「あくまでも10%引き上げ時までの短期的な方策であり、各医療機関が一番公平になるという関係者間の合意があった」と説明している。こうした中、中小企業の従業員ら3,500万人が加入する「協力けんぽ」を運営する全国健康保険協会は、高齢化に伴い、介護保険料率(現行1.55%:年額平均31,377円)を4月から0.17%(年額平均3,441円)を上乗せし、1.72%(34,818円)に引き上げることにしている。2年ぶりの引き上げとなる。

また、消費増税分を介護報酬に上乗せすることに伴い、介護保険の利用限度額(介護保険サービスを利用できる一か月の上限額)を引き上げる。その一割は利用者の自己負担で、限度額を越えれば全額が利用者の自己負担となる。在宅介護の場合では、4月から現行の利用限度額が330円~2,350円増える。2000年の介護保険制度開始以来初めての利用限度額の改定となる。消費増税による介護事業所の物品購入や光熱費の費用が増えるため、介護報酬を全体で0.63%引き上げる。

■在宅介護の場合の4月以降の利用限度額
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デング熱、国内感染の可能性

昨年8月19~31日、長野や山梨、東京など日本を旅行したドイツ人女性(51)が、帰国後の9月3日から発熱や嘔吐(おうと)などの症状が出て、デング熱と診断され、2週間ほどで回復した。女性は、日本を旅行中、蚊に刺されたと話していて、ドイツの保健当局は、日本で感染した可能性が高いとしている。これを受けて厚生労働省は、「日本国内で感染した可能性は否定できない(デング熱は、感染後4―14日の潜伏期間後に発症する、国内では蚊が越冬できないためウイルスは土着せず、東南アジアなどで感染して海外からの帰国後に、デング熱を発症する日本人が年間200人程いる、こうした感染者から蚊を媒介して感染した可能性が否定できない)として、デング熱の感染が疑われる患者がいる場合には、速やかに保健所に報告するなどの注意喚起の通知を都道府県などに出した。帰国中の機内や空港の可能性もあるという。                    

日本国内のデング熱の感染例は、第二次世界大戦中、戦地から持ち帰られたウイルスが、日本にも生息するヒトスジシマカによって媒介され、長崎市、佐世保市、広島市、神戸市、大阪市など西日本で流行し20万人が発病したことがあって以来、60年以上報告されていない。

デング熱は、デングウイルスをネッタイシマカやヒトスジシマカが媒介する感染症で、人から人に直接感染することはない。38度を超える高熱や頭痛などの症状のほか、体幹部に発疹が現れることも多い。      

解熱剤を服用して静養すれば1週間程度で回復するが、皮下出血などを伴う重症型へ移行する場合や「デング出血熱(鼻血や消化管などからの出血)」でショック症状を起こして最悪の場合、死亡することもある。

デングウイルスには、認可されたワクチンがない。予防は、ウイルスを媒介する蚊に刺されないようにして身を守ること、蚊を駆除することである。

世界中で毎年5,000万から1億人が感染していて、そのうち約50万人が入院し、およそ12,500~25,000人が死亡している。

ネッタイシマカ
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こんな事例に遭遇3度目

1月9日、いつものようにJR千葉駅から8:47発の総武線快速大船行に乗車した。運よく今日は座ることができ、仕事で記載しているブログの記載間違いや修正はないかをチェックしていた。電車は時刻通りに進んでいく。30分ほどたってJR市川駅を出たあたりで「ドタッ」という音がした。その方に目を向けるとフォーマルスーツを着た20歳代と思われる女性が床に倒れ込んでいた。周りの人は心配そうな顔をしながらも何かをする様子はなく顔を覗き込んでいるだけであった。何とかしなければと駆け寄って声をかけたが反応はなくGCS(グラスゴー・コーマ・スケール)で3点(E1、V1、M1)。明らかな意識障害である。問題は、意識障害の原因である。カーペンター分類(AIUEOTIPS:アイウエオチップス)の原因のどれかである。原因と思われるものを確認して何をすべきか、何をしてはいけないかを判断し対応しなければならない。呼気にアルコール臭はない。四肢の冷感、冷汗、徐脈(ほとんど触れない)、アニソコリーや眼球偏位なし、眼球頭反射正常、けいれんや痛覚刺激による除脳硬直、除皮質硬直など脳の神経学的な症状はない。Arm drop testも陰性でヒステリーでもなさそうだ。外傷もなく嘔吐や失禁もない。低酸素になる様な状況ではなく呼吸も苦悶様ではなく荒くもない。一番の心配は若年性糖尿病による低血糖発作であったが、調べようがない。失禁でもしていれば尿をなめればわかるが・・・。いずれにしても脳の血流を改善し意識の回復が図れないかと声掛けをしながら下肢拳上を行った。右手がピクリと動き私の左腕をつかんできた。脳の血流が改善していることを感じながらしばらく拳上をしながら大きな病気はしていないかを確認した。「ない、苦しい」という弱々しい返事が返ってきた。心配をした糖尿病による低血糖症状は下肢拳上で意識は回復しないため否定できた。いわゆるショック(失神発作)と判断した。一安心した。しばらくしてどこに向かっているかを尋ねたところ「会社説明会に出席のため東京に向かっている」という。フォーマルスーツを着ていたことが納得できた。まだ意識はもうろうとし、言葉もたどたどしい。会社より体が大事であることを伝え、周りの乗客に頼んで次の駅で駅員に救急車を呼んでもらうように依頼した。本人は「東京に行きたい」といっていたが立ち上がれるほど回復もしていない。JR新小岩駅で駅員と担架に乗せて仕事に向かった。東京駅について階段(エスカレーター)を上っていると後ろから肩をトントンと叩かれるのを感じ振り向くと、同じ車両に乗っていて駅員を呼んでくれた乗客であった。「医師なのかということと下肢を拳上したのはなぜか」とその男性から聞かれた。看護師であることと、脳に障害がなければ脳の血流改善を図るために下肢にたまった血液(500mlほど)を戻し重要臓器への血液を確保するための行為であることを伝え、「お疲れ様」と声をかけあって別れた。    

通勤生活9年間で、電車内でのこうした事例は3人目となる。看護師の資格を持っていてよかったと思う。

●カーペンターの分類による意識障害の原因「アイウエオチップス」
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●失神発作
殆どが循環器障害や自律神経反射によるもので、脳底動脈支配領域の神経症候が主症候となる。脳の上位部から虚血が起こるので後頭葉障害で眼前暗黒感、上位脳幹網様体障害で意識障害、延髄の前庭脊髄路障害で失立となる。反射性に交感神経が刺激され冷感を同時に感じることが多い。

リキスミア(リキシセナチド)の作用機序・糖尿病治療薬

リキシセナチドはGLP-1受容体作動薬と呼ばれる種類の薬で、食事や運動などによる血糖のコントロールが難しい場合、薬によって血糖値を下げて糖尿病の症状を抑えることで合併症を予防する。この時、血糖値を下げる唯一のホルモンがインスリンで、インスリンの作用を強めれば、血糖値を下げることができる。この時に重要となる物質としてGLP-1がある。GLP-1は食事を取ることが合図となって分泌されるホルモンで、すい臓に作用することによってインスリンを分泌させる働きがあり、これによって血糖値を下げる。ただし、GLP-1は酵素によってすぐに分解されてしまうという特性があるので、「GLP-1と同じ作用をするが、酵素によって体内で分解されにくい物質」を投与すれば、長時間に渡ってインスリンの分泌を促すことができ血糖値を下げることができると考えた。

体内で分解されにくいようにGLP-1の構造を変換させてしまえば長い間インスリン分泌を行うことができる。このように、インスリン分泌を促すGLP-1と同じ作用によって糖尿病を治療する薬がリキシセナチド(商品名:リキスミア)だ。リキシナセチドはすい臓に存在するGLP-1受容体に作用することでインスリン分泌を促すメカニズムであるため、GLP-1受容体作動薬と呼ばれる。
 

GLP-1受容体作動薬は強力な血糖値の改善効果(HbA1cの低下)を有している。また、糖尿病治療薬は副作用として低血糖が問題となることがあるが、GLP-1受容体作動薬であるリキシセナチド(商品名:リキスミア)は低血糖リスクが少ない。

糖尿病治療薬を服用すると太りやすくなる場合もあるが、GLP-1受容体作動薬では体重増加の抑制も期待できる。また、リキシセナチド(商品名:リキスミア)は承認時からインスリン製剤との併用が可能な医薬品になり、長時間に渡ってインスリンの基礎分泌を補う持効型溶解インスリン製剤や中間型インスリン製剤との併用ができる。インスリンが足りていない場合、インスリン製剤として外から注射薬によってインスリンを補うことがある。特に空腹時の血糖値を下げたい場合、持効型溶解インスリン製剤などの長時間に渡って作用し続ける薬を使用する。ただし、基礎インスリン製剤の場合、食後の急激な血糖値上昇には対応できない。

そこで、食事が合図となって分泌され、インスリンの作用を強めるGLP-1と似た製剤であるリキシセナチド(商品名:リキスミア)が活躍する。元々、食後の血糖値を下げる働きをする物質がGLP-1であるため、食後の高血糖状態を改善させることができ、食後高血糖を改善するリキシセナチド(商品名:リキスミア)と空腹時血糖値を低下させる基礎インスリン製剤を併用し、全体的に血糖値を下げることができる。

こうした特徴により、インスリン分泌を促すGLP-1と同じ作用をすることで、糖尿病による高血糖状態を抑えることができる。
※1月7日付、厚生労働省より添付文書の重要な注意欄に以下の改訂を行うように通知された。

■添付文書改訂内容
「低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときは注意すること。」

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